旧統一教会 被害者救済法案 自民の修正案に一定評価 立民 維新

旧統一教会の被害者救済に向けて悪質な寄付を規制する新たな法案をめぐり、自民党は、立憲民主党と日本維新の会に対し寄付の勧誘を行う法人などが配慮義務を怠った場合、勧告や法人名の公表を行うなどとした修正案を示しました。立憲民主党と日本維新の会は、課題は残るものの、一定の評価ができるという考えを伝えました。

旧統一教会の被害者の救済を図る新たな法案は12月6日、衆議院で審議入りする予定で、与党側が10日の会期末までに成立させたいとしているのに対し、野党側は、修正が必要だとして、与党側に対応を求めていました。

そして、自民党の茂木幹事長は5日午後、立憲民主党の岡田幹事長、日本維新の会の藤田幹事長と会談し、修正案を示しました。

修正案では、寄付の勧誘を行う法人などに課すとしている配慮義務について両党が求めていた禁止行為として位置づけることは難しいとしたうえで、実効性を高めるため配慮義務を怠ったことが判明した法人などに対し、行政が、勧告や法人名の公表を行うことなどが柱となっています。

また、法律を見直す規定について、施行後3年から2年に短縮することも盛り込まれています。

これに対し、岡田、藤田両氏は、課題は残るものの一定の評価ができるという考えを伝えました。

一方、3氏は会談で、法案を今の国会で成立させる必要があるとの認識で一致し、10日に会期末が迫るなか、審議日程の調整を急ぐことを確認しました。

自民 茂木幹事長「できうるものはすべて取り入れた」

自民党の茂木幹事長は記者団に「実効性をさらに高めていく観点から、今回は配慮義務について、『勧告』や『公表』の対象にする形をとった。現行の法体系上、最大限のものを盛り込んだと考えており、野党の提案も、できうるものはすべて取り入れた」と述べました。

立民 岡田幹事長「努力は評価 問題残っている」

立憲民主党の岡田幹事長は記者団に「全体的に努力いただいたことは評価したい。法案が審議入りする中で、与党が『ここまで歩み寄る』という線を示したものだが、配慮義務を禁止にするといういちばん肝心なところが変わっておらず問題が残っている。現時点で法案への賛否を言うつもりはない。60点が合格点だとすると50点ぐらいにはなったので、あと10点だ」と述べました。

維新 藤田幹事長「100点ではないとはいえ一歩前進は評価」

日本維新の会の藤田幹事長は、記者団に「実効性の面がいちばん大事で、まだ、われわれが求めている100点ではないとはいえ、一歩前に進めているところは評価したい。あすから始まる法案審議では、岸田総理大臣や参考人に対する質疑を行う可能性があるので、法案の解釈や立法の趣旨などを明確にして、被害者救済や今後の抑止につながる法案に仕上がるよう最後まで努力したい」と述べました。

岸田首相「今国会での成立に全力」

5日に開かれた政府与党連絡会議で、岸田総理大臣は、旧統一教会の被害者救済に向けて悪質な寄付を規制する新たな法案について「現行法の体系上許されるかぎり、最大限、被害者救済のための規定を盛り込み充実した内容になった。会期内での成立に向けて全力を尽くしていく」と述べました。

公明 山口代表「野党の意見もできるかぎり取り入れた」

公明党の山口代表は「法案は野党の意見もできるかぎり取り入れた形でまとめられたもので、多くの賛同が得られるよう最後まで尽力してほしい。政府・与党で結束し、最後まで緊張感を持って国会運営に臨みたい」と述べました。

旧統一教会 被害者救済法案 首相への質疑要求で一致 野党4党

旧統一教会の被害者救済に向けて、悪質な寄付を規制する新たな法案をめぐり、野党4党の国会対策委員長は、委員会での審議を充実させるため、岸田総理大臣に対する質疑などを与党側に求めていくことで一致しました。

新たな法案は、6日の衆議院本会議で審議入りする見通しで、これを前に野党4党の国会対策委員長が協議しました。

そして、委員会での審議をより充実したものにするため、岸田総理大臣に対する質疑と被害者支援にあたってきた弁護士などへの参考人質疑を行うよう、与党側に求めていくことで一致しました。

立憲民主党の安住国会対策委員長は記者団に「丁寧な議論のためにはそれなりの時間が必要だ。1か月半ほど政府・与党側と議論してきた経緯があるので、その点は考慮に入れる。政府・与党がかなり歩み寄って実効性が出てきた部分もあることを勘案して、被害者のためになる法案に近づける努力をしたい」と述べました。