日本放送協会 理事会議事録(平成18年 5月16日開催分) 
平成18年 6月 2日(金)公表

<会 議 の 名 称> 
  理 事 会 
<会  議  日  時>
 平成18年 5月16日(火) 午前9時00分〜9時30分

<出   席   者>
橋本会長、永井副会長、原田理事、畠山理事、小林理事、中川理事、
小野理事、衣奈理事、石村理事、西山理事

古閑監事

<場         所>
放送センター 役員会議室

<議        事>
 橋本会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項

(1)第1020回経営委員会付議事項について

(2)FM文字多重放送サービスの終了決定について

(3)中央放送番組審議会委員の委嘱について

2 報告事項

(1)地方放送番組審議会委員の委嘱・解嘱について

(2)考査報告

議事経過

1 審議事項

(1)	第1020回経営委員会付議事項について
(秘書室)
 5月23日(火)に開催される第1020回経営委員会付議事項につ
いて審議をお願いします。
 付議事項は、議決事項として「日本放送協会平成17年度業務報告書
および総務大臣への提出(監事の意見書を添付)について」、「日本放送
協会平成17年度貸借対照表等およびこれらの総務大臣への提出(監事
の意見書を添付)について」、「中央放送番組審議会委員の委嘱について」、
「FM文字多重放送サービスの終了決定について」です。報告事項とし
ては「地方放送番組審議会委員の委嘱・解嘱について」です。  
 また、監事から「日本放送協会平成17年度業務報告書に添付する監
事の意見書について」と「日本放送協会平成17年度貸借対照表等に添
付する監事の意見書について」の説明があります。
 そのほか、会長報告などを予定しています。

(会 長)  原案どおり決定します。

(2)FM文字多重放送サービスの終了決定について
(編成局)
 FM文字多重放送サービスの終了決定について審議をお願いします。
 FM文字多重放送サービスは、FM放送の電波の隙間を利用して文字
信号を多重して放送するサービスで、移動体向けマルチメディアサービ
スとして、平成8年から本放送を開始しました。放送法改正により平成
12年度からは「補完放送」の扱いになっていますが、NHKでは、東
京・横浜・千葉・さいたま・名古屋・大阪・京都・神戸の8局で実施し
ています。
 FM文字多重放送サービスは、本放送開始以降、普及が進まず、専用
受信機の販売も終了していること、放送エリアも開始以来拡大していな
いこと、今年4月から、同じ移動体向けサービスのワンセグがスタート
した(ワンセグは情報量が多く、利便性が高く、サービスエリアが今年
中に全国に拡大します)ことなどの理由から、歴史的使命を終えたと判
断し、ワンセグとの重複期間を1年間置いたうえで、来年3月末にサー
ビスを終了したいと考えています。放送法上は、補完放送の扱いのため、
行政上の手続きは不要で、NHKの判断により行うことになりますので、
視聴者のご意見をうかがったうえで、最終決定の手続きをとりたいとい
うことをすでに経営委員会に説明しています。
 サービス終了方針については、今年の3月下旬に公表し、4月2日か
ら5月2日までの期間、視聴者のみなさんのご意見を募集し、その結果
をまとめました。
 意見総数は1か月で18件でした。
 まず、賛成意見としては、「終了は妥当である。理由は、FM文字放
送は普及率・知名度共に低く、対応機器も少ない。ワンセグという高機
能な文字情報サービスが始まり、世代交代は完了しており、視聴者への
影響が少ない。また、NHKの経費削減という方向性に適っている」、「B
S・地上デジタル放送のデータ放送は早くて、内容が豊富。FM文字放
送は遅くて、選択に時間を要し、使命は終わったと思う。ワンセグも開
始され、ますます不要」、「放送が始まった頃、物珍しさもありポケット
ラジオを購入したが今はお蔵入りの感。情報源が多様化して忘れ去られ
た存在。改革を進めるNHKとしては当然の策。問題ないので中止して
ほしい」などがありました。
 次に、反対意見は主にカーナビユーザーから、「天気やニュースが通勤
中の車の中で見られるので重宝している。このサービスは続けてほしい」、
「ドライブ中に文字放送を利用する機会が多いので、天気予報などはV
ICSと平行して継続してほしい」、「カーナビはまだまだ現用で、新た
にワンセグを導入するには高価すぎる」などがありました。
 また、中央放送番組審議会やサービスエリアの関東甲信越、近畿、中
部のそれぞれの地方放送番組審議会でも説明しましたが、サービス終了
の異論はありませんでした。
 いただいた意見の総数が18件と少なく、そのうち賛成意見が半数近
くあったことは経営資源をより効率的に分配するという経営判断が評価
されたものと考えます。また、大多数の視聴者にとってFM文字多重放
送が不可欠のメディアとは必ずしも言えないこと、現ユーザーからの反
発の声も予想より少なかったことなどがわかりました。反対のご意見の
ほとんどがカーナビユーザーからであり、カーナビにとってFM文字多
重サービスは付加的な機能であることを勘案するとサービス終了がユー
ザーに著しい不利益を与えることにはならないと説明できると考えてい
ます。総合的に考え、サービス終了の最終決定を経営委員会に諮りたい
と思います。
 本日、了承されれば、5月23日の経営委員会に諮り、決定されれば、
NHKホームページにご意見への回答を掲載し、あらためて視聴者のみ
なさんのご理解を求め、VICS(財団法人 道路交通情報通信システ
ムセンター)にも正式に連絡したいと考えています。

(会 長)  原案を了承し、経営委員会に諮ることにします。経営委
      員会で議決されれば、FM文字多重放送サービス終了につ
      いて、すぐにNHKホームページへ掲載し、NHKの考え
      方をあらためてきちんと説明するように準備しておいてく
      ださい。また、反対のご意見をお持ちの方には、ご理解い
      ただけるようにしっかりとフォローするなど丁寧な対応を
      お願いします。

(3)中央放送番組審議会委員の委嘱について
(原田理事)
 中央放送番組審議会委員の委嘱について審議をお願いします。
 広野道子氏(21LADY株式会社代表取締役社長)と山根香織氏(主
婦連合会副会長)に平成18年6月1日付で新規委嘱するとともに、菊
池哲郎氏(毎日新聞社論説委員長)を同日付で再委嘱したいと思います。
なお、大河内美保氏(主婦連合会副会長)、黒川光博氏(株式会社虎屋社
長)については、任期満了により18年5月31日付で退任されます。

(会 長)  原案を経営委員会に諮ることにします。

2 報告事項

(1)地方放送番組審議会委員の委嘱・解嘱について
(原田理事)
 地方放送番組審議会委員の委嘱について報告します。
 東北地方で、佐藤あき子氏(青森県JA女性組織協議会会長理事)を
平成18年6月1日付で新規委嘱するとともに、三浦廣巳氏(三傳商事
株式会社代表取締役社長)を同日付で再委嘱します。若井敬一郎氏はご
本人の申し出により、平成18年5月31日付で解嘱します。また、北
海道地方では、毛利稔氏(北海道振興株式会社代表取締役社長)を同日
付で新規委嘱します。なお、北海道地方の中島尚俊氏(北海道旅客鉄道
株式会社代表取締役専務)については、任期満了により18年5月31
日付で退任されます。

(2)考査報告
(考査室)
 18年4月〜5月上旬に放送されたニュース・番組について、概要を報
告します。
 耐震強度偽装事件で、警視庁は4月26日(水)、姉歯秀次元建築士、
木村建設の木村盛好社長、イーホームズの藤田東吾社長ら8人を逮捕し
ました。この事件については、他社に先駆けて捜査の動きを速報しまし
た。速報スーパーで動きを伝えるとともに、総合テレビで午前8時30
分から9時まで「ニュース」を30分間特設し、熊本県の木村建設本社、
東京新宿区のイーホームズ本社、捜査本部のある築地警察署の前から中
継をつないだ記者報告のほか、去年12月の一斉捜索からの経緯も整理
して説明しました。また、強制捜査の見通しを伝えた事前報道も正確で
要点を突いていました。
 衆議院千葉7区の補欠選挙で4月23日(日)、民主党新人の太田和美
氏が自民党候補をきん差で破って当選し、民主党新代表の小沢一郎氏が
初陣を飾りました。この報道では、午後10時32分「衆院千葉7区補
欠選挙 民主 太田和美氏が当選確実」と他社に先駆けスーパー速報し、
それ以降も民主党の勝因の分析や今後の政局の動きも的確に紹介しまし
た。
 NHKスペシャル シリーズ「プラネットアース」(全11集)は、N
HKとBBCが5年の歳月をかけて、地球上でまだ目にしたことのない
風景や生き物たちのスペクタクルをハイビジョンで記録した大型自然ド
キュメンタリーのシリーズです。第1集「生きている地球」(5月7日
 GTV 後9:00〜9:59)は、南極・北極からツンドラ地帯、温
帯から熱帯に至るまで、生きている惑星・地球のダイナミックな自然と
生命のドラマをハイライトでつづりました。長年培ってきた自然番組の
ノウハウや技術力が随所で発揮され、地球のすばらしさを余すところな
く伝えており、最新鋭の機材を使ったエアーショット映像は、一瞬、C
G映像かと思わせるほど精ちでダイナミズムにあふれていました。
 モニターのみなさんからは、「感動の連続だった。映像の美しさ、興味
深い動物の生態、弱肉強食の壮絶なドラマ、ユーモアも挿入され、地球
の雄大さと神秘さに驚嘆させられた」などのご意見があり、絶賛されて
います。ただし、編成については、第1集から第4集まで5月7日(日)
から4夜連続で放送したことについて、大型連休中に集中編成したほう
が良かったのではないかというご意見もありました。
 重量感、存在感を持った大型番組に仕上がったと思いますので、繰り
返し放送してほしいと思います。
 プレミアム10「難問解決!ご近所の底力」(4月17日 GTV 後
10:00〜11:28)は、社会のさまざまな問題の解決の妙案を地
域の人々の知恵を出し合って探る番組で、今年度から月1回90分の放
送になり、メインの「今月のお困り解決」のほかに、「あなたの妙案試し
ます」「ご近所その後」などの新コーナーを設けています。「今月のお困
り解決」は、電車内の迷惑行為についてマナー改善の妙案を探りました。
新年度から90分枠に変更されたことで、新しいコーナーを加えるなど
工夫が凝らされ、さりげない「ちょい詰め運動」や携帯電話の「圏外」
措置なども興味深い実践例で、モニターからもおおむね好評でした。た
だし、これまでに比べ全体として散漫な印象を受け、こうした情報番組
で90分枠や深夜11時半までという放送時間がふさわしいのか疑問が
残りました。
 「江戸の頭脳に挑戦! 粋な遊びのテーマパーク」(5月4日 GTV
 後7:30〜8:44)についてです。江戸時代は“遊びの文化”のら
ん熟期で、“粋”の世界が広がっていました。スタジオに作られた江戸の
テーマパークを「粋な遊びのツアー」の一行が訪れて体験する設定で、
江戸文化の豊かさを考えた番組です。モニターの方からは、「楽しさとお
もしろさがいっぱいの番組だった。盛りだくさんだったがすべて興味深
く、粋で頭脳を競う遊びの存在に驚き、大きな発見をした気持だ。旺盛
な好奇心と向上心が高い文化をはぐくんだことがよくわかった」などの
声が寄せられて、たいへん好評でした。案内役は三宅裕司さんと鎌倉千
秋アナウンサーでしたが、三宅さんのキャラクターによって、この番組
の内容がより楽しいものになったように思います。
 この番組のように、軽妙で知的好奇心にあふれた番組を今後も充実し
てほしいと思いますし、NHKらしい番組企画に外部の才能をうまく起
用する工夫もしてほしいと思います。
 「夢のつづき わたしの絵本」(4月25日 BS2 後11:30〜
11:59)は、絵本の世界の魅力を伝える月1回放送のスタジオ構成
番組で、四月からの新番組です。メインの「わたしの絵本」では、毎回
ゲストがお気に入りの絵本を紹介します。今回のゲストは女優の本上ま
なみさんで、宮沢賢治の『貝の火』を紹介しました。スタジオの雰囲気
もよく、簡潔な構成で深夜にゆっくり楽しめる大人向けの絵本番組で、
司会の渡辺正行さんのトークも魅力的です。モニターからも大好評でし
た。
 週刊お宝TVスペシャル「昭和30年代 TVヒーロー伝説!」(5月
5日 BS2 後7:30〜9:00)は、4月から始まった新番組「週
刊お宝TV」の90分拡大版スペシャルです。今回は、「月光仮面」、「怪
傑ハリマオ」、「少年ジェット」、「鉄腕アトム」、「隠密剣士」、ドラマの
「事件記者」、民放の「てなもんや三度笠」など昭和30年代のテレビが
生んだヒーローを、各界で活躍する著名人の「わたしのマイ・ヒーロー」
のインタビューを交えて紹介しました。団塊の世代の方々などには懐か
しくたいへん楽しい番組でした。また、「主題歌を口ずさむ父親の顔を見
ているのがおもしろかった」など若い方々からのご意見もあり、世代を
超えて幅広く支持されました。こうした過去の番組などを活用したア
ーカイブス番組も大事に制作してほしいと思います。


以上で付議事項を終了した。



上記のとおり確認した。

      平成18年 5月30日
                     会 長  橋 本 元 一   

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