「デジタル時代のNHK懇談会」中間報告
 
1.懇談会設立の経緯
2.「デジタル時代のNHK懇談会」の基本的立場
3.公共放送NHKへの提言
4.最終報告に向けて

 

4 ■最終報告に向けて

 「デジタル時代のNHK懇談会」は昨年6月以来、これまでに13回の会合を重ね、ここに掲げたような項目について活発な議論を行ってきた。私たちはできるだけ多角的に、可能な限り深く考え、議論してきたつもりである。
 幸い、ホームページに公開した議事録を目にしたNHK内外の方々から、さまざまな意見や批判、もっと議論すべき点などが寄せられ、懇談会の討論を実り多いものにすることができた。いま、公共放送、NHK、放送と通信等にかかわる議論が各所で行われているが、その多くは議事録も公開していない。議論の過程それ自体を全面的に公開し、「万機公論に決する」オープンな気風がもっと広がっていくことを期待したい。
  
 最後にひとつ、放送制度の問題を指摘しておきたい。
 公共放送NHKの仕組みや事業内容、予算の成立の要件等については、放送法をはじめとする諸法令がこれを定めており、その規定内容のなかには、NHKの政治的中立性に対する疑いを生みだしかねないものや、技術や社会の進展に即した新しいサービスの展開の手枷や足枷になるものが少なくない。
 新しい時代の放送界を活性化させ、公共放送NHKの基盤を整備して、視聴者一人ひとりの暮らしと人生を、ひいては地域と社会全体を豊かにしていくためには、現在のNHKと民放双方の放送事業の前提となっている放送制度を根本から見直し、制度自体の改革の方向性を確立することが不可欠である。放送と通信の競合・融合・連携が現実性を帯び、NHKが危機から再生へと向かおうとするいまこそその好機であり、この「秋(とき)」を逃してはならない。