2019年5月24日

防衛装備庁長官 深山延暁さん

「押し切られない!」闘志を燃やす汗だくランチ

2019年5月24日

相撲の親方のような風格の男性。

防衛省18階の食堂に現れたのは、防衛装備庁長官の深山延暁(みやま・のぶあき)さん(60)です。

この日は、秘書2人とランチ。

「人間、食事しながら怒る人は少ないよね。だから、一緒に食事すると極めて友好的になる」
そうつぶやく深山さん、実は大学時代は相撲部にいたそうです。

当時、部内でのしこ名は「深山(しんざん)」
相手に頭から勢いよく当たって、まわしをとるのが得意技だったそうです。

ランチはやっぱり、ちゃんこ鍋ですか?
「残念ながら、ちゃんこは、今は夜だけだね」

そう言って、この日選んだのは、タンタン麺。ごはんもついて600円。

「麺onごはん」が深山流の食べ方です。

「辛くて刺激になる。そして、タンタン麺だけじゃ物足りないよね、やっぱり。防衛省・自衛隊はカロリー重視だから。いつ何があるか分からないから、自分の戦力維持は、心得の一つだと思う」

相撲に熱中していた大学時代に95キロだった体重は今、103キロ。
ちなみにご自身の過去最高は、若手防衛官僚時代の110キロだそうで…。

「暑いね。めがねが曇っちゃった」

秘書「長官、いつも汗すごいですよね。出てくるのも速い」

汗だくになりながら、15分で完食した深山さん。

自衛隊の戦闘機や艦船などの研究開発から調達までを担う防衛装備庁。
防衛装備品をめぐっては、これまでさまざまな不祥事があっただけに、2000人のトップとして、よい情報もトラブル情報も、速やかに上がってくる組織を目指しています。

「情報を上げてきた時に速やかに的確な判断をする。その判断ができる、頼りがいのある上司でないとね、部下は、報告しても意味がないって思っちゃうでしょう」

防衛装備庁は、アメリカ政府からF35戦闘機や新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」などを直接購入する「FMS」=「対外有償軍事援助」取り引きの担い手でもあります。

野党などからは「アメリカの言い値で高額兵器を『爆買い』している」と批判されることも。

こうした中、格闘技好きと言われるトランプ大統領がまもなく来日して相撲観戦もします。

押しの強いトランプ政権に、今後のFMS交渉でも押し切られるのではという懸念も出ていますね。
「最新兵器はどうしても高額になるから、国民に丁寧に説明しなきゃいけないですね。日米は同盟国だから、別に対じしているわけではないが、アメリカにも、言うべきことはしっかり言いますよ。日本の国益を考えて交渉しているので、押し切られるというのはあたらないんじゃないか」

今後もハードな交渉が予想されますが、その交渉に相撲の精神が生きていると言います。
「取り組み前から、ビビっていてもしょうがない。まず相手に当たってみることが大事だと、ずっと思ってきたね。いろんな場面があるが、言いたいことはできるだけ率直に言う。相撲取ってぶつかる時に遠慮してもしょうがない」
「投げられたり突き出されたりもするが、受け身も学んで、大けがはしないように。相撲って、体重差があっても勝てる格闘技なんだよね。諦めなければ、もしかしたら勝てる目があるかもしれないってね」

言うべきことは言うと、熱い闘志を燃やす汗だくランチ。

どんな交渉相手にも押し切られないようお願いします。

ごちそうさまでした。

注)大学時代の写真は、東大相撲部OB会長・櫟原利明さんより提供。深山長官とアメリカ政府の関係者が一緒に写っている写真は、防衛省撮影。