日本放送協会 理事会議事録  (平成18年 6月27日開催分)
平成18年 7月14日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成18年 6月27日(火) 午前9時00分〜9時55分

<出   席   者>
 橋本会長、永井副会長、原田理事、畠山理事、小林理事、中川理事、
 小野理事、衣奈理事、西山理事

 古閑監事、坂野監事

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 橋本会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項

(1)“約束”評価報告およびこれに対するNHK見解について

(2)地上デジタルテレビジョン放送に関する総務省の意見募集への
      対応について
	  
(3)CSデジタル放送高度化委員会報告(案)に対する意見の募集に
   ついて

2 報告事項

(1)監査結果報告

(2)財団法人放送文化基金の平成17年度事業報告および収支決算
   について

(3)平成18年5月のCS向上活動報告

(4)放送技術審議会委員の委嘱について

(5)放送番組審議会議事録

議事経過

1 審議事項

(1)“約束”評価報告およびこれに対するNHK見解について
永井副会長
中川理事
 NHKは、視聴者のみなさまの意向をより的確に反映する事業運営を
推進するため、昨年5月、改革の重要な柱のひとつとして、事業運営の
目標として“約束”を公表し、その達成状況を外部の専門家からなる
「“約束”評価委員会」に視聴者の視点から評価していただき、それに基
づいて事業運営を改善する仕組み(PDCAサイクル)を導入しました。
 本日、「“約束”評価委員会」から平成17年度の“約束”評価報告書
が会長に正式に提出されることになっています。
 その評価報告書にあわせて、NHK見解を経営委員会に報告した後、
次のとおり公表したいと思います。 
 「NHKは改革途上にありますが、7割を超える幅広い世代の視聴者
のみなさまから公共放送NHKに対する支持を得たこと、CVM調査に
よりNHKの創出している価値に対する支払い意思額が受信料額を上回
る一定程度の規模になったこと、幅広い番組ジャンルが視聴者のみなさ
まから期待されていることなどが示されています。NHKの取り組みが
視聴者のみなさまから一定の評価をいただいたものと考えています。一
方、NHKとしては、様々改革に向けた努力をしてきましたが、コンプ
ライアンス等において、決して成果が十分とは言えない取り組みがある
ことも厳粛に受け止め、いっそう改革を推進していきます。
 『“約束”評価委員会』には、大規模な視聴者アンケートやCVM調
査等により、公共性・文化性といった、定量化が難しい“公共放送の価
値”について、多面的な分析・評価を行っていただきました。この手法
については、より視聴者のみなさまの多面的な意向を反映するよう、今
年度以降もさらに進化し、充実されていくものと期待しています。
 『“約束”評価委員会』が取り組まれた、こうした手法による分析・
評価もまさに視聴者の声であり、事業運営を行っていく際の貴重な示唆
になるものと考えています。
 NHKは、評価結果を真摯に受け止め、内容を十分咀嚼し、翌年度の
事業計画に反映させるなど、事業運営を着実に改善していきます。」
 なお、この“約束”評価報告書ならびにこれに対するNHK見解をN
HKのホームページに掲載します。
(会 長)   原案どおり決定します。“約束”評価委員会は、NHK
       と視聴者のみなさんをつなぐ重要な懸け橋のひとつです。
       今回の“約束”評価報告書では、視聴者のみなさんの意
       向が定量的に報告されていますので、細部までよく読み
       込み、今後のNHKの事業運営の改善につなげていかな
       くてはなりません。

(2)地上デジタルテレビジョン放送に関する総務省の意見募集への
      対応について
(技術局)
 地上デジタルテレビジョン放送に関する総務省の意見募集への対応に
ついて審議をお願いします。
 総務省は6月6日、周波数割当計画の一部を変更し、地上デジタルテ
レビジョン放送用の上限周波数を710MHz(52チャンネル)とす
る告示案を作り、これに関する意見募集を開始しました。
 これまでの経緯を簡単に説明すると、平成13年7月25日に施行さ
れた周波数割当計画の一部変更により、地上テレビジョン放送について
は、平成23年(2011年)7月24日までを期限としてデジタル化
することとされましたが、平成24年(2012年)7月25日以降に
おける地上デジタルテレビジョン放送用の周波数の上限を710MHz
(52チャンネル)もしくは722MHz(54チャンネル)にするか
については、本年7月24日までに見直すこととなっていました。
 周波数割当計画に則って、2011年の地上アナログテレビジョン放
送の終了後には、UHF帯の高い周波数(53チャンネル以上または5
5チャンネル以上)を使用している地上デジタルテレビジョン放送のチ
ャンネルを、UHF帯の低い周波数(52チャンネル以下または54チ
ャンネル以下)のチャンネルに再配置(デジタル・リパッキング)する
ことが必要です。
 再配置後のチャンネル範囲を470MHzから710MHz(13チ
ャンネルから52チャンネル)または470MHzから722MHz(1
3チャンネルから54チャンネル)とした場合の影響について、NHK
が参加している全国地上デジタル放送推進協議会において検討した結果、
470MHzから710MHz(13チャンネルから52チャンネル)
にした場合に、若干の干渉障害対策が生じる可能性があるものの、どち
らの場合でも大きな技術的な差異はないことが確認されました。
 したがって、今回の告示案に対し、全国地上デジタル放送推進協議会
での検討を踏まえたものであり、かつ、周波数資源の有効利用に資する
ものであることから基本的に賛成し、あわせて、受信者保護の観点から
再配置にあたって受信者に混乱を与えることがないこと、受信者および
放送事業者の対応作業の経費負担のあり方について公的支援を含めて検
討すること、国内デジタル放送波および国外の放送波からの混信等の問
題が生じた場合には、チャンネルの変更を含めた対策手法および経費等
について検討を行うことを要望したいと考えています。

(会 長)  原案どおり決定します。

(3)CSデジタル放送高度化委員会報告(案)に対する意見の募集に
   ついて
(技術局)
 総務省の情報通信審議会情報通信技術分科会CSデジタル放送高度化
委員会がとりまとめた「狭帯域CSデジタル放送に係る方式の高度化に
関する技術的条件に関する報告(案)」に対する意見募集について審議をお
願いします。
 狭帯域CSデジタル放送の高度化というのは、スカイパーフェクTV
が利用している規格に新しい技術を導入するということです。
 現在、スカイパーフェクTVは、東経124度/128度の通信衛星
の中継器を使って、デジタルの多チャンネル放送を行っていますが、ハ
イビジョン放送は行っていません。これは、現在の規格では、1つの中
継器でハイビジョンは1チャンネルしか送れないためです。
 今回、同委員会は、電波産業会で行なわれた実証実験結果を踏まえ、
最新の映像符号化方式であるH.264とヨーロッパでハイビジョンを
放送するために使っている衛星放送伝送方式DVB−S2を組み合わせ
た新しい技術によって、衛星の1中継器でハイビジョンが3チャンネル
程度放送可能となる放送方式を報告書(案)にとりまとめました。
 今回の内容は、BSデジタル放送やCS110度デジタル放送に直接
影響のある内容ではありませんが、ここで評価された技術は将来のデジ
タル放送の高度化の検討にも参考になる情報を含んでいることから、N
HKとして意見を提出したいと考えています。
 具体的には、CSデジタルにハイビジョンが導入されることは、デジ
タル放送のさらなる発展につながること、新しい技術について貴重なデ
ータが得られるということ、符号化方式については、実用化までには充
分な性能を有するハードウエアエンコーダの実現が必須であり、今後さ
らなる技術改善が必要であること、伝送方式について、今回はヨーロッ
パで開発されたものを採用しているわけですが、将来のデジタル放送の
さらなる高度化に向けて、日本も世界的な標準化・技術開発活動に日本
発の技術が活用されることが知的財産保護の面でも重要であることを意
見として述べたいと思っています。

(会 長)  原案どおり決定します。

2 報告事項

(1)監査結果報告
(監査室)
 四国の4放送局の監査結果の概要について報告します。監査は5月に
実施しました。
 松山放送局は、17年度、「ふれあいミーティング」を全国最多の1
03回実施し、1回のミーティングは10人前後の少人数で行い、視聴
者とじっくり話し合いました。18年度も100回の開催を目標にして
います。
 17年10月29日に「松山局新生デー」を設定し、自局制作のドラ
マ「きみの知らないところで世界は動く」や「ハイビジョン特集白くま
ピース〜日本初・人工哺(ほ)育の全記録」などを集中編成し、たいへ
ん好評でした。
 また、災害時に各地の状況を正確に把握し、放送するため、18年度
から「防災情報通信員ネットワーク」をスタートさせ、地域の自主防災
組織のリーダーやビデオクラブの会員、地域スタッフなど124人に依
頼し、台風や大雨、地震の際に局から電話して、実際に見た周辺の状況
を伝えてもらうことにしています。
 域内のニュース素材交換の回線運用を見直し、松山放送局に素材を集
めてから各局に一斉に再配信することで回線借用時間を半減させるなど、
経費の節減にも努めています。
 高知放送局は、大河ドラマ「功名が辻」の地元放送局として、「功名が
辻」の放送開始を前に、17年9月から関連番組の放送やイベントを集
中的に実施しました。12月のラジオ公開番組「朗読ステージ〜功名が
辻の世界を読む」は、ドラマ出演者らのトークと高校生や主婦グループ
による原作の朗読を織り交ぜ好評でした。
 18年度から、毎週金曜夜7時30分から、旬の話題や地域の抱える
課題を生放送で伝える新番組「とさ金」を開始しています。また、午後
5時30分から教育テレビの「福祉ネットワーク」を独自に再放送し、
高齢化社会への取り組みや心の問題など、県民にとって関心の高い情報
を提供しています。
 徳島放送局は、地域と密着した番組の制作に取り組み、午後5時10
分から25分まで地域放送番組「あわメロ」を放送しています。これは
視聴者参加型の音楽情報番組で、最新のヒット曲を紹介したり、リクエ
ストに応え、中・高・大学生から毎日20〜30通のメールやFAXが
届くなど好評です。18年度は放送枠を5分拡大しました。
 18年度は「あわメロ」に続いて、午後5時30分から7時まで、「ほ
っとイブニング徳島」でニュースや地域の話題を伝えています。
 また、18年10月1日の地上デジタル放送開始とともに新放送会館
がオープンする予定ですが、汎用スタジオを活用して、地域の交流の場
にすることを目指しています。
 高松放送局は、17年度は、夕方の地域情報番組では、毎月「さぬき
密着ウィーク」を設け、オープンスタジオからの中継などを交えて、地
域の情報を発信しました。これは18年度も継続しています。
 18年度新設した番組「ゆるタル」(毎週土曜午前10時5分〜11
時)は、視聴者参加型の情報番組で、メール・FAXなど双方向性を高
めています。リポーターが県内各地で食後のデザートを探し歩くコーナ
ーや、男性キャスターが女性向けのカルチャーセンターを訪問するなど
の演出で、若い女性や主婦を中心とした視聴者層の獲得を目指していま
す。
 最後に、コンプライアンス活動と適正経理の取り組みについて報告し
ます。
 松山放送局では、意識啓発セミナーとしてコンプライアンス勉強会等
を13回実施し、460人が参加しています。また、公金意識の徹底を
図るなど適正経理について各放送局で取り組んでいます。
 証ひょう類の調査では、出張報告書で宿泊期間の記載がない手書き領
収書が見られましたので、改善を要望しています。また、四国は公共交
通機関があまり便利でない地域もあるので、業務上マイカー使用が多く
なっていますが、各放送局の管理者には、その使用内容について、不適
正使用が起きないように厳重にチェックをするように要望しています。

(2)財団法人放送文化基金の平成17年度事業報告および収支決算
   について
(総合企画室)
 財団法人放送文化基金の平成17年度事業報告書および計算書類につ
いて、平成18年5月25日に同財団第299回理事会で承認され、6
月2日の第76回評議員会に報告、了承されましたので報告します。
 NHKは放送文化基金に、内幸町にあったNHKの旧東京放送会館の
売却資金の一部を拠出していることから、各年度の決算について、放送
文化基金の理事会、評議委員会で手続きを終了した後、NHKの理事会、
経営委員会にも概要を報告することにしています。また、放送文化基金
からは事業報告書等を総務大臣に提出しています。
 17年度の事業活動は、放送文化の発展により一層寄与するため、放
送の各種プロジェクトに対する助成・援助事業や優れた番組に対する表
彰事業を中心に、諸事業を重点的・効率的に実施しました。
 助成・援助事業については、「技術開発」「人文社会・文化」の2分野
で募集を行い、131件の応募があり、このうち、51件について6,4
90万円の助成を行いました。また、17年度に限り、「あすの放送文化
を拓く」をテーマに「特定共同研究」の募集を行い、1件300万円の
助成・援助を実施しました。
 表彰事業については、31回目になる放送文化基金賞に加え、ABU
番組コンクールや日本賞教育番組国際コンクールにも賞を贈呈していま
す。
 収支の状況については、長引く低金利時代の影響による利息収入の減
少など厳しい経済状況を踏まえ、効率的な資産運用に努め、収入の確保
を図るとともに、事業運営の効率的実施、人件費の抑制、共通経費等の
削減等に努めた結果、収入が4億3,203万円、これに対する支出が3
億9,499万円となり、収支差額3,704万円は18年度に繰り越しま
した。

(3)平成18年5月のCS向上活動報告
(視聴者総局)
 5月のCS向上活動について報告します。
 5月のふれあいミーティングは全国で162回実施し、4,543人が
参加しました。昨年同月と比べると、若干多いペースで推移しています。
 視聴者コールセンターで受け付けた5月の視聴者意向の件数は105,
879件でした。
 視聴者のみなさまの声などを生かして改善を行った件数は、本部で2
件、各放送局が19件、合わせて21件でした。
 次に、改善実施事例を報告します。
 B−CASメッセージの消去に関して、以前はテレビ画面ではフリー
ダイヤル番号だけが案内されていました。この状態では、聴覚障害者の
方は電話ができず、不親切であったため、聴覚障害者の方にも対応いた
だけるように、FAXによる受付(通話料無料のフリーFAX)、パソコ
ン(NHKオンライン)からの受付、携帯電話のサイトからの受付がで
きるように整備しました。また、(財)全日本ろうあ連盟が発行する6月
1日付の日本聴力障害新聞にも「お知らせ」を掲載するとともに、メッ
セージの消去方法をお知らせするチラシを作成し(財)全日本ろうあ連
盟および(社)全日本難聴者・中途失聴者団体連合会(全難聴)の加盟
団体の事務所に置かせていただくこととしました。
 5月に特に好評な意見が集中した番組は、NHKスペシャルの「プラ
ネットアース 第1集〜第4集」(5月7日〜10日放送)、「小泉改革5
年を問う」(5月14日〜15日放送)、「ドイツW杯 魔術師・ロナウジ
ーニョ」(5月28日放送)、「偉大なる旅人・鄭和」(5月3日放送)、ク
ローズアップ現代「脳科学で防ぐ“キレる子”」(5月10日放送)、「パ
チンコ依存症〜始まった克服への取り組み〜」(5月31日放送)などで
した。また、深夜時間の放送にも関わらず好評意見が寄せられた番組と
して「世界ふれあい街歩き」(BS−hi、BS2、GTV 5月2日ほ
か放送)、「横浜から突然生放送!大型連休もさだまさし」(GTV 5月
7日放送) 、「爆笑問題×東大 東大の教養」(GTV 5月28日放送)
などでした。
 一方、厳しい意見が集中したのは、5月27日の野球延長による土曜
ドラマ「ディロン」の放送休止についてです。これは、放送するのか休
止するのか、視聴者に的確に伝わらず、多くの苦情、問い合わせが殺到
しました。NHKのドラマ・ホームページに、野球が午後10時を過ぎ
れば放送休止、延期になるというような表現がされましたが、実際には、
野球は午後9時50分に終了し、その後ニュースに入って10時を過ぎ
たため、「ディロン」は休止になりました。こうした点も苦情の多かった
一因だと思います。また、「NHK職員経理調査報告」ニュースで、中高
年の方を中心に「“コンプライアンス”と言っていたが、意味がわから
ない」、「不祥事のときのニュースでいつも使うが、英語では謝っている
気持ちが伝わらない」といった意見が多く寄せられました。

(会 長)  コンプライアンスという言葉などは、確かに幅広い意味
      を持った言葉で他の言葉に置き換えにくいと思いますが、
      視聴者に直接対応しているときは、幅広い意味のひとつを
      強調して、倫理感の醸成、育成、強化などに言い換えて、
      できるだけわかりやすい言葉遣いをするように心がけてく
      ださい。現場指導も含め、よろしくお願いします。これは
      ガバナンスという言葉についても同様のことが言えます。

(4)放送技術審議会委員の委嘱について
(西山理事)
 放送技術審議会委員の委嘱について報告します。
 平成18年7月1日付で、金子和夫氏(社団法人電子情報技術産業協
会専務理事)、山田骼搦=i日本電信電話株式会社代表取締役副社長)
に再委嘱します。

(5)放送番組審議会議事録
 編成局および国際放送局から、中央放送番組審議会、国際放送番組審議
会、全国の地方放送番組審議会(関東甲信越、近畿、中部、中国、九州、
東北、北海道、四国)の平成18年5月開催分の議事録についての報告。
(注1:放送番組審議会の内容)


上記のとおり確認した。

 注1:放送番組審議会の内容は、NHKホームページの「NHK経営情
 報」のなかに掲載しています。

      平成18年 7月11日
                     会 長  橋 本 元 一   

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