2018年5月21日

外務省 中南米局長 中前隆博さん

中南米局長の思い出の味「フェジョン」

2018年5月21日

日比谷公園近くのブラジル料理店でランチをとるのは、外務省の中南米局長を務める中前隆博さん(57)です。

食べているのはメインの肉料理と、つけあわせのブラジルのおふくろの味、「フェジョン」。セットで700円です。

「フェジョン」は、いんげん豆などを塩やスパイスで煮込んだシチューのような料理で、ブラジルの食卓に欠かせない1品だそうです。

在ブラジル日本大使館で公使をしていたころ、3日に1度は食べていた思い出の味です。
「豆の甘みが塩でひきたてられていて、かつスパイシー。ごはんによく合うし、くせになる味。赴任当時のいろんなことを思い出す」

およそ190万人という世界最大の日系人社会があるブラジル。しかし、世代交代が進み、日本に対する認識や理解は年々希薄になっているとも。そんな中、日本とのつながりの深さを感じたエピソードを教えてくれました。

おととし9月、広島カープが25年ぶりのリーグ優勝を果たしたときのこと。ブラジルでも悲願成就の瞬間が生中継され、広島出身で大のカープファンの中前さんも歓喜の涙。

その瞬間、中前さんだけではなく、広島にルーツを持つ日系人も同じように喜びに沸いたそうです。ともに分かち合った祝賀会でのビールの味は忘れられないといいます。
「地球の反対側でも同じようにカープの優勝を祝えるなんて思わなかった。日系人の人達は同じ祖先を持つことにプライドを持ってくれている。これからも日系人社会と連携し、それぞれの国の発展のために頑張りたい」

中前さんが担当するのは、中南米地域にある33か国。ことしは、アルゼンチンがG20の議長国を務めるほか、ブラジルも日本人が移住して110周年を迎えるなど外交行事がめじろ押しです。
「中南米の国々は遠いけど、日本と何か一緒にやりたいという気持ちがすごくある。支援するとか、助けてあげるというのではなく、いまある課題にともに取り組むことができるパートナーとして関係をさらに深めていきたい」

ごちそうさまでした!