2020年2月25日

れいわ新選組 参議院議員

木村英子さんの「愛とおかずがたっぷりのお弁当」

2020年2月25日

2月中旬の、とある日の朝。参議院議員宿舎の一室を訪ねました。
「おはようございます」

出迎えてくれたのは、れいわ新選組の参議院議員、木村英子さん(54)です。
重度の障害があり、大型の車いすを使用しています。

「国会開会中の朝は忙しくて。私は介助者にあれこれとやってもらうばかりで、いまはお弁当を作ってもらっています」

テーブルには、おいしそうなおかずの数々。介助者の女性が、手際よく弁当箱に詰めていきます。

「貧血になりやすいのでひじきは常備ですね。このレンコンの揚げ物は夫が作りました。揚げ物担当です」

おかずを作った旦那さんは、すでに仕事に出たんだとか。

あっ、そうこうするうちに国会に出かける時間…。

木村さんは専用の福祉車両で国会に向かって…

午前中、参議院本会議に出席しました。

ランチタイムに、国会内の事務所で取材再開です。

朝詰めてきたお弁当をいただきます。

量が多いと思ったら、介助者と分けて食べるんだそうです。

「いただきます」
木村さんが食べたいおかずを言うと、介助者が口に運んでいきます。

鶏のから揚げも、旦那さんの手作り。ウインナーに卵焼き、トマト、ほうれん草のあえ物、切り干し大根…愛とおかずがたっぷりですね!

繰り返すこと数回。まだ残っていますが、「ごちそうさま」ですか?

「活動量が少ないので、⾷べるのは少しずつなんです。残りは空き時間に⾷べます」

木村さんは、生後8か月で歩行器ごと玄関から落ち、けい椎を損傷しました。

重度の障害を負い、幼少期のほとんどは施設と養護学校で過ごしたといいます。

「足腰はまったく動かないし、手も、右手で車いすの操作するのがギリギリで」

重度の障害がある人は、その多くが施設や自宅で暮らしています。
しかし木村さんは、養護学校を卒業したあと、19歳で自立生活をする道を選びました。

木村さんの自立生活を支援するグループに、ボランティアとして来ていたのが、のちの旦那さん。24歳で結婚し、子ども1人を育て上げました。

「重度障害者であっても、女性としての人生もあきらめたくなかったから。恋をして、結婚して、子どもを産んで、育てて」

木村さんは、30年以上、みずからも障害者の自立を支援する活動を続けてきました。

そんな中、れいわ新選組から参議院選挙の候補者として声がかかり、悩んだ末に政治の世界に飛び込みました。国会では、大型の車いすを通りやすくするよう、議場の改修などが進められました。

「国会内の移動はほとんど支障がなくなり、ありがたいです。ただ国会から一歩外に出ると、急な坂があったり、歩道の真ん中に電柱が立っていたりして、危険な場所も多いんです」

木村さんは、障害者が地域であたりまえのように自立して暮らし、社会に進出していくためには、まだまだ課題が山積していると考えています。

取材の最後に、シンプルな質問をひとつ。
国会議員として、これからどう活動していきますか?

「ことしはパラリンピックもあり、多くの障害者が日本を訪れます。障害のある人も、健常者と同じように生きていける社会を目指します」

よりよい社会を目指す熱意に満ちた木村さんの、愛とおかずがたっぷり詰まったお弁当。

ごちそうさまでした!