NHK INFORMATION
業務報告書


第2章 放送番組の概況



1 国内放送

 (1) 番組の編成

 ア 重点事項

 放送番組の編集に当たっては、公共放送としての使命に徹し、信頼性あるジャーナリズム機能と文化創造機能の一層の向上に努めつつ、公正な報道と豊かな放送番組の提供に努めた。

 社会状況とメディアの変革の中で、視聴者の信頼と要望にこたえるため、次を年度重点事項として、地上放送・衛星放送各波の役割を明確にしつつ、放送番組の一層の充実に努めた。

 1 ニュース・情報番組の刷新強化
 2 夜間のテレビジョン総合放送を中心とした視聴者の共感を得る番組の充実
 3 大型企画番組の積極的編成
 4 独自番組の開発等による衛星放送の強化とハイビジョン放送の放送時間の拡大
 5 視聴者の知的欲求にこたえる番組の開発などテレビジョン教育放送の強化
 6 個性ある地域放送番組の充実と地域からの全国発信の推進
 7 金曜・土曜日の24時間放送化などテレビジョン総合放送の深夜放送時間の拡大
 8 オリンピック・アトランタ大会の放送の実施
 9 災害報道の実施と大規模地震予知情報への迅速かつ適切な対応
 10 阪神・淡路大震災の被災地の復興に資する番組の編成
 11 新しい選挙制度の下での衆議院議員総選挙への的確な対応
 12 高齢化の進展等の社会状況を踏まえた番組の充実
 13 聴覚障害者向け字幕放送の拡充など多重放送の充実
 14 生活時間の多様化に対応した効果的な再放送の実施

 イ テレビジョン

  (ア) 地上放送

 総合放送では、広く一般を対象に、国民の生活・視聴態様に対応して、報道、教育、教養、娯楽の各分野にわたり調和ある編成を行った。教育放送では、組織的、継続的な教育番組を中心に、教養番組を効果的に編成するとともに、報道番組若干を編成した。地域放送については、地域に密着したニュース・報道番組や教養番組を中心に編成し、あわせて地域の実情に応じた特別番組を随時編成した。

 4月には、番組改定を行い、総合放送では、金曜日及び土曜日を終夜放送にするとともに、平日深夜の放送時間を1時間拡大した。また、ニュース・情報番組の充実強化、夜間10時台の刷新等による夜間編成の強化など、ニュース・報道番組、教養番組、娯楽番組の充実刷新を図った。さらに、ニュースを拡充するなど、地域放送の充実を図った。このほか、年間を通じて、特集編成を随時、集中的かつ弾力的に実施するなど、機動的編成を推進した。教育放送では、時間帯ごとに視聴対象を明確にした編成を推進するとともに、文化・教養番組の強化、福祉番組の充実等を図った。

  (イ) 衛星放送

 衛星第1放送は、24時間放送の特性を生かした、国際情報と国内情報を中心に編成し、あわせてスポーツ番組等を編成した。衛星第2放送は、難視聴解消を目的として、総合放送及び教育放送の主な番組を編成するとともに、大型エンターテインメント番組をはじめとする衛星独自番組を効果的に編成した。

 4月には、番組改定を行い、衛星第1放送では、内外の多様な情報を伝える番組の拡充を図ったほか、スポーツ番組の編成を強化した。衛星第2放送では、週末に大型の特集編成を行うなど、衛星独自番組の編成を強化した。

  (ウ) ハイビジョン放送

 1つのチャンネルで複数の放送事業者が曜日別、時間別に放送を行っているハイビジョン放送については、その早期普及に向け、高画質・高音質かつワイド画面の特性を生かした多様な番組を編成した。

 4月には、番組改定を行い、放送時間を週10時間拡大して57時間とし、ハイビジョン独自の情報番組の強化等により充実を図った。

  ウ ラジオ

 第1放送では、広く一般を対象に、聴取態様に対応して、報道、教育、教養、娯楽の各分野の番組を編成し、特に、ラジオの機動性及び速報性を生かした弾力的編成を行った。第2放送では、教育番組を中心とした全国同一放送として、聴取対象を明確にして編成し、FM放送では、その特性を生かした音楽番組に重点を置いて編成した。地域放送については、第1放送及びFM放送において地域の関心にこたえる番組を編成した。
 4月には、番組改定を行い、第1放送では、週末夜間のニュース・情報番組の充実を図り、第2放送では、在日外国人を対象としたニュースを拡充した。FM放送では、午後の編成を刷新するなど、音楽番組の充実を図った。

  エ 多重放送

  (ア) テレビジョン音声多重放送

 テレビジョン各波の一部番組を、ステレオ放送、2か国語放送、解説放送により実施し、衛星放送及びハイビジョン放送では、一部番組を高音質のBモードステレオ放送により実施した。解説放送では、視覚障害者向けの番組を実施した。

  (イ) テレビジョン文字多重放送

聴覚障害者向けの字幕番組を含む19項目の番組を編成したほか、随時、特別番組を編成した。なお、字幕対象番組を2番組拡充した。

  (ウ) FM文字多重放送

東京、大阪、名古屋等8局で放送を実施し、6項目の番組を編成した。

  オ 放送時間及び放送事項別比率

 放送時間については、1日平均、テレビジョンで、総合放送22時間15分、教育放送18時間19分、衛星第1放送22時間59分、衛星第2放送22時間40分、ハイビジョン放送8時間30分、ラジオで、第1放送23時間36分、第2放送18時間
30分、FM放送19時間27分、テレビジョン音声多重放送は、総合放送で10時間13分、教育放送で7時間22分、衛星第1放送で14時間52分、衛星第2放送で
15時間51分、ハイビジョン放送で8時間30分であった。

 放送事項別比率については、年度平均、テレビジョンで、総合放送は、報道44. 6%、教育11.7%、教養24.5%、娯楽19.2%、教育放送は、報道2.9%、教育80.1%、教養17.0%、衛星第1放送は、報道57.6%、教育13.2%、教養
20.0%、 娯楽9.2%、衛星第2放送は、報道16.5%、教育30.7%、教養
22.0%、娯楽30.8%、ハイビジョン放送は報道17.8%、教育23.0%、教養34.5%、娯楽 24.7%、ラジオで、第1放送は報道49.7%、教育2.4%、教養23.6%、娯楽 24.3%、第2放送は報道15.1%、教育67.5%、教養
17.4%、FM放送は報道11.3%、教育6 .0%、教養46.9%、娯楽35.8%であった。


 (2) 番組の実施

  ア 報道部門

 ニュースをはじめ、内外の諸情勢を解明する各種の報道番組の充実を図るとともに、臨機の編成による速報と重点的な報道に努めた。報道取材に当たっては、緊急時における機動力の向上を図るとともに、海外取材体制を強化した。

 テレビジョンにおいては、総合放送で、「NHKネットワークニュース」等を新設するなど、ニュース・情報番組の充実に努めた。NHKスペシャルでは、「核兵器はこうして裁かれた−攻防・国際司法裁判所−」、「阪神大震災 神戸・冬物語−鷹取中学校避難者はいま−」、「汚染血液は海を渡った−1万5千ページが語る薬害エイズ−」等を放送した。クローズアップ現代では、「国籍条項なぜ撤廃か・川崎市人事課8か月の記録」、「O−157感染ルートの謎」、「“福祉汚職”厚生官僚腐敗の構図」、「ペルー日本大使公邸人質事件緊急報告」等を放送した。衛星第1放送では、「プライムタイムニュース」、「NHK英語ニュース〜NHK NEWS JAPAN UPDATE〜」等を新設したほ
か、「BSニュース50」を増設し、「NHKビジネスライン」を拡充した。ラジオにおいては、第1放送で、「NHKラジオ夕刊」を増設し、第2放送で、在日外国人向けのハングルニュース、中国語ニュースを新設した。

 オウム真理教事件裁判、福岡空港インドネシア航空機事故、衆議院解散、アメリカ大統領選挙、厚生省汚職事件、長野県小谷村土石流災害、ペルー日本大使公邸人質事件、ロシアタンカー重油流出事故、オレンジ共済組合詐欺事件等の重要ニュースの放送に際しては、随時、ニュースの増設や延長を行ったほか、関連番組を集中的に編成し、正確かつ機動的な報道と問題点の解明に努めた。

 解説番組については、「あすを読む」を新設するとともに、「視点・論点」等を放送し、ニュースの背景、問題点等をわかりやすく解説するよう努めた。

 小選挙区比例代表並立制の下で初めて行われた、第41回衆議院議員総選挙に際しては、政見・経歴放送を適切に行うとともに、開票速報及び選挙関連番組を実施した。

 広報番組については、「NHK土曜プラザ」を新設するとともに、「テレビ自由席」「テレマップ」「ピックアップきょうの番組」等を放送したほか、特別番組を随時放送した。

  イ 教育部門

 学校放送番組については、テレビジョンにおいて、教育放送で、小学校1年生向け番組「ざわざわ森のがんこちゃん」、2年生向け番組「キッズチャレンジ」、3年生向け番組「ふしぎのたまご」、4年生向け番組「ふしぎコロンブス」、5年生向け番組「きっと明日は」、小学校低学年向け番組「まちかどド・レ・ミ」、高学年向け番組「たったひとつの地球」、中学校・高校向け番組「シリーズ10min.楽々パソコン」、高校向け番組「ハイスクール電脳倶楽部」を新設した。

 社会教育番組については、テレビジョンにおいて、教育放送で「ワンポイント福祉」「共に生きる明日」「やさしい日本語」「サイエンスアイ」「教育トゥデイ」等を新設するとともに、NHK人間大学として、「宮沢賢治“宇宙羊水”への旅」「マンガはなぜ面白いのか〜その表現と文法」「新しい科学史の見方」等を、趣味百科として、「はじめてのコンピューターグラフィックス」「中高年のためのスキー術」「シューベルトを歌う」等を放送した。衛星第2放送では、「いないいないばあっ」「赤ちゃんなんでも百科」等を新設した。

  ウ 教養部門

 テレビジョンにおいて、総合放送で、「堂々日本史」、「大黒柱ものがたり」、「食卓の王様」、「生中継にっぽんの夜」、「青春ドギィ&マギィ」、「なるほど経済」等を新設した。NHKスペシャルでは、「21世紀への奔流」、国際共同制作番組「故宮〜至宝が語る中華五千年」等の大型企画番組、「いじめをなくすために」、「脳内薬品が心を操る」、「ミヤコ蝶々・76才の勝負」等を放送し、土曜特集では、「チンパンジーたちの政争」、「松任谷由実モンゴルを行く−神秘の歌声ホーミーへの旅−」等を放送した。このほか特集番組として、「哲学ファンタジー知恵ちゃんの不思議な手紙」「小倉遊亀・百二歳の画室」等を放送した。教育放送では、「熱中ホビー百科」、「未来潮流」、「知への旅」、「ステージドア」等を新設したほか、ETV特集として「司馬遼太郎の遺産」、「丸山眞男と戦後日本」、「大震災に学ぶ」等を放送した。

 衛星第1放送では、「どうぶつ百態」、「BS討論」、「映像探検20世紀」等を新設したほか、日曜スペシャルとして、「ジャーニー・オブ・ホープ−死刑囚の家族と被害者遺族の2週間−」、「ことばに生かされて−相田みつを・人生の応援歌−」等を放送した。衛星第2放送では、「立体生中継“日本悠々”」、「やきもの探訪」、「BBCセレクション」等を新設したほか、ウィークエンド・スペシャル「塩野七生 わが恋人ユリウス・カエサル」、「悠久の長江・三峡」等を放送した。

 ラジオにおいては、第1放送で、「ティールーム21」、「日曜ラジオマガジン」等を新設した。FM放送では、「クラシック・サロン」、「世界のコーラス」等を新設した。

  エ 娯楽部門

 テレビジョンにおいて、総合放送で、連続テレビ小説「ひまわり」同「ふたりっ子」大河ドラマ「毛利元就」、金曜時代劇「夢暦 長崎奉行」、同「天晴れ夜十郎」、「あの人あの芸」等を新設したほか、「水曜シリーズドラマ」を新設して、「存在の深き眠り」、「暴力教師・君に伝えたいこと」等を放送した。また、土曜ドラマとして、「病院」、「ちいさな大冒険」、「我等の放課後」等を、ドラマ新銀河として、「素敵に
女ざかり〜ルームメイツ」、「木綿のハンカチ」等を放送した。このほか、特別番組として、「黄金のポップス大全集」、「クイズ漢字はえらい」、「新春・大江戸バラエティー日本人の質問でござる」等を放送した。

 衛星第2放送では、「日本縦断カラオケ道場」、「トップミュージック」、1週間の連続テレビ小説をまとめて再放送する「今週の連続テレビ小説」等を新設したほか、BS日曜ドラマとして、「おごるな上司!」、「銃口・教師竜太の青春」等を放送した。また、ウィークエンド・スペシャル「夢でワイドショー〜永六輔の芸能ジャーナル〜」「座・Ninagawa〜蜷川幸雄特選舞台」等を放送した。

 ラジオにおいては、第1放送で、「ラジオ名人寄席」、「ふるさと自慢うた自慢」等を新設した。FM放送では、「ポップス・アーチスト名鑑」、「サタデー・ホット・リクエスト」、「恋する音楽小説」等を新設するとともに、FMシアター「枝の上の白色レグホン」、同「涙」等を放送した。

  オ スポーツ部門

 テレビジョンにおいて、衛星第1放送で、「スポーティーサンデー」を新設した。
 オリンピック・アトランタ大会については、競技中継を中心に多角的に紹介した。特に、衛星第1放送では、全競技にわたって373時間に及ぶ放送を行った。また、全米オープンゴルフ、ウィンブルドンテニス、ノルディックスキー世界選手権等の国際的なスポーツ競技や、国民体育大会、高校野球大会、都道府県対抗駅伝、大相撲、プロ野球プロサッカー、米大リーグ野球等の中継を行った。

  カ 地域放送

 県域又は広域の放送として、平日夜間のニュースを拡充するなど、地域に密着したニュース、天気予報、教養番組等の充実に努めるとともに、北海道スペシャル「平馬先生とめぐみちゃん 二人だけの教室」、東北スペシャル「第18回NHK東北民謡コンクール優勝大会」、「重油漂着1か月〜福井・石川からの報告」、「がんばろや!阪神・淡路」、「世界遺産登録記念・厳島神社フォーラム」、四国スペシャル「空海への道」九州スペシャル「シリーズ アジアの教師たち」等の地域事情に応じた多様な番組を
放送した。また、長野県小谷村土石流災害、伊豆半島東方沖群発地震等に際しては、随時、地域向けの放送を実施した。

 地域放送番組を全国に紹介する番組として、総合放送で、「にっぽん列島小さな旅」を、衛星第2放送で、「日本・小さな旅 名作選」を放送した。

  キ ハイビジョン放送

 「ハイビジョンでこんにちは」、「NHKのど自慢」、「地球の街角」、「ハイビジョン・サンデートーク」、「ハイビジョンジャズ喫茶」等を新設するとともに、「NHK週刊ハイビジョンニュース」、NHKスペシャル「故宮〜至宝が語る中華五千年」、正月時代劇「風光る剣〜八嶽党秘聞」等を放送した。このほか、オリンピック・アトランタ大会をはじめ、大相撲、プロサッカー等のスポーツ中継を実施した。

  ク テレビジョン音声多重放送

テレビジョン各波で、「NHK歌謡コンサート」、「N響アワー」、スポーツ中継、各種コンサート等をステレオ放送で「NHKニュース7」、「日本の伝統芸能」、「NHKビジネスライン」、ドラマ「則天武后」等を2か国語放送で実施するとともに、
連続テレビ小説、「セサミストリート」等を解説放送により実施した。なお、衛星放送で、「クラシックアワー」、「BSジャズ喫茶」等を、ハイビジョン放送で、「ポップジャム」、「ときめき夢サウンド」等を高音質のBモードステレオ放送で実施した。

  ケ テレビジョン文字多重放送

ニュース、地域情報、番組ガイド等の放送を行ったほか、連続テレビ小説、大河ドラマ等のドラマ番組をはじめ、「ふたりのビッグショー」、「生きもの地球紀行」、NHKスペシャル「故宮〜至宝が語る中華五千年」等の字幕番組を実施した。また、オリンピック・アトランタ大会、第41回衆議院議員総選挙等の特別番組を随時放送したほか伊豆半島東方沖群発地震等に際し、関連情報を臨機に放送した。

  コ FM文字多重放送

ニュース、気象情報、地震情報等の放送を行った。

  サ 緊急警報放送

10月19日の日向灘を震源とする九州地方の地震による津波警報の発令に伴い、ハイビジョン放送を除くテレビジョン・ラジオ全波で、緊急警報放送を実施した。

  シ 関連団体等への番組制作委託

 コンパクトな番組制作体制の下で多様で質の高い放送番組を安定的に確保するため、一部の番組について、関連団体に制作を委託した。なお、番組の一層の多様化を図るため、外部のプロダクションにも関連団体を通じて番組の制作を委託し、「大黒柱ものがたり」、ETV特集「ダフニとエレナの物語〜危機に立つアフリカ象」等を放送した。

  ス 番組の受賞

「日本賞」教育番組国際コンクールにおいて、北海道スペシャル「平馬先生とめぐみちゃん 二人だけの教室」が郵政大臣賞を受賞した。
ABU賞において、「ユメディア号こども塾」がテレビ子ども番組賞部門でABU賞を受賞した。

芸術祭において、NHKスペシャル「核兵器はこうして裁かれた−攻防・国際司法裁判所−」がテレビ番組部門で、FMシアター「枝の上の白色レグホン」がラジオ番組部門で大賞を受賞したほか、土曜ドラマ「ちいさな大冒険」、同「我等の放課後」、日曜スペシャル「ジャーニー・オブ・ホープ−死刑囚の家族と被害者遺族の2週間−」がテレビ番組部門で優秀賞を受賞した。

放送文化基金賞において、NHKスペシャル「長崎 映像の証言〜よみがえる115枚のネガ」がテレビドキュメンタリー部門で、土曜ドラマ「大地の子(2)」がテレビドラマ部門で本賞を受賞したほか、「最後の弾丸」がテレビドラマ部門で優秀賞を、ドラマ・スペシャル「ソフィーの世界」がラジオ番組部門でラジオ番組賞を受賞した。

「地方の時代賞」映像コンクールにおいて、ETV特集「お父さんの髭は痛かった−最後の回天特攻隊員の手記より−」が大賞を、クローズアップ現代「国籍条項なぜ撤廃か・川崎市人事課8か月の記録」、被爆・戦後50年特集「五十年目の声〜離郷被爆者の戦後〜」、列島リレードキュメント「カドミウム汚染田農家の苦悩〜富山市」、ETV特集「苦渋の決断−水俣病40年目の政治決着−」が優秀賞を受賞した。

ハイビジョン国際映像祭において、「最後の弾丸」がドラマ部門で最優秀作品賞を受賞した。


 (3) 放送番組審議会等

中央放送番組審議会は11回開催され、会長の諮問に応じて、平成9年度国内放送番組編集の基本計画について審議し、答申を行ったほか、放送番組全般及び審議会の運営について意見交換を行った。各地方放送番組審議会はそれぞれ11回開催され、会長の諮問に応じて、平成9年度各地方向け地域放送番組編集計画について審議し、答申を行ったほか、各地方向け地域放送番組等について意見交換を行った。各審議会が行った答申については、その概要を公表した。なお、放送倫理に関する取り組み状況を随時報告する等により審議の一層の充実に資するとともに、委員の選考に審議会の意見を反映させる仕組みを講じた。

 放送番組の企画及び実施に当たっては、部外委員による学校放送番組委員会等番組専門委員会における検討を参考にした。


 (4) 放送番組の考査

国内番組基準にのっとり、放送番組の事前考査及び放送時の考査を実施し、放送番組の向上に資するよう努めた。考査に当たっては、部外の番組モニターの報告のほか、視聴者から寄せられた意向等を参考にした。なお、モニターの報告は、放送現場にも周知し、視聴者の意向が放送番組に反映されるよう努めた。


 (5) 放送番組等の保存

放送番組の再利用等を容易にするため、番組の体系的な保存に努めた。また、日本の優れた文化遺産、人物、事件等の映像・音声記録を保存したほか、映像による民間伝承の記録・保存事業を進めた。

放送法第5条の規定に基づき、訂正・取消し放送の関係者等が内容を確認できるよう放送番組を保存した。


 (6) 一般放送事業者への放送番組の提供等

一般放送事業者に対し、放送番組12本、放送番組の編集に必要な資料728件を提供した。また、財団法人放送番組センターに対し、同法人が行う一般放送事業者への放送番組の貸出しのためテレビジョン番組265本を提供するとともに、同法人が行う放送番組ライブラリー事業のため放送番組217本を提供したほか、株式会社日本文字放送、同西日本文字放送、同中部文字放送に対し資料の提供を行った。

また、放送大学学園に対し、資料1,280件を提供するとともに、CATV事業者
に対し放送番組の提供を行ったほか、財団法人マルチメディア振興センターに対し、放送番組120本を提供した。

さらに、社会福祉法人聴力障害者情報文化センターに対し放送番組の提供を行ったほか、海外の日本人や船舶乗組員等による視聴、番組複製頒布事業等のための放送番組二次使用申込みに応じた。


 (7) その他

 放送倫理の向上に資するため、9月、社団法人日本民間放送連盟と共同で「放送倫理基本綱領」を制定し、9年2月、国内及び国際番組基準を踏まえて「NHK放送ガイドライン」を策定した。

 11月、放送法第4条第1項に基づく訂正・取消し放送の請求に迅速かつ公正に対応するための機関として、「四条委員会」を本部及び各地域拠点局に設置した。なお、本部においては、学識経験者を部外委員に委嘱した。


2 国際放送及び映像国際放送

 (1) 国際放送

  ア 番組の編成

 放送法に基づく国際放送実施命令によるものと一体として、17の放送区域に向け、1日65時間(一般向け放送32時間、地域向け放送33時間)の音声放送を22の言語により実施した。

 放送番組の編集に当たっては、諸外国の日本に対する理解を深め、文化及び経済の国際交流の発展に寄与するとともに、増加する海外の日本人に対する放送サービスの強化を図るため、次を年度重点事項として、放送番組の充実に努めた。

1 内外の多様な情報を迅速、的確に伝えるためのニュース・報道番組の充実と速報性機動性の強化
2 世界に向けたアジア情報の発信
3 海外の日本人の暮らしと安全に役立つ多様な情報の提供と日本語番組の連続編成の拡大
4 日本及び日本人に対する理解の促進に役立つ番組の編成
5 海外中継放送の拡充による受信改善

 4月には、番組改定を行い、一般向け放送において速報性の強化等を図るとともに、日本語放送について国内放送番組の同時放送を拡充するなど、報道番組、インフォメ
ーション番組、娯楽番組の充実刷新を図った。

 地域向け放送においては、日本とのつながりを考慮しつつ、各地域の特性やニーズに合った放送を目指し、報道番組及びインフォメーション番組の充実刷新を図った。

 放送事項別比率は、年度平均、報道64.9%、インフォメーション31.6%、娯楽3.5%であった。

  イ 番組の実施

  (ア) 報道部門及びインフォメーション部門

 報道部門・インフォメーション部門にまたがる番組として、地域向け放送において、情報番組「ラジオ日本ワイド」を刷新して、「アジアホットライン」、「音のギャラリー」等のコーナーを新設した。

 報道部門では、一般向け放送において、ニュース番組「ラジオ日本ニュースワイド」を新設するとともに、英語ニュースを増設した。また、沖縄米軍基地問題、クリントン・米大統領訪日、リヨンサミット、薬害エイズ問題、第41回衆議院議員総選挙、行政改革、ペルー日本大使公邸人質事件等内外の重要問題について正確かつ迅速な報道に努めるとともに、日本の立場を明らかにした見解を随時報道し、世論の動向を正しく伝えるよう努めた。オリンピック・アトランタ大会についても積極的に放送した。

 このほか一般向け放送において、ラジオ第1放送の「正午のニュース・天気予報」、「NHKジャーナル」、大相撲、春と夏の高校野球大会決勝戦等を国内放送と同時放送した。

 インフォメーション部門では、一般向け放送において日本及び日本人への理解を促す番組「タウン&アラウンド」を新設した。地域向け放送においては、日本語学習番組「やさしい日本語」について、インドネシア語、中国語、ロシア語等の番組を刷新した。
 このほか、一般向け放送において、ラジオ第1放送の「わが故郷・わが青春」、ラジオ第2放送の「素敵なはなしことば」を放送した。

  (イ) 娯楽部門

 一般向け放送において、「音楽をどうぞ」を拡充したほか、ラジオ第1放送の「ひるの散歩道」、「民謡をたずねて」、「NHKのど自慢」等を放送した。なお、「NHK紅白歌合戦」を国内放送と同時放送した。地域向け放送においては、日本の歌謡曲、ポップス等を紹介する番組「東京ポップイン」を放送した。

  ウ 海外中継放送

 受信状況の改善を図るため、4月、シンガポール・クランジ送信所からオセアニア向けに1日6時間の放送を開始し、インドシナ半島向けと合わせて1日14時間の放送を実施するとともに、英領アセンション島・アセンション送信所からアフリカ東部向けに1日30分の放送を開始し、アフリカ中部向け、アフリカ西部向けと合わせて1日6時間30分の放送を実施した。また、ガボン・モヤビ送信所から、欧州・中東・北アフリカ向け、アフリカ南部向けに1日10時間、カナダ・サックビル送信所から、北米東部向け、北米中部・西部向けに1日8時間、仏領ギアナ・モンシネリ送信所から、南米東部向け、南米西部向け、中米向けに1日7時間30分、スリランカ・エカラ送信所から東西アジア向け、中東・北アフリカ向けに1日10時間、イギリス・スケルトン送信所から、欧州向けに1日10時間の放送を実施した。

 これらのうち、サックビル送信所、アセンション送信所、クランジ送信所からの放送の一部とモンシネリ送信所からの放送については、外国放送事業者との交換中継方式により実施した。

  エ 受信状況、反響等

  (ア) 受信状況

 八俣送信所からの放送については、アジア大陸、東南アジア、極東ロシア、オセアニア、ハワイの各地域ではおおむね良好な受信状態であった。南西アジア地域ではおおむね中位以上の受信状態であった。北米、中南米地域では、場所、時期、時間帯によって良好な受信状態と不安定な受信状態に分かれた。欧州、中東、アフリカ地域では中位以下の受信状態となることが多かった。

 海外の送信所からの中継放送については、対象とする各地域でおおむね良好な受信状態であった。

  (イ) 反 響

 聴取者から寄せられた投書数は6万通であった。
 これらの投書によると、ペルー日本大使公邸人質事件、第41回衆議院議員総選挙をはじめとするニュース・報道番組、日本紹介番組、日本語番組等が好評であった。

  (ウ) 周知及び利用促進

 「ラジオ日本 放送周波数・番組表」の空港等での配布やファクシミリを利用した提供、海外関係公的機関、海外進出企業等への訪問活動等のほか、インターネットを利用した番組情報の提供の試行を継続するなど、国際放送の一層の周知及び利用促進を図った。

 (2) 映像国際放送

 ア 番組の編成

 放送時間を拡大し、北米向けに1日平均5時間35分、東部を除く欧州向けに1日平均3時間27分の放送を日本語(一部英語又は中国語の2か国語)により実施した。なお、11月、欧州向け放送において放送時間帯の変更等を行った。

 放送番組の編集に当たっては、次を年度重点事項として、諸外国の日本に対する理解を深め、文化及び経済の国際交流の発展に寄与するとともに、海外の日本人に対して内外の最新情報を提供するよう努めた。

1 内外の情報を迅速、的確に伝えるニュース・情報番組の拡充
2 ニュースの背景等を解説する番組の編成
3 日本各地の文化、人々の生活等を紹介する番組の編成
4 アジアの情報を伝える番組の拡充

 放送番組については、国内放送番組から抜粋して、報道又はインフォメーション番組として編成した。

  イ 番組の実施

 「NHKネットワークニュース」、「あすを読む」、「NHK NEWS JAPAN UPDATE」、
「列島リレードキュメント」等を新設するとともに、「アジア WHO'S WHO」等を拡充した。

 北米向け放送では「正午のNHKニュース」を、欧州向け放送では「NHKニュースおはよう日本」及び「正午のNHKニュース」を国内放送と同時放送した。また、「NHKニュース7」、「NHK NEWS JAPAN UPDATE」等については日本語及び英語により、
「チャイナ・ナウ」については日本語及び中国語により実施した。

 (3) 放送番組審議会

 国際放送番組審議会は11回開催され、会長の諮問に応じて平成9年度国際放送等番組編集の基本計画について審議し、答申を行ったほか、放送番組全般について意見交換を行った。審議会が行った答申については、その概要を公表した。

 (4) 放送番組の考査

 国際番組基準にのっとり部内考査を実施したほか、国際放送については各使用言語別に委嘱した部外モニターの報告も活用して、放送番組の向上に資するよう努めた。

 (5) 中継国際放送

 八俣送信所からの中継国際放送については、カナダ放送協会の委託による放送を東南アジア及びアジア大陸向けに1日6時間、ラジオ・フランス・アンテルナシオナルの委託による放送を東南アジア及びアジア大陸向けに1日7時間30分、イギリス放送協会の委託による放送をアジア大陸向けに1日10時間実施した。

3 放送番組の国際交流

 (1) 海外への放送番組の提供等

 外国放送事業者等への放送番組の提供を積極的に推進した。
 特に、衛星伝送による番組提供については、対象地域を拡大し、アジア・太平洋地域に加えて、東欧、中東、中南米地域の放送事業者等に対しても「NHKニュース7」、「クローズアップ現代」等を提供したほか、前年度に引き続き北米地域、欧州地域で日本の番組による放送を行う事業者に対し、連続テレビ小説、大河ドラマ等を提供した。
このほか、財団法人NHKインターナショナル及び財団法人放送番組国際交流センターが行う放送番組国際ライブラリー事業に対してそれぞれ放送番組を提供し、国際理解の促進に資するよう努めた。

 クリントン・米大統領、コール・ドイツ首相の訪日、ロシアタンカー重油流出事故等に際しては、外国放送事業者等に対し、取材、制作、衛星伝送等の協力を行った。

 (2) 放送番組の共同制作等

 外国放送事業者等との放送番組の共同制作を積極的に推進し、「ASIAライブ」、 NHKスペシャル「故宮〜至宝が語る中華五千年」、「野性・もう一つの地球」、
「ヒトラーとスターリン〜知られざる独ソ関係」、「アメリカを翔ぶ」等を制作した。
 外国放送事業者との番組交換については、協力協定等に基づくもののほか、アジア・太平洋放送連合(ABU)加盟の放送事業者と共同して行う衛星伝送による定時ニュース交換等を実施した。また、ABUの番組交換活動にも参加した。

 なお、イギリス放送協会との間で、協力関係を一層強化するための基本協力協定を締結した。協会と協力協定を締結している外国放送事業者等は、31か国42機関となった。

 (3) 「日本賞」教育番組国際コンクール

 第23回「日本賞」教育番組国際コンクールを、11月、東京において実施した。コンクールには、45か国1地域108機関(171作品)が参加した。


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