第3回「デジタル時代のNHK懇談会」議事録

辻井座長  それでは約1時間ばかりご議論いただきたいと思います。ご自由に発言いただきたいと思います。

梶原委員  ここの世帯数の中に事業所は入っていますか。

小林理事  これは一般世帯ですので、ここには入っていません。

事務局  事業所は、総務省が日本の企業の統計調査をして、この調査で事業所数というのは635万です。ただ、この635万というのは、飲食店や理髪店というところも入っていまして、自宅と一体の場合は、受信契約も一般世帯というかたちです。そういうものが、635万のうち353万です。残り282万が事業所契約の対象になっている事業者というかたちです。この282万の事業所に対して、その中から、サンプル調査をしております。事業所の中で、テレビを設置しているのが、282万のうちの44%です。テレビを設置している事業所は、4人くらいの従業員の事業所だとか、そういった小さなものが大半ですので、テレビを設置している平均台数は2台で、したがいまして契約対象になるテレビの設置台数が284万ございます。そのうち有料の事業所契約は、契約をしていただいているところが215万ありまして、未契約が69万。したがいまして、事業所の契約率は76%です。これが16年度末における決算の数です。

梶原委員  契約率は一般世帯とほぼ同じ位ですね。

事務局  一般世帯が80%の契約率ですから、若干、低いのですが。これは、事業所の場合は、たとえば、総務の方、担当の方を見つけ出して、契約交渉をするといったようなことで、契約に手間がかかります。

梶原委員  これは日本全体の数字ですが、県別にもぜひ出してほしいと思います。岐阜県の場合、受信料の収入額は約110億円ですが、岐阜放送局が県内向けに放送するため等に年度当初に配分される予算は、人件費等を除くと5億円程度と聞いています。110億円というと、お隣の石川県と福井県を合わせたぐらいの額です。個人別の不公平感もあるけれども、地域単位の不公平感もある。予算が少ないということで、これは如実に岐阜放送局の放送サービスに影響するのです。我々現場から考えると大きな課題ではないかと思います。
 そういうことで、地域局単位の受信料収納額と人員配置はどうなっているのか。それから編成権というのは地域局にどの程度与えられているのか。私もいろいろな角度から勉強してみたのですが、受信料を納めているという地域単位の負担と、受益という対価関係にあるサービスとが、非常にアンバランスである。
 大都市で人口が多いから大いに放送サービスをするというのは、やはり受益負担の関係からいくと不公平だと思います。
 そういう点で、受信料が大事であれば、「受信料と対価関係に立つ放送サービスとの関係」をより綿密に調べていただいて、公表してもらうことが必要だと思います。
 今、いろいろ努力されているのはわかりますが、手で傷口の出血を抑えている程度のことです。とにかく構造的な解決を図っていかなくてはいけない。それでこそ視聴者は受信料を払うということに納得できる。そういうことが一番大事なことです。現場ではNHKはいい放送やっている、内容のいいのがある、これは共通の評価だと思います。それに対して受信料を払ってもいいという素朴な感情は、これはまさに対価関係に立っているのです。だから、真実を報道する、政治的に中立であるという信頼性、また、金の垂れ流しをやっていないかという、コストの面から見た価格妥当性、要するに、対価関係に立つ受益とサービスとの関係をよりシステマティックに提示していただきたい。これを事務局にお願いしておきたいと思います。

小林委員  さきほど説明していただいた資料について追加質問ですが、先程、笹森さんが、拒否・保留の理由について、いくつか、年齢別等がないかご質問がありましたが、ここに書いてある分類の100%の総母数というのは絶対数でいくらあるのですか。パーセンテージはわかりますが、5〜7月のテレマーケティングの反応ということで、これは電話だけですか。実際に個別に行かれたものも含めてですか。

事務局  5〜7月は2万6804件になっております。また、今年の2〜3月は1万9036件です。

小林委員  2万6千というのは、「支払い拒否・保留」であげたトータルで出てきたものの何パーセントぐらいですか。1万9千、2万6千というのは、「払わない、保留している」という方々の何パーセントぐらいをテレマーケティングでリサーチしているのですか。

事務局  だいたい、117万件拒否がございますので、2%ぐらいになると思います。

小林委員  117万というのは、今までずっとですね。

事務局  はい。その累計の中では。

小林委員  それはわかりましたが、5〜7月に起きたものだけではなくて、テレマーケティング活動をしてわかったのが2万いくらだったということですね。

小林理事  5〜7月に新たに発生したものだけを対象とするのではなく、全体の支払い拒否の母数に対してそのつどやるものですから、今で言えば117万件の最大値がありますが、ほぼその数に対しての2万6千ということです。

江川委員  さっき、年齢別は個人情報の関係で、とおっしゃいましたが、何で個人情報保護法があると、年齢別のものを出していただけないのかよくわからないのですが、そもそも調べをしてないということですか。

小林理事  たとえば営業活動のなかでは、契約の範囲でいいますと、先程も申し上げたように、世帯単位の契約になります。そこには家族構成がありますが、どういう意見を持っているか、一人ひとりに聞くわけにはいかないということもあります。世帯契約なので、それ以上のことは聞く必要はありませんし、個人情報保護の観点から聞いてはいけないという制約があって、どうしても個別のどなたさまがどういう意見を言っているかということは把握できません。それ以上は踏み込めないということがあって、営業活動ではなかなか把握できないという状況にあります。

江川委員  ただ、細かくはわからないにしても大まかな傾向として、老人のいる世帯が払っているのか、若い単身者は払っていないとか、世帯主の年齢と家族の人数ぐらいはあったほうが傾向は掴みやすいと思うのですが。

小林理事  本来はそうしたいと思いますが、たとえば、たまたまうかがった時に、奥様が出られたとして、「奥さまですか」とは聞けません。「何歳」というのももちろん聞けませんし、反対に「今、家の方がいないので」と断られるケースが多いのですが、それ以上なかなか聞けないというのが今の実情です。

江川委員  そうすると、民間の業者に委託して調査するとおっしゃいましたが、それも同じですか。

小林理事  それはあくまでも第三者機関が調査するということで把握していただきます。NHK自らが調査するわけではないので。

江川委員  NHKは個人情報保護法があるとできないけれど、民間会社はできるということですか。

小林理事  NHKは受信契約という約束のなかでしかできないので、制約を受けるということですので、そこがむずかしいところです。たとえば、電話でご意見なりお問い合わせしていただく場合については、性別はすぐわかるのですが、何歳かというのはあくまでも電話の声色、トーンで把握する以外にないという厳しい状況です。本来は、より詳細に把握したいのはやまやまですが、むずかしいということです。

江川委員  受信料の対応を考えるためのことであっても、聞いてはいけないことになっているのですか。

小林理事  そういうことを改めてお願いにあがればいいのですが、我々の持っている契約者の情報をもとに聞きにいくということ自体が、個人情報保護に抵触してしまうことになりかねません。それもできないということで、今度、第三者機関に調査を頼むことにしていますが、契約者も非契約者も関係なく、アトランダムに抽出した方に、「調査にご協力いただいてよろしいですか」とお尋ねして、調査をします。こうすることで初めて可能になります。

江川委員  結果はいつ出るのですか。

小林理事  今月中には何とか予備的調査を終わりたいと思っていますが。

小林委員  受信契約をしたときに、受信者総数のいろんな特性を踏まえたプロファイルはお持ちですか。

小林理事  契約者総数に対するものですか。

小林委員  とにかく契約をしておられる方は、受信契約をした段階では特性は全部書いてあるわけですね、わかるわけですね。

小林理事  特性というか、世帯単位ですので世帯の代表者名はございます。

小林委員 代表者名だけを取った場合に、年齢その他はわからないわけですね。

小林理事  基本的には必須の条件にならないものですから。

小林委員  まったく情報はないわけですね。

小林理事  住所、氏名、電話番号だけが基本です。

小林委員  もともとそういう情報がないわけですね、お客様に対しては。

小林理事  全数に対して、きちっと把握しているということはありません。

小林委員 くどいようですが、全数はないけど、いくらかはあるということですか。もともと契約するときに年齢だとか一切言う必要はないから。

小林理事  それを前提としませんから、個別には把握していません。

事務局  今回、お示ししているのは、通常の営業活動のなかで把握できた限りにおける意見を分析して出しております。通常の営業活動のなかで、契約収納業務の遂行上、必要なものについて適正かつ公正な手段で個人情報を取得しなさいということがありまして、放送受信規約の中に、取得できる個人情報が限定列挙されています。要するに住所、氏名とか、受信機の設置の日、受信契約の種別、カラーとか衛星であるとか。それから受信機の数、そういったものについては、通常の営業活動のなかで、個人情報として契約収納するために必要だから収集してよろしい。それ以上のことについては通常の営業活動で、たとえば、年齢や家族人数とか、どこにお勤めですかとか、国籍とか、そういったことについて取得することは制限されています。
 したがって通常の営業活動の中で把握したデータはこれだけですが、たとえば、通常の世論調査をNHKが行なう場合や、民間に委託するケースについては、個人の方がお答えになっている、性別とか年齢、職業については把握できます。
 今回、お出ししているのは、通常の営業活動のなかで実施した範囲において把握した個人情報に基づいており、世代ということについては把握しておりません。

江川委員  世論調査みたいなものは。

事務局  支払い拒否・保留者については、世論調査は今まで実施していません。それについては、改めて全体の中で取り出してやろうとしているところです。

梶原委員  第三者に民間委託される場合、調査対象は世帯主ですか、あるいは個人ですか。

事務局  一般に我々の場合は世帯契約ですので、世帯主あるいはそれに代わる方という、その範囲の中でお答えいただくというかたちでやっております。

梶原委員  NHKに対してどういうイメージを持っているかということになると個人単位ですね。受信料を払うか払わないかということについては、世帯主の判断かもしれないが、実際、世帯単位で金を払う、払わないを決めているのは、家庭の主婦ですよ。財布を握っている。私のところなんか財布を握られているからね。世の中そういう人は多いかもしれないから、世帯主がターゲットというのは、考えないといけない面があるのではないかと思います。

小林理事  お言葉ではありますが、それで奥様がおられて、よかったと思うと、「主人がいませんので」とすぐ言いわけされるケースがありますから、そこはまた辛いところですが。

梶原委員  むずかしいね。

       
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