対面3年ぶり 日中首脳会談 尖閣諸島の日本の主張を伝える方針

東南アジアを訪れている岸田総理大臣は、11月17日夜、中国の習近平国家主席と、対面ではおよそ3年ぶりとなる日中首脳会談を行います。

沖縄県の尖閣諸島をめぐる問題などで日本の主張を直接伝える一方、気候変動対策などを念頭に共通の課題には協力して取り組む姿勢を示すことで、関係立て直しの糸口を探りたい考えです。

岸田総理大臣は、G20サミット=主要20か国の首脳会議などインドネシア・バリ島での一連の日程を終え、17日、APEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議が開かれる最後の訪問国タイのバンコクに移動します。

そして17日夜、中国の習近平国家主席との、対面ではおよそ3年ぶりとなる日中首脳会談に臨みます。

会談を前に岸田総理大臣は16日、「日中関係はさまざまな可能性がある一方、課題や懸案もある。対話を進めていくにあたってスタートとなるような会談にしたい」と述べました。

岸田総理大臣は、ことしが、国交正常化から50年という節目であることを踏まえ、中国との対話を継続しながら建設的で安定的な関係の構築を図ることを目指しています。

このため、中国が、沖縄県の尖閣諸島周辺で領海侵入を繰り返していることや、台湾に軍事的な圧力を強めていることなどに関して、日本の主張を直接伝え、前向きな対応を求める方針です。

一方で気候変動対策などを念頭に両国の共通の課題には協力して取り組む姿勢も示すことによって、厳しい状況が続く日中関係を立て直す糸口を探りたい考えです。

習主席 日本との関係重視も 台湾めぐり中国の立場強く主張か

中国の習近平国家主席は、日本との関係を重視する姿勢を示す一方、台湾への関与は容認しないという中国の立場を強く主張するものとみられます。

中国の習近平国家主席は、10月の共産党大会で党トップとして異例の3期目入りしましたが、これを前にしたことし9月、日本と中国の国交正常化から50年となった日にあわせ岸田総理大臣とメッセージを交換しました。

このなかで習主席は「私は両国関係の発展を非常に重視しており、新しい時代の要求にふさわしい関係を構築するようけん引していきたい」としています。

中国では、厳しい行動制限を伴う「ゼロコロナ」政策などの影響で経済の回復が遅れていて、今回の会談で習主席は、日本からの投資などを呼び込もうと、両国関係を重視する姿勢を示すものとみられます。

今回の会談について中国外務省の毛寧報道官は16日の記者会見で重要な意義があるとしたうえで「意見の相違を適切に管理し、新時代にあった両国関係を構築することにともに力を尽くすべきだ」などとして、期待を示しました。

一方、中国は、台湾を一歩も譲ることができない「核心的利益」と位置づけ、習主席は、統一のためには武力行使も辞さない姿勢を示していて、今回の会談では、台湾への関与は容認しないという中国の立場を強く主張するものとみられます。