1.はじめに 7月20日に関根放送総局長が記者会見し、内部調査で明らかになった放送総局所属のチーフ・プロデューサーによる「芸能番組制作費不正支出問題」について調査状況を報告しました。 23日には海老沢会長が記者会見し、職員が不祥事を起こし、公共放送NHKに対する視聴者・国民のみなさまの信頼を損ねたことについて陳謝するとともに、チーフ・プロデューサーを懲戒免職にしたのをはじめ関係者を処分し、会長自らも減給30%3か月としたことを発表しました。 この記者会見で会長は、「平成9年の会長就任以来7年間“改革と実行”“公開と参加”“向上と貢献”の3つの経営理念を掲げて聖域なき構造改革を進め、多くの職員もこれに応えてまじめに業務を行っている。そうした中で、責任ある立場の職員が公金というべき受信料を不正支出してしまったことは痛恨の極みであり、再発防止のために、業務の進め方の総点検活動を進めたい」と述べ、視聴者・国民のみなさまに対し、信頼回復のために全力をあげて取り組むことをお誓い申し上げました。 どこに問題があったのか、再発防止のために何をすべきか、NHKは、1か月余りにわたって調査を行いました。あわせて、会長を本部長とする「業務総点検実施本部」を7月26日に設置し、すべての業務にわたって経費支出の仕組み、手続きの総点検に取り組んでいます。また、職員などからの通報や相談を受ける窓口として「業務相談室」を同日設置しました。 NHKの役職員には、視聴者・国民のみなさまに奉仕する公共放送人として、高い倫理意識を持つことが求められています。NHKは、これまでも「新時代の行動ガイドライン」を策定し、新人研修をはじめあらゆる機会を通じて、職員に対し公共放送人にふさわしい行動をとるよう指導してきました。 コンプライアンス(法令遵守)が、あらゆる企業にとって極めて重要な課題になっています。NHKもこれまで進んできた道をいっそう確かなものにするため、会長を長とする「コンプライアンス(法令遵守)推進委員会」を9月7日に設けました。このコンプライアンス体制の整備により、風通しの良い組織作りを進めます。 さらに、こうしたNHKの取り組みを、外部の目を通して、より公正で的確なものにしていくことが必要です。そのため、弁護士、公認会計士の方々で構成する「NHK業務点検・経理適正化委員会」を8月18日に設け、さまざまな助言をいただいています。 このような取り組みを通し、会長を先頭に、高い倫理意識に裏付けられた緊張感のある組織作りを進めます。 受信料を財源とする公共放送NHKにとって、受信料の適正な使用は、ゆるがせにできない業務運営の基本です。 今回の「芸能番組制作費不正支出問題」などに対して、多くの視聴者・国民のみなさまから、電話やメールなどでお叱りやご意見をいただいています。ごく少数であっても倫理から外れた行為をする職員が出れば、日ごろニュース・番組によって営々として築き上げた視聴者・国民のみなさまからの信頼感が一挙に崩れ去る危険があることを痛感しています。 NHKは、今回の不祥事を厳しい教訓として、職員の倫理意識をさらに高め、不祥事の再発を防止し、視聴者・国民のみなさまからの信頼の回復に全力をあげることを改めて約束いたします。その第一歩として、これまでに解明できた「芸能番組制作費不正支出問題」についての事実関係を報告するとともに、再発防止に向けた改善の方向とNHKの考え方をお示しします。
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