政府 “日中首脳会談 11月17日にタイで行う” 会談のねらいは

東南アジアを訪問中の岸田総理大臣は、11月17日にタイで、中国の習近平国家主席と首脳会談を行うことになりました。対面での日中首脳会談は、およそ3年ぶりで、政府は「建設的かつ安定的な日中関係」の構築につなげたい考えです。

岸田首相と習主席の対面会談は初

岸田総理大臣は、11月12日から8日間の日程で東南アジアを訪問していて、現在はインドネシアに滞在し、15日からG20=主要20か国の首脳会議などに臨む予定です。

松野官房長官は記者会見で、岸田総理大臣が11月17日に、APEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議が開かれるタイで、会議に同席する予定の中国の習近平国家主席と首脳会談を行うことを明らかにしました。

松野官房長官は「日中間には現在でもさまざまな可能性とともに、数多くの課題や懸案があるが、主張すべきは主張し、責任ある行動を求めつつ、共通の課題については協力するという『建設的かつ安定的な日中関係』を日中双方の努力で構築していく必要がある。これに向けて対応を進めていく会談にしたい」と述べました。

日中首脳による対面での会談は、2019年12月以来、およそ3年ぶりで、岸田総理大臣と習近平国家主席による会談は、今回が初めてとなります。

日中首脳会談のねらいは

日本と中国の首脳が対面で会談を行うのは、安倍政権の時の2019年12月以来、およそ3年ぶりです。

翌2020年4月には習近平国家主席の国賓としての日本訪問が予定されましたが、新型コロナの感染拡大で延期され、実現しませんでした。

去年10月に岸田総理大臣が就任した際の電話会談では、岸田総理大臣が「建設的かつ安定的な関係をともに構築していかなければならない」と述べたのに対し、習主席は日中関係を発展させていくことに意欲を示しました。

しかし、沖縄県の尖閣諸島周辺海域では、中国の公船が領海侵入を繰り返しているうえ、ことし8月にはアメリカのペロシ下院議長の台湾訪問に反発して行われた中国の軍事演習で、弾道ミサイルの一部が日本のEEZ=排他的経済水域の内側に落下するなど、日中関係は厳しい状況が続いています。

こうした中、日本政府は、関係が厳しい時こそ意思疎通を図る必要があるとして中国側と事務レベルでの対話を継続してきました。

そして、ことし9月の日中国交正常化から50年の節目には岸田総理大臣と習主席がメッセージを交換したことなどを踏まえ、対面では初めてとなる両首脳の会談の機会を模索してきました。

今回の首脳会談で岸田総理大臣は「主張すべきことは主張し、大国としての責任を果たすよう求めていくと同時に、協力できる分野では協力する用意がある」という日本側の立場を伝えるものとみられ、建設的で安定的な関係の構築につなげたい考えです。