日本放送協会 理事会議事録  (平成19年3月26日開催分)
平成19年4月13日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成19年3月26日(月) 午前9時00分〜9時45分

<出   席   者>
 橋本会長、永井副会長、原田理事、畠山理事、小林理事、金田理事、
 中川理事、小野理事、衣奈理事、石村理事、西山理事

 古閑監事、坂野監事

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 橋本会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項
1 報告事項
(1)監査結果報告
(2)コンプライアンスの徹底に向けた「工程表」
(3)「経営企画会議」の設置について
(4)関連団体の再編・統合について
(5)放送番組審議会議事録

議事経過
1 報告事項

(1)監査結果報告
(監査室)
 本部のアナウンス室、国際放送局、視聴者サービス局、経理局の監査結果の概要について報告します。監査は2月上旬から下旬にかけて実施しました。
 まず、アナウンス室についてです。
 ことばとコミュニケーションの専門性を発揮した番組「100年インタビュー」(衛星ハイビジョン)や「特集 聞いていますか、子どもの声」(ラジオ第1)などを企画・制作しています。「100年インタビュー」は、「100年後の日本人にも見てもらいたい」との企画で、各界の著名人の魅力や次の時代へのメッセージを伝えることに努めています。4月以降、3人のアナウンサーが担当して、年間10本の放送を予定しています。
 朗読の公開生放送や教育現場への講師派遣などで視聴者のみなさまとの結びつきを強め、公共放送への理解促進にも努めています。18年3月には放送センターのスタジオに250人の観客を集めて公開生放送「朗読の世界へようこそ」(3月21日放送)を放送しました。7人のアナウンサーとゲストの浅田次郎さんが「鉄道員」(ぽっぽや)などの作品や古典を朗読したほか、観客のうち3人に朗読の実技指導を行いました。
 このほか、都内の中学校に18年5月から7月にかけて、ラジオ第1「きらり!10代」の担当アナウンサーが、「聞き上手になろう」「自分のCMを作ってみよう」などをテーマに3回の講演を行いました。子どもたちに表現力をつけるための指導法に悩む国語教師から「今後の参考にしたい」などの反響もありました。
 次に国際放送局についてです。
 テレビ国際放送では、18年度、英語ニュースを刷新・強化するとともに、英語による情報番組などを新設し、独自制作番組の充実を図りました。新設した30分枠の「News Today 30 Minutes」では、海外で関心の高い最新の日本経済を伝える“BIZ News”コーナーを設けるなどの工夫をしています。日本語のニュースをただ英語化したものだけでなく、海外向けに独自に取材した企画ニュースも増やしました。
 テレビ国際放送は、20年度までに英語化率100%を目標としています。18年度後半期には、独自の英語番組や「経済羅針盤」など2か国語番組の新設により、英語化率は、前年度同期に比べ17ポイント上昇し、73%となりました。19年度前半期には、定時ニュースの時間拡大や日本料理を紹介する新番組などにより、80%を超える見込みです。
 ラジオ国際放送では、19年10月からドイツ語など4言語の削減や日本語・英語放送の送信地域の見直しが行われる一方で、新たな情報発信手段の活用も進めています。衛星放送受信機の普及が進んでいる中東、北アフリカ、ヨーロッパ地域を対象に、18年10年からイギリスのアラビア語専門ラジオチャンネルを借用し、1日30分の衛星ラジオサービスを開始しました。
 そのほか、インターネットの活用として、18年3月から、これまでのライブストリーミング方式とオンデマンド方式による配信に加え、携帯端末に保存して聴くポッドキャスト方式によるニュース配信(日本語を除く21言語)を開始しました。海外での利用に加えて、国内在住の外国人への情報提供を目的としています。ポッドキャスト方式へのアクセス数は大幅に増加しています。
 続いて、視聴者サービス局についてです。
 18年度の組織改正で、企画総務と事業センター、視聴者センター、情報公開センターの3センターとし、「視聴者第一主義」を掲げ、業務を推進しています。多彩なイベントやCS(お客様満足)向上活動、ふれあいミーティングなどを実施するとともにコールセンターへの視聴者意向を収集・分析するなど、放送や事業に反映させています。
 事業センターでは、NHK単独主催の公開番組で、受信料支払い者に限定して観覧者を募集する優待サービスを17年度の2本から、18年度は「紅白歌合戦」「思い出のメロディー」など、11本に増やしました。入場者へのアンケートでは、90%以上が優待サービスを支持しています。19年度はこの優待サービスをさらに拡大する予定です。
 また、生誕120年を記念した「藤田嗣治展」を18年3月から10月にかけて東京、京都、広島で開催し、入場者は3会場あわせて60万3,000人を記録しました。
 「世界の巨大恐竜博2006」は、子どもたちに、生命や科学への関心を高めてもらうことを目的に、18年7月から9月まで「NHKスペシャル」などとも連動して開催しました。「恐竜の巨大化と多様化」をテーマに、276点の標本を展示するなどして、50万人が入場しました。
 視聴者センターでは、18年度、1日平均電話3,000件、メール570件の視聴者意向を受け付けています。NHKホームページに番組変更情報を掲示したことなどにより、18年度、視聴者からの電話に出られない積滞率を大幅に減らしました。また、メールが増加する傾向に応じて、18年度からは土日のメール回答も実施しています。
 18年6月から、視聴者意向を多角的に把握する新たな試みとして、編成局と放送文化研究所、民間のインターネットプロバイダーとの共同研究で、インターネットのブログ記事から、NHKの番組や事業に関するキーワードを検索して分析する「ブログ評判分析」を試行しています。NHKに直接意見や要望を伝えないことが多い若者層が、どのような受け止め方をしているかの把握に役立っています。
 「ふれあいミーティング」については19年2月現在、全国で1,755回開催し、3万8,010人が参加しています。本部で「NHKスペシャル ワーキングプア」に関する「ふれあいミーティング」など、関心の高い番組をテーマにするなど内容の充実を図っています。
 情報公開センターでは、情報公開への取り組みとして、18年度、「番組制作費についての情報公開」、「情報公開を前提とした文書管理」、「役職員の給与支給基準等の公表」について検討を行いました。番組制作費については、ニュースやスポーツ、映画・アニメなどを除く7ジャンル17番組の単価を公表するなど、情報公開を拡大しています。
 次に、経理局についてです。
 過去の不祥事からの決別をめざし、18年8月から12月に実施した「全部局業務調査」では、データ抽出等の中心的役割を果たすなど、適正経理に向け取り組んでいます。
 18年4月の不祥事発生後、緊急の対策として、「航空機利用時の搭乗半券の提出」、「鉄道利用時の特急券の提出」、「日帰り出張(航空機、特急利用)の出張報告書の提出」など、出張についての適正な処理を徹底しました。
 また、適正経理のいっそうの徹底を目指し、臨時前渡金を廃止する「キャッシュレス化の推進」や、出張命令の明確化を主眼とした「出張旅費の見直し」などを、19年度実施に向けて検討しています。
 調達業務については、18年度には、透明性の向上や競争効果の実現、コスト低減を図るため、電子調達手法を活用し大幅な経費削減につなげています。
 最後に、コンプライアンス活動・適正経理の取り組みについて報告します。
 アナウンス室はデスク会や班会を通じて、コンプライアンスと公金意
識の徹底について繰り返し周知を行うなどしています。
 国際放送局では、タクシー券の適正使用の徹底を図るため、管理者が使用済みタクシー券に記入漏れがないかを確認した後に、新規タクシー券を授受するなど適正化に努力しています。
 視聴者サービス局は、適正経理と公金意識の徹底を図る研修のほか、適正経理推進月間を独自に設定し、職員への個別指導を実施しています。
 経理局は、適正経理サポートデスクを設置し、現場からの意向を吸収して適正経理マニュアルに反映しています。
 証ひょう類の調査では、出張報告書の提出遅延などの不備がありましたので、適正処理に努めるよう改善を求めています。


(2)コンプライアンスの徹底に向けた「工程表」
(コンプライアンス室)
 2月13日、NHK経営委員会から、NHK執行部に対して「コンプライアンスの徹底に関する申し入れ」がありました。これは、経営委員会が、同委員会の諮問機関であるコンプライアンス委員会の第一次答申を受け、NHKに要請したものです。具体的には、役職員の意識改革に向けた取り組み、真に実効性のあるコンプライアンス態勢の構築、モニタリング態勢の強化について、実行スケジュールを含めて、3月末までに経営委員会に報告するように求めています。
 NHKのコンプライアンス施策については、年度ごとに「アクションプラン」を策定し、それに基づき重点的な施策を展開しています。また、平成17年度からは、視聴者のみなさまへの“約束”を公表し、“約束”評価委員会の評価を受け、コンプライアンス施策などの改善につなげています。
 平成19年度の「アクションプラン」については、2月27日の理事会に報告していますが、今回、20年度も視野に入れ、コンプライアンスの徹底に向けた「工程表」を作成し、経営委員会に報告します。
 この「工程表」では、“約束”や「アクションプラン」の年間サイクルをもとにした協会の事業運営のPDCA化と、全体的な内部統制構築の実行スケジュールについても示してあります。「工程表」の進捗状況やアクションプランの実施状況については、四半期ごとに経営委員会に報告し、施策の改善につなげていきます。
 については、役員と本部・地域放送局各職員との対話活動を年間を通じて行い、意識改革を促し、不正の再発を許さない組織体質・風土を浸透させて、改革施策をよりいっそう定着させます。また、職員意識調査(コンプライアンス・アンケート)を19年度は年2回実施し、職員のコンプライアンス意識や施策の浸透状況の実態を継続的に把握するなど、コンプライアンス推進活動に生かします。そのほか、研修のいっそうの充実、定期異動期にあわせた職種間・部門間、本部・地方間の交流人事や社内公募を積極的に実施し、縦割り意識の払しょくなどにも取り組みます。
 については、業務管理・経費管理の徹底のため、コンプライアンス月次点検を実施し、日常業務に組み込みます。この業務管理・経費管理をシステム化するため、19年度中に開発し、20年度の運用開始をめざします。そのほか、内部統制の視点に立った文書管理や出張旅費の事後請求化などの経理処理施策の見直しを着実に進めていきます。
 については、コンプライアンスの徹底を図るためには内部統制の再構築が不可欠であることから、モニタリング体制の構築に向け、プロジェクトで検討を図り、20年度の組織・要員体制の見直しにつなげていきます。また、監査室の人事交流を活発化し、外部セミナー参加や内部監査士の資格取得などにより監査の質をいっそう高めていきます。
 以上が、「工程表」の全体内容です。


(3)「経営企画会議」の設置について
(総合企画室)
 経営方針をより迅速に検討するとともに、予算、番組改定、要員計画、建設計画等をより統合的に策定し、PDCAを確立するため、平成19年4月に「経営企画会議」を設置します。
 「経営企画会議」は、会長、副会長、全理事、監事ほか、関連する部局長が参加し、次期経営計画、翌年度の経営方針・重点事項、その他経営課題等について検討していきます。

(4)関連団体の再編・統合について
(総合企画室)
 関連団体の再編・統合について報告します。
 NHKの経営改革とともに、関連団体の改革が問われている社会状況を踏まえ、関連団体の再編・統合を行います。
 再編・統合の基本方針は、
視聴者や社会への貢献をより高め、存在感のある公共放送グループとして
 再構築すること
放送のデジタル化、放送と通信の連携、社会・経済構造の変化等、
 新しい時代に対応できる体制を構築すること
NHKと関連団体が一体となった透明性のあるグループ経営を
 いっそう推進すること
個々の団体およびグループ全体の経営体質の強化をはかること
の4点です。
 これらの基本方針を踏まえ、平成20年4月1日をめざし、地域関連団体の統合と技術分野の統合を行います。
 地域関連団体については、鰍mHKきんきメディアプラン、鰍mHK中部ブレーンズ、鰍mHKちゅうごくソフトプラン、鰍mHK九州メディス、鰍mHK東北プランニング、鰍mHK北海道ビジョンの地域関連団体6社を1社に統合し、東京に本社機能を置き、現在の6社は新会社の支社とします。地域に貢献するNHKグループとしては初の全国ネットワークの会社となります。
 また、技術分野については、鰍mHKテクニカルサービスと鰍mHKコンピューターサービスを統合し、IT化の進むNHK業務のトータルサポートと、放送技術とITの融合によるノウハウを生かし、社会貢献をめざします。
 このほか、関連団体のNHKOB役員数の削減を予定しています。現在、関連団体の常勤役員数は156人で、このうちNHK退職者は136人です。経営陣のスリム化や役員機能の強化およびグループガバナンス強化のため、平成19年度から3年間でNHKOB役員数を40名程度削減します。今後は、団体が独自に採用した社員の役員登用の促進をはかるほか、第三者の目で経営をチェックしてもらうため、外部人材による、いわゆる社外取締役の起用も推進していきます。

(5)放送番組審議会議事録
(編成局)
 編成局および国際放送局から、中央放送番組審議会、国際放送番組審議会、全国の地方放送番組審議会(関東甲信越、近畿、中部、中国、九州、東北、北海道、四国)の平成19年2月開催分の議事録についての報告。
(注1:放送番組審議会の内容)

以上で付議事項を終了した。
注1:放送番組審議会の内容は、NHKホームページの「NHK経営情報」
   のなかに掲載しています。
上記のとおり確認した。
      平成19年4月10日
                     会 長  橋 本 元 一   

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