NHK INFORMATION
業務報告書


第2章 放送番組の概況



1 国内放送

 (1) 番組の編成

  ア 重点事項

 放送番組の編集に当たっては、公共放送としての使命に徹し、信頼性あるジャーナリズム機能と文化創造機能の一層の向上に努めつつ、公正な報道と多様で質の高い放送番組の提供に努めた。

 社会状況とメディアの変革の中で、視聴者の信頼と多様な要望にこたえるため、地上放送、衛星放送各波の役割をより明確にし、次を年度重点事項として、放送番組の一層の充実に努めた。なお、10月5日、衛星第2放送で、テレビジョン補完放送(文字)として字幕放送を開始した。

 1. テレビジョン総合放送の24時間放送化
 2. 地域放送の充実強化と地域からの全国発信の推進
 3. ニュース・情報番組の充実と迅速、適切な災害報道の実施
 4. 創造性豊かな番組の開発による夜間のテレビジョン総合放送の充実
 5. テレビジョン放送における時間帯ごとに特色のある編成の強化
 6. 大型企画番組の積極的編成
 7. 独自番組の開発等による衛星放送の強化とハイビジョン放送の放送時間拡大
 8. 字幕放送等の障害者向けサービスの拡充と福祉番組の充実
 9. 冬季オリンピック・長野大会を多角的に伝える番組の積極的編成

  イ テレビジョン

  (ア) 地上放送

 総合放送では、広く一般を対象に、国民の生活・視聴態様に対応して、報道、教育、教養、娯楽の各分野にわたり調和ある編成を行った。教育放送では、組織的、継続的な教育番組を中心に、教養番組を効果的に編成するとともに、報道番組若干を編成したほか、総合放送における組閣関連報道の実施に伴い、臨時に娯楽番組を編成した。地域放送については、地域に密着したニュース・報道番組や教養番組を中心に編成し、あわせて地域の実情に応じた特別番組を随時編成した。

 4月には、番組改定を行い、総合放送では、緊急報道や生活時間の多様化に対応するため、深夜の放送時間を拡大し、日曜深夜を除いて24時間放送とした。また、平日午後6時台を各地域向けニュース・情報番組の時間帯として刷新するとともに、夜間及び土曜日午前の編成を刷新強化するなど、ニュース・報道番組、教養番組、娯楽番組の充実刷新を図った。このほか、年間を通じて、特集編成を随時、集中的かつ弾力的に実施するなど、機動的編成を推進した。教育放送では、平日夜間8、9時台を趣味・生活実用番組、10時台を教養番組の時間帯とするなど、時間帯ごとに特色のある編成を推進するとともに、文化・教養番組、福祉番組等の充実刷新を図った。

  (イ) 衛星放送

 衛星第1放送は、国際情報と国内情報を中心に編成し、あわせてスポーツ番組等を編成した。衛星第2放送は、難視聴解消を目的として、総合放送及び教育放送の主な番組を編成するとともに、大型エンターテインメント番組をはじめとする衛星独自番組を効果的に編成した。

 4月には、番組改定を行い、衛星第1放送では、内外の多様な情報を伝える番組の充実を図るとともに、平日夜間のスポーツ番組の放送時間を大幅に拡大するなど、スポーツ番組の編成を強化した。衛星第2放送では、世界の自然や文化を長時間の生中継により紹介する番組や視聴者の参加により心に残る日本の歌を選ぶシリーズ番組を開発するなど、衛星独自番組の編成を強化した。

  (ウ) ハイビジョン放送

 1つのチャンネルで複数の放送事業者が曜日別、時間別に放送を行っているハイビジョン放送については、その早期普及に向け、高画質・高音質かつワイド画面の特性を生かした多様な番組を編成した。

 4月には、番組改定を行い、放送時間を週5時間拡大して62時間とするとともに、独自番組の充実を図った。

 また、10月、ハイビジョン放送のさらなる普及を目指して番組改定を行い、放送開始時刻を午前7時に繰り上げ、放送時間を週83時間とした。

  (エ) テレビジョン補完放送

 テレビジョン音声多重放送として実施してきたステレオ放送、2か国語放送、解説放送及びテレビジョン文字多重放送として実施してきた字幕放送については、放送法の改正に伴い、10月以降、テレビジョン補完放送として実施した。

 テレビジョン補完放送(音声)として、ステレオ放送、2か国語放送、解説放送をテレビジョン各波の一部番組で実施し、高音質のBモードステレオ放送については、衛星放送及びハイビジョン放送の一部番組で実施した。解説放送では、視覚障害者向けの番組を編成した。

 テレビジョン補完放送(文字)として、聴覚障害者向けの字幕放送を実施し、総合放送で対象番組を3番組拡充した。また、10月5日、衛星第2放送で放送を開始した。

  ウ ラジオ

 第1放送では、広く一般を対象に、聴取態様に対応して、報道、教育、教養、娯楽の各分野の番組を編成し、特に、ラジオの機動性及び速報性を生かした弾力的編成を行った。第2放送では、教育番組を中心とした全国同一放送として、聴取対象を明確にして編成し、FM放送では、その特性を生かした音楽番組に重点を置いて編成した。地域放送については、第1放送及びFM放送において、地域の関心にこたえる番組を編成した。
 4月には、番組改定を行い、第1放送では、朝のニュース・情報番組、生活情報番組等の充実強化を図り、第2放送では、夜間の教養番組の充実を図った。FM放送では、週末午後のリクエスト番組を拡充するなど、音楽番組の充実を図った。

  エ 多重放送

 テレビジョン文字多重放送については、ニュース、番組ガイド等18項目の番組を編成したほか、随時、特別番組を編成した。

 また、FM文字多重放送については、東京、大阪、名古屋等8局で放送を実施し、6項目の番組を編成した。

  オ 放送時間及び放送事項別比率

 放送時間については、1日平均、テレビジョンで、総合放送23時間11分、教育放送18時間21分、衛星第1放送23時間45分、衛星第2放送23時間39分、ハイビジョン放送10時間35分、ラジオで、第1放送23時間34分、第2放送18時間30分、FM放送19時間31分であった。テレビジョン補完放送(音声)は、総合放送11時間50分、教育放送8時間11分、衛星第1放送15時間16分、衛星第2放送16時間25分、ハイビジョン放送10時間35分であった。

 放送事項別比率については、年度平均、テレビジョンで、総合放送は報道40.8%、教育11.4%、教養29.1%、娯楽18.7%、教育放送は報道3.0%、教育77.0%、教養20.0%、娯楽0.0%、衛星第1放送は、報道56.3%、教育12.7%、教養21.2%、娯楽9.8%、衛星第2放送は、報道14.1%、教育31.2%、教養22.3%、娯楽32.4%、ハイビジョン放送は報道20.4%、教育18.2%、教養37.7%、娯楽23.7%、ラジオで、第1放送は報道49.2%、教育2.8%、教養23.4%、娯楽24.6%、第2放送は報道15.1%、教育65.7%、教養19.2%、FM放送は報道11.6%、教育6.8%、教養46.4%、娯楽35.2%であった。

 (2) 番組の実施

  ア 報道部門

 ニュースをはじめ、内外の諸情勢を解明する各種の報道番組の充実を図るとともに、臨機の編成による速報と重点的な報道に努めた。報道取材に当たっては、緊急時における機動力の向上を図るとともに、海外取材体制を強化した。

 テレビジョンにおいては、総合放送で、各地域向けのニュース・情報番組(関東地方では「首都圏ネットワーク」)等を新設するなど、、ニュース・情報番組の充実に努めた。NHKスペシャルでは、「企業舎弟・闇の暴力」、「裁かれる戦争犯罪−旧ユーゴ国際戦犯法廷の記録−」、「地震列島・日本−最新情報を防災にいかせ−」、「調査報告 ダイオキシン汚染」、「突入−日本大使公邸人質事件の127日間−」等を放送した。クローズアップ現代では、「香港返還・中国は何をめざすか」、「神戸・小学生殺害事件」、「巨大証券会社の崩壊・何が山一を追いつめたのか」、「宙に浮いた海上ヘリポート基地」等を放送した。教育放送では、「NHK手話ニュース845」を新設した。衛星第1放送では、「NHK週刊英語ニュース −NHK NEWS JAPAN WEEKLY−」、「アジア情報交差点」等を新設した。ラジオにおいては、第1放送で、「おはようラジオワイド」等を新設した。

 ペルー日本大使公邸人質事件、神戸小学生殺害事件、大手証券・銀行の不正利益提供事件、鹿児島県出水市土石流災害、ダイアナ元英皇太子妃死去、第2次橋本改造内閣発足、相次ぐ金融機関の経営破綻、大蔵省・日銀汚職事件等の重要ニュースの放送に際しては、随時、特設ニュースの編成やニュース時間の延長を行ったほか、関連番組を集中的に編成し、正確かつ機動的な報道と問題点の解明に努めた。

 解説番組については、「あすを読む」、「視点・論点」等を放送し、ニュースの背景、問題点等をわかりやすく解説するよう努めた。

 広報番組については、「週刊たまご−NHK番組ガイド−」、「あなたの声に答えます」、「BSアンテナ」を新設するとともに、「テレマップ」、「BSチャンネルガイド」等を放送したほか、特別番組を随時放送した。

  イ 教育部門

 学校放送番組については、テレビジョンにおいて、教育放送で、幼稚園・保育所向け番組「たっくんのオモチャ箱」、小学校中学年向け番組「トゥトゥアンサンブル」、5年生向け番組「なぜなぜ日本」、高学年向け番組「虹色定期便」、中学校・高校向け番組「スクール五輪の書」、「10min.ボックス」を新設した。

 社会教育番組については、テレビジョンにおいて、教育放送で、「列島 福祉リポート」、「NHK歌壇」、「新日曜美術館」等を新設した。また、「趣味悠々」を新設し、「グアムでレッスン レジャーダイビング入門」、「千葉麗子の親子で入門インターネット」、「犬と楽しく暮らそう」等を放送したほか、NHK人間大学として、「源氏物語の女性たち」、「マルチメディア・21世紀の見取り図」、「共生社会への道」等を放送した。衛星第2放送では、「BSこどもステージ フルーツサンデー」、「何でも解決パソコンマガジン」等を新設した。

  ウ 教養部門

 テレビョンにおいて、総合放送で、「なぞ解き歳時記」、「オモシロ学問人生」、「ふれあい通り」、「夢用絵の具」、「ドキュメントにっぽん」、「トップランナー」、「土曜元気市」等を新設した。NHKスペシャルでは、「家族の肖像〜激動を生きぬく」、「街道をゆく」、「日本再建」等の大型企画番組、「昭和天皇・二つの“独白録”」、「摩周湖−神秘の湖の素顔に迫る−」、「生殖異変−しのびよる環境ホルモン汚染−」等を放送し、土曜特集では、「幻の音・懐かしの音 心に響く音の旅」、「ビジュアル大図鑑・あなたの知らない驚異の大宇宙」等を放送した。このほか、特集番組として、「シルクロード鉄道紀行−民族の夢を乗せ11000キロ−」、「シリーズ・モノの終わり」等を放送した。教育放送では、海外少年少女ドラマ「おまかせアレックス」、「メディアと教育」等を新設したほか、ETV特集として、シリーズ「21世紀の日本人へ」、「ドイツ歴史教科書」、「弁護士・中坊公平」、「生命誕生の現場〜最新技術がもたらす重い課題」等を放送した。

 衛星第1放送では、「ハローニッポン−われら地球人−」、「コンピューター情報最前線」を新設した。また、日曜スペシャルとして、大型シリーズ企画番組「21世紀への証言」を新設したほか、「金髪のヨハネス−ナチにさらわれた子どもたち−」等を放送した。さらに、特集番組として、「ネットわくわく 世界の12歳」、「インターネット・ドキュメンタリー 地球法廷・核と人類」等を放送した。衛星第2放送では、「世界人間紀行」、「インタビュー紀行 こだわってふるさと」、「立体生中継・世界悠々」等を新設したほか、ウイークエンド・スペシャル「五大陸横断 20世紀列車がゆく」、同「宇宙飛行士になりたい−つくばコズミックカレッジの6日間−」等を放送した。

 ラジオにおいては、第1放送で、「フレッシュトーク」等を新設し、第2放送では、「NHKラジオライブラリー」を新設した。FM放送では、「ミュージックエコー」を新設した。

  エ 娯楽部門

 テレビジョンにおいて、総合放送で、連続テレビ小説「あぐり」、同「甘辛しゃん」、大河ドラマ「徳川慶喜」、金曜時代劇「新・半七捕物帳」、同「寺子屋ゆめ指南」を新設した。また、ドラマ新銀河として、「ママだって夏休み」、「コラ!なんばしょっと3」、「この指とまれ2」等を、水曜シリーズドラマとして、「新・花へんろ」、「夜会の果て」、「翔ぶ男」等を、土曜ドラマとして、「熱の島で〜ヒートアイランド東京」、「流通戦争」、「風になれ鳥になれ」等を放送した。このほか、特集番組として、「ふるさと皆様劇場」、正月時代劇「上杉鷹山〜二百年前の行政改革」等を放送した。

 衛星第2放送では、「1000万投票 BS20世紀日本のうた」、「家族対抗ふるさとチャンピオン」、「シネマ・パラダイス」等を新設したほか、BS日曜ドラマとして、「海峡」、「春燈」等を放送した。また、ウイークエンド・スペシャル「夢でワイドショー−永六輔の芸能ジャーナル−」、「ドキュメント・日本のうた 100年」等を放送した。

 ラジオにおいては、第1放送で、「日曜バラエティー」を新設した。FM放送では、「ライブビート '97」、「ワールドロックナウ」等を新設するとともに、FMシアター「五月の自転車」、同「パイパテローマ〜南の果ての島」等を放送した。

  オ スポーツ部門

 テレビジョンにおいて、総合放送で、「サンデースポーツ」を拡充するとともに、衛星第1放送で、「メジャースポーツニュース」を新設した。

 10年2月、16日間にわたって開催された冬季オリンピック・長野大会については、競技中継を中心に多角的に紹介し、衛星第1放送で全種目にわたって302時間に及ぶ放送を行うなど、地上放送、衛星放送、ハイビジョン放送において、あわせて803時間を超える放送を行った。さらに、冬季パラリンピック・長野大会については、総合放送及び衛星第1放送を中心に、競技の模様や結果を伝える番組を特設して放送したほか、開・閉会式の模様を中継放送した。

 また、ウィンブルドンテニス、世界柔道選手権、ワールドカップノルディックスキー等の国際的なスポーツ競技大会や、国民体育大会、高校野球大会、都道府県対抗駅伝、大相撲、プロ野球、プロサッカー、米大リーグ野球、米プロゴルフツアー等の中継を行った。ワールドカップサッカーフランス大会アジア地区予選については、日本が出場した試合を中心に中継を行った。

  カ 地域放送

 県域又は広域の放送として、地域に密着したニュース、天気予報、教養番組等の充実に努め、平日午後6時台の各地域向けのニュース・情報番組を拡充して、それぞれ、「ネットワーク青森610」、「首都圏ネットワーク」、「まるごと宮崎610」等を新設した。また、「どうする千歳川放水路〜見直しに向かう巨大公共事業〜」、「自主減反に揺れる町〜岩手・東和町長の50日」、「産廃住民投票 町民の選択〜岐阜・御嵩町〜」、「震災3年目・復興の“カルテ”」、「核インターネット討論 世界が語るヒロシマ」、「シリーズ3橋時代 どう活かす3つのルート」、「沖縄は自立できるか〜復帰25年基地の島はいま〜」等の地域事情に応じた多様な番組を放送した。鹿児島県出水市の土石流災害等に際しては、随時、地域向けの放送を実施した。なお、関東甲信地方の大雪等に際しては、画面の表示方法を工夫してきめ細かな生活関連情報等を提供するよう努めた。

 地域放送番組を全国に紹介する番組として、衛星第1放送で「列島ズームアップ」を新設したほか、総合放送で「にっぽん列島小さな旅」を、衛星第2放送で「日本・小さな旅名作選」を放送した。

  キ ハイビジョン放送

 「ハイビジョン・ワンダーランド」、「トゥトゥアンサンブル」、「シネマ・パラダイス」、「ハイビジョン中継・ときめきにっぽん」、「ふたりのビッグショー」等を新設するとともに、「NHK週刊ハイビジョンニュース」、「ハイビジョンでこんにちは」、「モントルー・ジャズ・フェスティバル '97」、「秋のパリから生中継 素顔のシャンゼリゼ」、ドラマ「新宿鮫 毒猿」等を放送した。また、冬季オリンピック・長野大会、ワールドカップサッカーフランス大会アジア地区予選をはじめ、大相撲、プロサッカー等のスポーツ中継を実施した。

  ク テレビジョン補完放送

 テレビジョン補完放送(音声)については、テレビジョン各波で、「NHK歌謡コンサート」、「N響アワー」、スポーツ中継、各種コンサート等をステレオ放送で、「NHKニュース7」、「日本の伝統芸能」、「NHKビジネスライン」、ドラマ「ER 緊急救命室」等を2か国語放送で、連続テレビ小説、「セサミストリート」等を解説放送で実施した。なお、衛星放送で、「クラシックアワー」、「BSジャズ喫茶」等を、ハイビジョン放送で、「ミュージックジャンプ」、「ときめき夢サウンド」等を高音質のBモードステレオ放送で実施した。

 テレビジョン補完放送(文字)については、総合放送において、連続テレビ小説、大河ドラマ等のドラマ番組、「生きもの地球紀行」、「ふたりのビッグショー」、NHKスペシャル「家族の肖像〜激動を生きぬく」等で、衛星第2放送において、BS日曜ドラマ等で、聴覚障害者向けの字幕放送を実施した。

  ケ テレビジョン文字多重放送

 ニュース、番組ガイド、地域情報等の放送を行ったほか、冬季オリンピック・長野大会等の特別番組を随時放送した。また、九州地方長期豪雨等に際し、関連情報を臨機に放送した。

  コ FM文字多重放送

 ニュース、気象情報、地震情報等の放送を行った。

  サ 関連団体等への番組制作委託

 コンパクトな番組制作体制の下で多様で質の高い放送番組を安定的に確保するため、一部の番組について、関連団体に制作を委託した。なお、番組の一層の多様化を図るため、外部のプロダクションにも関連団体を通じて番組の制作を委託し、「なぞ解き歳時記」、NHKスペシャル「なぜ隣人を殺したか−ルワンダ虐殺と煽動ラジオ放送−」等を放送した。

  シ 番組の受賞

 モンテカルロ国際テレビ祭において、NHKスペシャル「突入−日本大使公邸人質事件の127日間−」がドキュメンタリー部門でシルバーニンフ賞を受賞した。

 「日本賞」教育番組国際コンクールにおいて、NHKスペシャル「ことばを覚えたチンパンジー−アイちゃん19年の記録−」が東京都知事賞を受賞した。

 ABU賞において、天才てれびくんスペシャル「風雲ドラQラ城」がテレビ子ども番組部門でABU賞を受賞した。

 芸術祭において、NHKスペシャル「突入−日本大使公邸人質事件の127日間−」がテレビドキュメンタリー部門で、土曜ドラマ「もうひとつの心臓」、同「生前予約〜現代葬儀事情」がテレビドラマ部門で、FMシアター「五月の自転車」、同「パイパテローマ〜南の果ての島」がラジオドラマ部門で、それぞれ優秀賞を受賞した。

 放送文化基金賞において、土曜ドラマ「憲法はまだか」がテレビドラマ部門で優秀賞を、FMシアター「冬のこおろぎ」がラジオ番組部門でラジオ番組賞を、それぞれ受賞した。

 「地方の時代賞」映像コンクールにおいて、ドキュメントにっぽん「米はドンドン作ればいい−岩手・東和町長の挑戦−」が大賞を受賞した。

 ハイビジョン国際映像祭において、「天空に夢輝き〜手塚治虫の夏休み」がグランプリ及びドラマ部門最優秀作品賞を受賞した。

 (3) 放送番組審議会等

 中央放送番組審議会は、11回開催され、会長の諮問に応じて、平成9年度国内放送番組編集の基本計画の変更及び平成10年度国内放送番組編集の基本計画について審議し、答申を行ったほか、放送番組全般について意見交換を行った。各地方放送番組審議会はそれぞれ11回開催され、会長の諮問に応じて、平成10年度各地方向け地域放送番組編集計画について審議し、答申を行ったほか、各地方向け地域放送番組等について意見交換を行った。各審議会の答申や議事の概要等については、全国向け及び各地方向けの放送を通じて周知するとともに、インターネットホームページへ掲載するなど、その公表を積極的に進めた。なお、視聴者意向の概要を審議会に毎回報告するなど、審議の一層の充実に資した。

 放送番組の企画及び実施に当たっては、学校放送番組委員会等部外委員による番組専門委員会における検討を参考にした。

 (4) 放送番組の考査

 国内番組基準にのっとり、放送番組の事前考査及び放送時の考査を実施し、放送番組の向上に資するよう努めた。考査に当たっては、部外の番組モニターの報告のほか、視聴者から寄せられた意向等を参考にした。なお、モニターの報告は放送現場にも周知し、視聴者の意向が放送番組に反映されるよう努めた。

 (5) 放送番組等の保存

 放送番組の再利用等を容易にするため、番組の体系的な保存に努めた。また、日本の優れた文化遺産、人物、事件等の映像・音声記録を保存したほか、映像による民間伝承の記録・保存事業を進めた。

 放送法第5条の規定に基づき、訂正・取消し放送の関係者等が内容を確認できるよう、放送番組を保存した。

 (6) 一般放送事業者への放送番組の提供等

 一般放送事業者に対し、放送番組93本、放送番組の編集に必要な資料820件を提供した。また、財団法人放送番組センターに対し、同法人が行う一般放送事業者への放送番組の貸出しのため、テレビジョン番組56本を提供するとともに、同法人が行う放送番組ライブラリー事業のため放送番組306本を提供したほか、株式会社日本文字放送、同西日本文字放送、同中部文字放送に対し資料の提供を行った。

 また、放送大学学園に対し、資料948件を提供するとともに、CATV事業者に対し放送番組の提供を行ったほか、財団法人マルチメディア振興センターに対し、放送番組148本を提供した。

 さらに、社会福祉法人聴力障害者情報文化センターに対し放送番組の提供を行ったほか、海外の日本人や船舶乗組員等による視聴、番組複製頒布事業等のための放送番組二次使用申込みに応じた。

 (7) その他

 5月、放送番組に関する視聴者からの重大な苦情の審理等を行う「放送と人権等権利に関する委員会機構」を、社団法人日本民間放送連盟と共同で設立した。

 テレビ東京等で放送されたアニメーション番組の一部視聴者が体調に異常を来した問題を契機に、12月、「アニメーション問題等検討プロジェクト」を本部に設けるとともに、日本民間放送連盟と共同で「アニメーション番組に関する日本放送協会・民放連の検討会」を設置し、アニメーション番組等の映像が視覚機能に与える問題や再発防止のための措置について調査・検討を進めた。


2 国際放送(テレビジョン・ラジオ)

 (1) テレビジョン国際放送

  ア 番組の編成

 北米向けに1日平均5時間37分、東部を除く欧州向けには放送時間を拡大して1日平均4時間30分の放送を、日本語及び英語で実施した。

 放送番組の編集に当たっては、諸外国の日本に対する理解を深め、文化及び経済の国際交流の発展に寄与するとともに、海外の日本人に対する最新情報の提供を図るため、次を年度重点事項として、放送番組の充実に努めた。

 1. 内外の動向を迅速、的確に伝えるニュース・情報番組の強化
 2. 英語による情報発信の強化
 3. アジアの情報を伝える番組の充実

 放送番組については、国内放送番組から抜粋して、報道又はインフォメーション番組として編成したほか、テレビジョン国際放送独自の番組を編成した。

  イ 番組の実施

 4月、英語ニュース「 NHK WORLD DAYLINE JAPAN」を独自番組として新設するとともに、2か国語ニュース「 NHK NEWS JAPAN WEEKLY」、「東京マーケット情報」、「ドキュメントにっぽん」、「アジア情報交差点」等を新設したほか、「NHKニュース おはよう日本」等を拡充した。10月には、独自番組の拡充を図り、2か国語ニュース「NHK WORLD JAPAN THIS DAY」を新設するとともに、「NHK WORLD DAYLINE JAPAN」を1日2回に増設した。冬季オリンピック・長野大会に当たっては、競技結果の速報を行う独自の特集番組を放送した。

 北米向け放送では「NHKニュース おはよう日本」及び「正午のNHKニュース」を、欧州向け放送では「NHKニュース おはよう日本」、「NHKニュース7」等を国内放送と同時放送した。

 (2) ラジオ国際放送

  ア 番組の編成

 放送法に基づく国際放送実施命令によるものと一体として、17の放送区域に向け、1日65時間(一般向け放送31時間、地域向け放送34時間)の放送を22の言語により実施した。

 放送番組の編集に当たっては、諸外国の日本に対する理解を深め、文化及び経済の国際交流の発展に寄与するとともに、増加する海外の日本人に対する放送サービスの強化を図るため、次を年度重点事項として、放送番組の充実に努めた。

 1. 内外の多様な情報を迅速、的確に伝えるニュースの拡充と情報番組の刷新
 2. 各地域の人々の生活時間に合わせた編成の強化
 3. 緊急事態発生時における迅速、的確な対応
 4. 日本及び日本人に対する理解の促進に役立つ番組の編成

 4月には、番組改定を行い、一般向け放送において、日本語番組、英語番組それぞれの連続編成を聴取好適時間帯を中心に拡大するとともに、報道番組、インフォメーション番組、娯楽番組を刷新した。また、日本語番組について国内放送(ラジオ第1放送)との同時放送を拡充した。

 地域向け放送においては、朝鮮語放送の放送時間を拡大するなどアジア近隣地域向けのサービスを強化するとともに、報道番組、インフォメーション番組、娯楽番組の充実刷新を図った。

 放送事項別比率は、年度平均、報道66.1%、インフォメーション32.4%、娯楽1.5%であった。

  イ 番組の実施

  (ア) 報道部門及びインフォメーション部門

 報道部門・インフォメーション部門にまたがる番組として、一般向け放送において、日本のさまざまな分野の最新の動向を伝える情報ワイド番組「TOKYO通信」(日本語)、「44ミニッツ」(英語)等を新設した。地域向け放送においては、情報番組「ラジオ日本ワイド」を刷新して、「ニュースのキーワード」、「日本がわかる」、「新華僑フーズフー」等のコーナーを新設した。

 報道部門では、一般向け放送において、日本語ニュースを拡大するとともに、「ラジオ日本ニュースワイド」の充実を図った。

 ペルー日本大使公邸人質事件、デンバーサミット、香港返還、行政改革、財政構造改革、金融機関の経営破綻、地球温暖化防止京都会議、韓国大統領選挙等内外の重要問題について正確かつ迅速な報道に努めるとともに、日本の立場を明らかにした見解を随時報道し、世論の動向を正しく伝えるよう努めた。また、冬季オリンピック・長野大会に当たっては、競技結果を中心に積極的に放送した。

 インフォメーション部門では、一般向け放送において、日本の歴史や文学などをシリーズで取り上げる番組「ラジオ日本 カルチャーセレクション」、「世界の名曲・日本の名曲」等を新設した。地域向け放送においては、日本語学習番組「やさしい日本語」について、スペイン語、ポルトガル語、ベトナム語、アラビア語等の番組を刷新した。
 なお、両部門を通じて、一般向け放送において、国内放送との同時放送を実施し、「ラジオ深夜便」、「NHKジャーナル」、「フレッシュトーク」、大相撲、夏の高校野球決勝戦等を放送した。

  (イ) 娯楽部門

 一般向け放送において、「エンジョイ音楽館」を新設するとともに、地域向け放送において、「日本のメロディー」を新設した。

 なお、一般向け放送において、国内放送との同時放送を実施し、「NHKのど自慢」、「真打ち競演」、「NHK紅白歌合戦」を放送した。

  ウ 海外中継放送

 受信状況の改善を図るため、ガボン・モヤビ送信所から、欧州・中東・北アフリカ向け、アフリカ南部向けに1日10時間、カナダ・サックビル送信所から、北米東部向け、北米中部・西部向けに1日8時間、仏領ギアナ・モンシネリ送信所から、南米東部向け、南米西部向け、中米向けに1日7時間30分、スリランカ・エカラ送信所から、南西アジア向け、中東・北アフリカ向けに1日10時間、イギリス・スケルトン送信所から、欧州向けに1日10時間、シンガポール・クランジ送信所から、インドシナ半島向け、オセアニア向けに1日14時間、英領アセンション島・アセンション送信所から、アフリカ中部向け、アフリカ西部向け、アフリカ東部向けに1日6時間30分の放送を実施した。

 これらのうち、サックビル送信所、アセンション送信所、クランジ送信所からの放送の一部とモンシネリ送信所からの放送については、外国放送事業者との交換中継方式により実施した。

 (3) 放送番組審議会

 国際放送番組審議会は11回開催され、会長の諮問に応じて、平成10年度国際放送(テレビジョン・ラジオ)の放送番組編集の基本計画について審議し、答申を行ったほか、放送番組全般について意見交換を行った。審議会の答申や議事の概要等については、放送等を通じて公表した。なお、視聴者意向の概要を審議会に毎回報告するなど、審議の一層の充実に資した。

 (4) 放送番組の考査

 国際番組基準にのっとり考査を実施し、放送番組の向上に資するよう努めた。考査に当たっては、各使用言語別に委嘱したラジオ国際放送の部外モニターの報告のほか、視聴者から寄せられた意向を参考にした。

 (5) 受信状況、反響等

  ア 受信状況

 ラジオ国際放送の八俣送信所からの放送については、ハワイでは、良好な受信状態であった。アジア大陸、東南アジア、極東ロシア、オセアニアの各地域では、おおむね良好な受信状態であった。南西アジア地域では、おおむね中位以上の受信状態であった。北米、中南米地域では、場所、時期、時間帯によって良好な受信状態と不安定な受信状態に分かれた。欧州、中東、アフリカ地域では、中位以下の受信状態となることが多かった。海外の送信所からの中継放送については、対象とする各地域でおおむね良好な受信状態であった。

  イ 反 響

 ラジオ国際放送に関して聴取者から寄せられた投書数は7万通であった。
 これらの投書によると、香港返還、地球温暖化防止京都会議をはじめとするニュース・報道番組、海外の日本人の安全に役立つ情報、日本語学習番組等が好評であった。

  ウ 周知及び利用促進

 テレビジョン及びラジオ国際放送番組表の空港等での配布やインターネットホームページへの掲載、ラジオ国際放送の放送周波数・番組表のファクシミリを利用した提供を行うとともに、海外関係公的機関、海外進出企業等への訪問活動を実施するなど、国際放送の一層の周知及び利用促進を図った。

 (6) 中継国際放送

 ラジオ国際放送に係る八俣送信所からの中継国際放送については、カナダ放送協会の委託による放送を東南アジア及びアジア大陸向けに1日6時間、ラジオ・フランス・アンテルナシオナルの委託による放送を東南アジア及びアジア大陸向けに1日7時間30分、イギリス放送協会の委託による放送をアジア大陸向けに1日10時間実施した。

3 放送番組の国際交流

 (1) 海外への放送番組の提供等

 外国放送事業者等への放送番組の提供を積極的に推進した。
 衛星伝送による番組提供については、アジア・太平洋、東欧、中東、中南米地域等の58の放送事業者等に対し、伝送時間を拡大して「NHKニュース7」、「クローズアップ現代」等を提供したほか、前年度に引き続き、北米地域、欧州地域で日本の番組による放送を行う2事業者に対し、連続テレビ小説、大河ドラマ等を提供した。

 このほか、財団法人NHKインターナショナル及び財団法人放送番組国際交流センターが行う放送番組国際ライブラリー事業に対してそれぞれ放送番組を提供し、国際理解の促進に資するよう努めた。

 フジモリ・ペルー大統領、ブレア・イギリス首相の訪日、ワールドカップサッカーフランス大会アジア地区予選、地球温暖化防止京都会議等に際しては、外国放送事業者等に対し、取材、制作、衛星伝送の協力を行った。

 (2) 放送番組の共同制作等

 外国放送事業者等との放送番組の共同制作を積極的に推進し、「天の国チベット」、ドラマ「リンコ」、「生きもの地球紀行〜アフリカ・ケニア大草原 水中の知恵者カバの素顔」、「ドリーム・シンフォニー in 上海」等を制作した。

 外国放送事業者との番組交換については、協力協定等に基づくもののほか、アジア・太平洋放送連合(ABU)加盟の放送事業者と共同して行う衛星伝送による定時ニュース交換等を実施した。また、ABUの番組交換活動にも参加した。

 なお、協会と協力協定を締結している外国放送事業者等は、31か国42機関であった。

 (3) 「日本賞」教育番組国際コンクール

 第24回「日本賞」教育番組国際コンクールを、11月、東京において実施した。コンクールには、47か国96機関(163作品)が参加した。


back

Copyright 2005 NHK (Japan Broadcasting Corporation) All rights reserved. 許可なく転載を禁じます