第3回「デジタル時代のNHK懇談会」議事録

■開催日時:平成17年8月3日(水)午後1時から3時

■場 所 :NHK放送センター5階特別会議室

■出席者
懇談会委員(五十音順、敬称略)
家本賢太郎、江川紹子、音 好宏、梶原 拓、金澤 薫、小林陽太郎、
笹森 清、新開玉子、辻井重男(座長)、永井美奈子、長谷部恭男(座長代行)、
藤井克徳、山内豊彦、山野目章夫、吉岡 忍 (15名)
NHK側
会長 橋本元一、副会長 永井多惠子、
理事 原田豊彦、畠山博治、小林良介、中川潤一、小野直路、衣奈丈二、
石村英二郎、西山博一、
総合企画室〔経営計画〕局長 望月雅文、担当局長 平賀徹男

■議事次第
1.開会
2.受信料不払いの現状【資料1】
3.「NHK新生プラン」の検討状況
4.閉会

■議事録のPDF版はこちら(87KB)


1.開 会

事務局   皆さま、お忙しい中ご出席いただきましてありがとうございます。今回は全日空の山内委員が所用のためご欠席ですが、15名の方にご参加いただいています。

辻井座長  それでは第3回を始めます。 前回、公共放送の存在意義ということで長谷部座長代行に基本的な考え方の整理をしていただいたうえで、色々なご意見をいただきました。
 特に公共性という言葉の意味の変化、政治との距離の問題、NHKの体質の問題などが出されました。また、NHKが視聴者へ向くこと、視聴者の声やニーズを反映した仕組みを充実させること、あるいは、国会で予算の承認を受ける制度そのものを変える提言をしていくべきではないか、というご意見も出されました。また多くの委員から受信料不払いの理由を分析したデータを知りたいというご要望もありました。また9月に発表される予定のNHKの「新生プラン」について説明してほしいというご要望がありました。
 それから第1回のご意見を整理して、12月までの議論の進め方を、前回お示ししたわけですが、「新生プラン」や「新経営ビジョン」について事前に議論ができるスケジュールにしてほしいというご指摘もいただきました。
 第1回の様子ですと、「存在意義」について議論しないと収まらないかなという雰囲気もありましたが、第2回では、やはり受信料という喫緊の課題を中心に、それを通して存在意義も考えていくという議論の流れに変わったと思います。
 それから、じっくり議論すべき問題を分けるべきだ、というご意見も踏まえまして、受信料から入っていく。そして、その奥にある本質的な問題を議論するということでどうかということです。
 短期、長期という分け方があると思います。長期というのは、場合によっては法律改正まで必要だということがあると思います。それからテーマとしては受信料の問題と、ガバナンス・政治との距離のとり方、そういったことがあると思います。 そういう2×2のマトリックスの中で、まず現制度でやれることはどういうことかということがあると思います。
 キーワードとしては、梶原委員のおっしゃった「デジタル民主主義」あるいは地域に根ざした「MyNHK」、「OurNHK」ということがあって、長期的な法律改正の問題との係わり合い等が問題になってくる。一応、時間軸の整理はそういうことで、現制度でやれる範囲、それから法律改正に及ぶ範囲になると思います。テーマとしては「受信料の問題と政治的中立性」の問題かと思います。
 まず今日は、ご要望の多かった受信料不払いの現状、あるいは理由の分析・対策について、NHKから説明をお願いします。今回の資料等については一部、委員限りでお願いしたいという要望も受けていますが、この辺は、座長判断ということにさせていただければと思います。
 それでは、小林理事から、不祥事をきっかけとした受信料支払い拒否・保留の現状について説明をお願いします。

2.受信料不払いの現状(資料1)

小林理事  それでは資料に沿って、受信料支払い拒否・保留関係以外にも、基本部分についても記載していますので、それを含めてご説明したいと思います。

『一般世帯の受信契約の状況について』
 まず「受信契約の状況」です。一般世帯ですが、有料契約対象は4300万件あります。免除該当世帯など有料契約対象外の世帯が640万ぐらいあります。それらを除いた4300万が有料対象の世帯です。契約率は現在80%となっています。
 その有料の契約のなかで、口座振替でお支払いいただいている方が2655万件、全体の77%に相当します。営業の地域スタッフが訪問集金におうかがいしている方が、577万件。その他に、「継続振込みの世帯」が215万件あります。これはコンビニ、郵便局で振替用紙を持ってお振込みいただいている世帯です。
 したがって、口座振替の世帯2655万と、継続振込み215万を足したものが、直接地域スタッフがおうかがいすることなく、間接的にいただいている世帯です。足し合わせると、かなりの率が間接的収納になります。これはNHKにとって非常にありがたいものです。
 しかし、この一連の不祥事で口座振替利用を中止する方が増え、2〜3月がピークでした。その後は減少傾向にあります。

『不祥事をきっかけにした受信料支払い拒否・保留の推移』
 「支払い拒否・保留」は、16年度末までに74万7千件発生しました。特に、2〜3月がピークで35万件でした。それに比べると新年度に入って以降、4〜5月、あるいは6〜7月でかなり下がってきています。4〜5月が40%以上急激に下がったのですが、6月〜7月があまり下がっていません。実はこれは口座中止との関連があります。口座が中止になると契約そのものがなくなるわけではなく、訪問集金に切り替わります。そうしたお宅に地域スタッフが集金にうかがうと、支払い拒否・ 保留となるケースが非常に多いわけです。
 支払い拒否・保留の、4〜5月、6〜7月分の中身を分析すると、大半が口座中止の方から回っているというものです。現在、口座中止が減ってきているため、8月以降、実際に集金にうかがうときに、その部分の要素が少なくなるので、支払い拒否・保留もこれからかなり減っていくのではないかと見ています。

『受信料支払い拒否・保留の理由の変化』
 次に、「支払い拒否・保留の理由の変化」ですが、これについては、今年の2〜3月と、5〜7月の2つに分けたデータがあります。2〜3月の場合は、職員による訪問面接調査・信頼回復活動で、営業以外の職員も含めて、各戸を訪問して承ったご意見をまとめたものです。5〜7月の分は、電話で様々なお願いをしていますが、電話による聞き取り調査のデータです。
 これをご覧いただきますと、大まかに、どういう理由で、拒否・保留されたかわかると思います。2〜3月の段階では、不祥事、経営陣への批判が35%、あるいは不公平感、制度批判が19%とありますが、とくに不公平感、制度批判が2〜3月に比べると、直近の5〜7月が増えているということで、ここはかなりご意見に違いが出てきたところです。そういうことで、昨日の記者会見の場でもこの傾向について申し上げたところです。
 前回、世代別の分類を行っていないのかというご指摘もいただいたのですが、NHKは世帯単位の契約になっているので、契約の代表者名はありますが、個人情報の取り扱いの問題があって、ある種の制約があります。
 具体的には、契約収納業務に関連するものに特定せざるを得ないということで、個人情報の収集に当たりましても、電話番号、あるいは在宅時間、ご意見、ご要望は、分析は可能ですが、それ以外については、法の趣旨に沿って適切な範囲でやらざるを得ません。もちろん、性別などはその場で個別に対応していただく方はわかりますが、世帯単位ということで、年齢、性別は基本的に把握しない方式で行っていることを、是非ご了解いただきたいと思います。
 では本当にどういう実態になっているかについては、第三者の調査機関に委託して、その点などを詳細に把握する調査を検討しているところです。

『受信料の公平負担に向けたこれまでの取り組み』
 次の頁は、「受信料の公平負担に向けた取り組み」です。支払い拒否・保留者、あるいは口座振替中止者、全視聴者等々に対して、個別の対策を実施しているところです。
「支払い拒否・保留者」に対しては、大都市圏、東京・大阪を中心に、NHK以外の営業ノウハウを豊富に体験された方に委託をして、特別対策チームを作って、集中的な対策をしています。
 また現在、第4次と称して、全国のNHKの職員が「支払い再開」を要請する活動を訪問活動、電話活動でやっています。6月から9月まで、現在既に3千人が参加して実施しています。4万件近く対応させていただいています。
 「口座振替中止者」に対しては、中止の連絡があったらなるべく早い段階でお電話をさしあげて、お話を聞きながら口座再開を要請しています。振替中止が訪問集金に切り替わって、地域スタッフ、あるいは営業職員がうかがうことになります。
 これが増えると、いわば人海戦術でいくことになりますが、お訪ねしてもなかなかお会いできないというケースが増えますので、なるべく口座振替中止を減らしていきたいというのが先程申し上げたとおりです。
 「全視聴者」に対しては、NHKの改革・ 新生の取り組みについて周知していこうということで、たとえば既に契約してお払いいただいている方に対しても、お手紙を差し上げて、NHKの取り組み状況等を、ご理解いただく活動を展開しているところです。もちろん、放送を通じても、様々なスポット番組等でNHKの取り組みについて紹介しているところです。
それから「直接、視聴者の声を聞く」ということで、改革の取り組みで大きな柱としている「ふれあいミーティング」を、全国で1年間で1千回以上行っていこうということで取り組んでいます。すでにこれまでに560回実施しています。1万5千人の方にご参加いただいて様々なご意見をいただいています。
 最後に、「支払い拒否・保留者、未払い者」、いわゆる支払い拒否以外の方も含めて、まだ支払っていただけない方に関しては、NHKから、「督促状」というと厳しい言葉ですが、振替用紙を添付して、制度に則ってお払いいただきたいというお手紙を差し上げています。
 NHKというのは拒否しても何も言ってこないから大丈夫だろうというのが、何となくいわれていたところです。そこにこうした手紙を2回に分けて差し上げると、振込用紙も入っているということで、それなら払いますという方が実はたくさんいらっしゃいます。私どもとしては、もちろん丁寧に説明等は行いますが、きちんと制度を理解していただく活動も必要だと実感しています。
 そうした取り組みの結果が、「受信料支払い再開」、つまり、一旦は支払い拒否をしたけれども、支払いを再開しますと言っていただいた方の数です。
 支払い再開は、昨年8月から今年3月までの半年でも8千件でした。それが新年度に入って、4〜5月の第一期で9千件、6〜7月の第二期で2万1千件と、急速に増えており、私どもとしては非常にありがたいと思っています。
 支払い再開の件数と、支払い拒否の件数とのプラス・マイナスが、支払い拒否者が増えるか減るかということになります。今のところ支払い拒否が21万1千件で、それに対し同時期で支払い再開が2万1千件ですから、その差は非常に大きいのですが、先ほど申し上げたように口座中止が減ってきています。これが支払い拒否の減少につながっていくということと、「支払い再開」は反対に増えていくということで、差し引きで将来を見通しますと、その差は縮まって、いずれは支払い拒否者の数が減っていくと見込んでいます。何としても早く、支払い拒否者を減らしていくため、全力をあげているところです。

【参考】 『受信契約が必要となる根拠と受信料体系』
 これから先は参考ですが、受信契約が必要となる根拠と受信料体系です。ご承知の通り、「放送法第32条」に、受信契約の根拠が記載してあります。「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」と規定されています。
 それに加えて、受信契約の内容である受信料体系は受信規約で定めていますが、これは総務大臣の認可を得てNHKが決めています。ここに、「契約の種類」、「契約単位」、「支払い義務」、「受信料額」が記載されています。これを根拠にNHKは契約ならびに収納をさせていただいているというものです。
 このなかの「契約種別」に、「普通契約」というのがあります。それと「カラー契約」、この2つが基本です。この他に「衛星カラー契約」と「衛星普通契約」があります。「白黒契約(普通契約)」があることについて、これは不公平ではないのかというご指摘をよくいただいていますが、そういった契約種別についてもこの中に書いてあります。今後、受信料体系の議論の中でもこうした問題も出てくるものと思われます。
 「契約単位」については、一般のご家庭は「世帯単位」、事業所は設置場所ごとにテレビ1台につき1契約という契約単位になっており、それぞれ異なっています。
 このなかで受信料体系がどうあるべきかということも、この懇談会で議論していただこうと思いますが、一つの典型的な例が次の参考に書いてありますので、ご説明します。

【参考】『受信規約の具体例』
 受信契約は、基本的には世帯単位です。一世帯に一契約です。どういうことが起こっているかということがこの図です。家族の構造をあらわしていますが、下に奥様が実家にいらっしゃる。右側上に、ご主人が単身赴任され、別のところに世帯を構えてテレビを置いておられる。その左側は、息子さんが学生で学生寮、アパート、下宿などに住み、そこでもテレビを買って見ているというケースです。
この場合、三世帯の扱いとなり、三つの契約が必要になるということです。ただし、自宅で暮らす奥さんの家にテレビが何台あっても一契約です。
 その右側は、一軒家の二世帯住宅をあらわしていますが、この場合は同一の生計と認められれば、一契約で済むという例です。
 端的に申し上げると、よく言われることは、二階にはお子さんの世帯が住んでいる。一階には親御さんが住んでいる。親御さんは年金でゆとりのある生活をされているというなかで、これでも一契約であるというのは、いかがなものかというご指摘もいただいているのです。なお、右に書いてありますが、その上に、テレビ付きのカーナビを車に持っている。あるいはテレビ付きの携帯電話を持っているという場合でも、世帯の延長線上であるということで、契約は全体で一契約で済むというものです。
 放送と通信の融合時代に、そうした様々な形態でテレビを受信できるということがますます広がっていく中で、この受信契約、世帯単位という今のシステムが果たして適切なのかどうかという部分については、これからの時代を見ながら考えていく必要があり、懇談会でもぜひ議論していただきたいと思います。
 その下にある割引率は、一年払いが7.5%、半年前払いは5.0%です。これは平成元年に決められて、それ以降変わっていません。口座振替は月額50円の割引。これが現在の割引システムです。郵政公社の簡易保険の割引率、あるいは金融機関の預金金利と比べますと、非常に高い有利な割引率になっています。こういうことについても、今後の議論の対象になろうかと思っています。最後のページは受信料額表を参考として載せています。

辻井座長  笹森さんが退席されますが、何かございますか。

笹森委員  では一つだけ。「拒否・保留の理由変化」が数字的に出てきたのでよくわかるようになったのですが、この中で、番組に対する批判で払わないのが約10%ありますが、これの年代層の区分けはわかりますか。

小林理事  これは営業活動のなかで把握したものでして、先ほど申しました個人情報との関係もありまして、年代層については把握できていません。

笹森委員  「改革の様子見」というのが22%ありますが、後ほど今日の議題にもなります改革・ 新生の取り組みの内容にも関連してくると思いますが、先ほど辻井座長から、短期・長期という分け方があるという話があり、前回もそういう話になりました。ここで110万件を超えてきた不払いの件数というのは、相当深刻を通り越しているのではないかと思うので、短期の問題をどう急ぐか、そこのところの論議に集中的に入ったほうがいいのかなという感じが、この数字を見ていたします。それだけ申し上げさせていただきます。
    
辻井座長  どうもありがとうございました。では続けてください。

小林理事  最後のページは受信規約に毎年定めるものです。平成2年度に値上げして以降、基本的には消費税部分を除いて、料額は変わっていないというものです。説明は以上です。


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