2018年9月21日

防衛省専属運転手 中屋誠一さん

大臣車ドライバーの「速攻」ランチ

2018年9月21日

都内を一望できる、防衛省18階のレストラン。
人影もまばらな午前11時すぎ、1つのテーブルにだけ、お客さんがいますね。

実はみなさん、防衛省専属のドライバーです。

中でも、小野寺防衛大臣を乗せる、「大臣車」の中屋誠一さん(53)は、この道30年以上のベテランです。

「別の食堂に行ってしまうと、何かあったときに『パッ』と戻れないけど、ここだと、エレベーターで、地下1階の車まで『バン!』と降りられる」

「大臣が『緊急で出る』というので、食事を残したまま、同僚にお金を預けていくこともあります」

この日、中屋さんが選んだのは日替わりの中華ランチ、「ジャージャン豆腐」。甘辛く炒めた豆腐と野菜をメインディッシュに、春巻きや、中華スープがついて690円。

「5分、10分で食べ終わりますね。それでも好きなものは先に食べますね、逃がさないように」

昼食にもプロ意識がにじむ中屋さん。どうしてドライバーになったのか聞いてみると。
「乗り物好きで、高校卒業後、陸上自衛隊に入隊して、戦車の部隊を選んでですね」

せ、戦車??
「74式の操縦手です」

74式戦車は、40年以上前に配備され、いまも現役で車両数が最も多い戦車ですが、その操縦手から大臣車のドライバーとは。
「だいぶ違いますけど、まぁ。思いどおりに動く感覚が楽しいというか」

「何でも乗りこなす」中屋さんが、大臣車のドライバーとして、最も「きつかった」と振り返るのが、去年、北朝鮮が相次いで弾道ミサイルを発射していた時期です。

「2人交代・24時間態勢で防衛省内に泊まって。そうしないと、防衛大臣を早く総理大臣官邸に送り届けるとか、とても出来ない。ミサイルは、いつ撃たれるか分からないし、熟睡も出来ず、何かあると『ピクッ』と起きちゃう感じでしたね」

米朝首脳会談後は沈静化していますが、「油断はしない」と気を引き締める中屋さん。帰宅しても着替えはハンガーにつるして用意。好きなお酒を飲みたい時は、急な呼び出しに対応できるよう、もう1人のドライバーに連絡します。

「自衛官のときから関わっているので、防衛大臣は『神的存在』。ミサイルでも災害でも、少しでも対応が遅れることが無いよう、出来ることはちょっとしか無いんですけれども、『大臣の足』として機敏に動けるようにしたい」

そんな話をしていると、小野寺大臣、出発ですよ。

日本の安全保障を支える、縁の下の「速攻」ランチ。
きょうも一日、安全運転で!

ごちそうさまでした。