北朝鮮ミサイル 岸田首相“平和 安全脅かす” 政府・各地の対応は

北朝鮮が10月4日朝、弾道ミサイルを発射したことについて、岸田総理大臣は、昼ごろから総理大臣官邸で開かれた政府与党連絡会議で、重大かつ差し迫った脅威で平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できないとして、関係国と緊密に連携し、国民の安全の確保などに万全を期す考えを示しました。

この中で、岸田総理大臣は「北朝鮮が本日、弾道ミサイルを発射し、わが国の上空を通過したことを受け、NSC=国家安全保障会議を開催した。わが国の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威であるとともに、地域および国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できない」と述べました。

そのうえで「情報収集・分析に全力を挙げるとともに、関係国と緊密に連携し、国民の安全と安心の確保に万全を期していく」と述べました。

また、岸田総理大臣は、今月まとめる総合経済対策について「物価高や円安への対応、構造的な賃上げ、成長のための投資と改革の3つを重点分野とし、思い切った計画を策定していきたい」と述べ、財源の裏付けとなる今年度の第2次補正予算案をできるかぎり早く閣議決定できるよう準備を進め、国会審議に誠実に対応していく考えを示しました。

このほか、自民党の茂木幹事長は「物価高や安全保障環境など、非常に困難な環境にあり、緊張感を持って取り組むのは当然だが、日本の場合、物価高についてはある程度ターゲットを絞ることで対応可能ではないか」と述べました。

松野官房長官 飛距離はおよそ4600キロ 北朝鮮弾道ミサイル

松野官房長官は、NSC=国家安全保障会議の閣僚会議のあと記者会見し、4日朝、北朝鮮が発射した弾道ミサイルは、青森県付近の上空を通過したあと、日本のEEZ=排他的経済水域の外側に落下したとみられるとしたうえで、飛距離はおよそ4600キロ、最高高度はおよそ1000キロと推定されることを明らかにしました。

この中で松野官房長官は「北朝鮮は本日7時20分ごろ、北朝鮮内陸部から弾道ミサイル1発を東方向に発射した。詳細は分析中だが、ミサイルは青森県付近のわが国上空を通過したあと、7時44分ごろ、太平洋上のわが国のEEZ=排他的経済水域外に落下したものと推定される」と述べました。

そして「現時点で被害報告などの情報は確認されていない。政府としては、わが国の領域やその付近の落下物の有無などについて、関係機関を通じて確認作業を実施しているところだ」と述べました。

そのうえで、発射された弾道ミサイルについて、飛距離はおよそ4600キロ、最高高度はおよそ1000キロと推定されることを明らかにしました。

また、今回の発射について、自衛隊が発射直後から落下まで、完全に探知・追尾し、日本の領域での被害が想定されなかったことから、自衛隊による破壊措置は実施しなかったと説明しました。

そして「政府としては、いかなる事態においても、国民の生命、財産を守るべく、万全の体制をとる観点から、防衛省・自衛隊に所要の体制をとらせているが、具体的な対応を明らかにすることは差し控えたい」と述べました。

一方、北朝鮮側の意図については「断定的に答えることは差し控えたい」としたうえで「北朝鮮の軍事動向について、引き続き、アメリカや韓国をはじめとする関係国と緊密に連携しつつ、重大な関心を持って情報の収集・分析に努め、わが国の平和と安全の確保に万全を期していく」と述べました。

内閣官房長官声明を発表

松野官房長官は、NSC=国家安全保障会議の閣僚会合のあと、内閣官房長官声明を発表しました。

それによりますと「わが国を含む関係各国および国際社会は北朝鮮に対し、これまで累次にわたり関連の国連安保理決議などの完全な順守を求めると共に、たび重なる弾道ミサイルの発射などの挑発行為を非難し、核・ミサイル開発の放棄を求めてきた。こうした中、北朝鮮が再び国連安保理決議違反である弾道ミサイル発射、それも日本の上空を通過するものを強行したことは極めて遺憾であり、断じて容認できない」としています。

そのうえで「わが国上空を通過する弾道ミサイルを発射したことは、わが国の安全保障にとって、重大かつ差し迫った脅威であるとともに、地域および国際社会の平和と安全を脅かすものだ。北朝鮮に対して厳重に抗議し、最も強い表現で非難した」としています。

また、政府の今後の対応として、▽弾道ミサイルが通過したと判断される地域に重点を置いて、落下物などによる被害がないか、改めて確認を行うことや▽北朝鮮の今後の動向を含めた情報収集・分析に徹底を期すとともに、国民への情報提供を適時・的確に行うとしています。

そして▽不断に必要な態勢をとるとともに、アメリカや韓国をはじめとする関係各国や国際社会との協力・連携をさらに強化し、北朝鮮に対する断固たる対応を早急に検討するとしています。

さらに▽新たな国家安全保障戦略などの策定プロセスを通じ、いわゆる「反撃能力」を含め、あらゆる選択肢を排除せず現実的に検討するとともに、スピード感をもって防衛力を抜本的に強化していくとしています。

自民 高木国対委員長 非難決議採択の方向で調整

自民党の高木国会対策委員長は、党の役員連絡会で「北朝鮮の弾道ミサイルがわが国の上空を通過した場合、これまでは国会で非難決議を行ってきた。今回どうするか早急に検討し、基本的には決議を採択する方向で調整したい」と述べました。

北朝鮮ミサイル 飛行距離 約4600キロこれまでで最長か 防衛相

浜田防衛大臣は、北朝鮮が発射した弾道ミサイルについて、IRBM=中距離弾道ミサイル級以上の射程を有するミサイルで、『火星12型』と同型の可能性があると発表しました。また、推定の飛行距離がおよそ4600キロで、これまでで最長だったと考えられると明らかにしました。

浜田防衛大臣は4日午前10時すぎ、防衛省で記者団に対し、北朝鮮が4日午前7時22分ごろ、北朝鮮内陸部から1発の弾道ミサイルを東方向に向けて発射したことを明らかにしました。

最高高度はおよそ1000キロで、およそ4600キロ飛行し、7時28分ごろから7時29分ごろにかけて青森県上空を通過したあと、7時44分ごろ、日本の東およそ3200キロの日本のEEZ=排他的経済水域の外側に落下したと推定されるということです。

そのうえで浜田大臣は、高度や飛行距離を踏まえると、IRBM=中距離弾道ミサイル級以上の射程を有するミサイルだと推定されるとしたうえで、これまでに4回発射している中距離弾道ミサイル級の「火星12型」と同型の可能性があると発表しました。

また、発射地点から着弾地点までの飛行距離、およそ4600キロは、これまでで最長だったと考えられると明らかにしました。

現在までのところ、航空機や船舶からの被害報告などの情報は確認されていないということです。

そして、浜田大臣は、今回の発射について「わが国上空を通過させる形での弾道ミサイル発射は、航空機や船舶はもとより上空を弾道ミサイルが通過したと判断される地域の住民の安全確保の観点からも、極めて問題である行為だ。断じて容認できない」として、北朝鮮側に対し、北京の大使館ルートを通じて抗議したことを明らかにしました。

中距離弾道ミサイル級「火星12型」とは

防衛省によると、中距離弾道ミサイル級の「火星12型」は、液体燃料方式で、射程がおよそ5000キロにおよび、北朝鮮はこれまでに4回発射しています。

このうち、2017年8月29日と9月15日には、北海道の渡島半島付近と襟裳岬付近の日本の上空を通過する形で1発ずつ発射されました。

また、2017年5月14日とことし1月30日には、通常より角度をつけて打ち上げる「ロフテッド軌道」で発射され、飛行時間がいずれも30分程度に及んでいます。

防衛省は、これまでの発表を踏まえると、北朝鮮が「火星12型」の実用化を進めているとみられ、生産段階にある可能性も考えられるとしています。

防衛相 米軍司令官と会談 北朝鮮の弾道ミサイル発射を非難

浜田防衛大臣は4日午前、防衛省でアメリカのインド太平洋軍のトップ、アキリーノ司令官と会談しました。

この中で、浜田大臣は、北朝鮮が4日朝に発射した弾道ミサイルが日本の上空を通過したことについて「これまでの弾道ミサイルなどのたび重なる発射に続く暴挙だ」と述べ、改めて強く非難しました。

そのうえで「北朝鮮によるたび重なる弾道ミサイル発射、中国による力による一方的な現状変更や、その試みの継続など、わが国を取り巻く安全保障環境は格段に厳しさを増しており、地域の平和と安定にとって日米同盟はかつてなく重要となっている」と述べました。


これに対し、アキリーノ司令官は、北朝鮮の発射を強く非難したうえで、「このような行動が地域の不安定化を及ぼし、さらには平和と安定を脅かす」と述べ、自由で開かれたインド太平洋の維持に取り組む考えを示しました。

日米韓 担当局長が電話協議 緊密に連携確認

北朝鮮による弾道ミサイルの発射を受けて、外務省の船越アジア大洋州局長は、アメリカ国務省のソン・キム北朝鮮担当特別代表、韓国外務省のキム・ゴン朝鮮半島平和交渉本部長と、日本時間の午前9時ごろからおよそ20分、電話で協議しました。

この中で、船越局長は「北朝鮮が2017年以来となる、日本の上空を通過する弾道ミサイルの発射をしたことは極めて遺憾であり、断じて容認できない」と述べました。

そのうえで3者は、先週1週間で4回、弾道ミサイルを発射したのに続き、4日に日本の上空を通過する形で弾道ミサイルを発射したことを強く非難するとともに、こうした発射を含め、北朝鮮が核・ミサイル活動を強化していることは、国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦だという認識を改めて共有しました。

そして、国連安全保障理事会でのさらなる対応や、日米韓3か国の安全保障協力を含む、地域の抑止力の強化などについて、引き続き緊密に連携していくことを確認しました。

北朝鮮ミサイル 林外相が米国務長官と電話協議 緊密連携確認

林外務大臣は北朝鮮による弾道ミサイルの発射を受けて、4日午前、アメリカのブリンケン国務長官と電話でおよそ10分間、協議しました。

協議で、両外相は、先週の1週間で4回という、例を見ない頻度での発射に続き、今回、北朝鮮が2017年以来となる、日本の上空を越える形での発射を行ったことは、日本の安全保障にとって重大で差し迫った脅威であり、国際社会全体に対する明白で深刻な脅威だとして非難しました。

そのうえで、国連安保理決議に沿った北朝鮮の完全な非核化に向け、安保理でのさらなる対応などについて、引き続き、日米、日米韓で緊密に連携していくことを確認したということです。

また、林大臣は、日本の防衛力の抜本的な強化に取り組む決意を改めて伝え、両外相は、日米同盟の抑止力や対処力の強化などに向け、協力していくことを確認しました。

このあと林大臣は、記者団に対し「わが国、そして地域の平和と安定を守り抜くために、ブリンケン長官と引き続き緊密に連携・協力していく」と述べました。

さらに林大臣は、韓国のパク・チン外相とも午後1時からおよそ10分間、電話で協議し、発射を強く非難するとともに、引き続き、日韓、日米韓で緊密に連携していくことを確認しました。

自衛隊統合幕僚長 訪日中の米軍司令官と会談 北朝鮮対応で連携

自衛隊トップの山崎統合幕僚長は、日本を訪れているアメリカインド太平洋軍のトップ、アキリーノ司令官と4日午前10時ごろ、防衛省で会談しました。

この中で、山崎統合幕僚長は、北朝鮮の弾道ミサイル発射について「わが国を含む国際社会にとって深刻な挑戦であり、わが国にとっては、重大かつ差し迫った脅威だ。アキリーノ司令官と密接に連携し対応していきたい」と述べました。


一方、アキリーノ司令官は「けさからすでに山崎統合幕僚長との間で、電話でさまざまな話をしている。北朝鮮のミサイル発射は、そのつどしっかりと意思疎通を図ってきている。ミサイルの発射は、国連安全保障理事会の決議違反であり、この地域に不安定をもたらすもので強く非難する」と述べました。

アメリカのインド太平洋軍 声明発表

アメリカのインド太平洋軍は声明を発表し「われわれは北朝鮮が弾道ミサイルを発射し、日本の上空を通過させたことを認識している。日本や韓国、それにそのほかの地域の同盟国などと緊密に協議し、北朝鮮がもたらす脅威に対応している」としています。

そして「アメリカはこれらの行動を非難し、北朝鮮に対して、さらなる違法な行為や不安定化させる行為を控えるよう求める。今回の発射はアメリカの国民や領土、それに同盟国の脅威にはならないと判断しているが引き続き状況を監視していく。日本と韓国の防衛に対するアメリカの関与は揺るぎない」と強調しました。

東京の島しょ部に初のJアラート 小池知事「強い警戒感で対応」

北朝鮮から弾道ミサイルが発射されたのに伴って、初めて東京都の島しょ部にJアラートが発令されました。
これを受けて都は対策会議を開き、小池知事は今後も発射が継続する可能性があるとして、関係機関と連携し、強い警戒感を持って対応する考えを示しました。

4日朝、北朝鮮から弾道ミサイル1発が発射されたのに伴って、都の島しょ部の2町7村にJアラートが発令されました。

都内にJアラートが発令されたのは初めてのこととなります。

これを受けて都は午前10時から危機管理対策会議を開き、午前7時50分時点で都内の全区市町村で被害はなかったことを改めて確認しました。

会議の中で小池知事は「今後も北朝鮮による弾道ミサイルの発射が継続される可能性がある。都民の安心安全を守るため、関係機関と連携した情報収集などの徹底をお願いする。発射情報があった場合にはあらゆる手段を活用して都民に的確な情報を発信し、強い警戒感を持って対応してほしい」と述べました。

都は今後も都のホームページなどで情報提供を行うことにしています。

北海道 鈴木知事「断じて容認できない暴挙」

北朝鮮によるミサイルの発射を受けて北海道は4日午前、緊急会議を開き、この中で鈴木知事は「道民の安全安心にとって極めて深刻かつ重大な脅威で、断じて容認できない暴挙だ」と非難しました。そのうえで、「政府に対し、北朝鮮がこのような国連安保理決議に明白に違反した行為を繰り返すことがないよう、国際社会とも連携のもと適切な対処を講じるよう強く求めていく」と述べました。

北朝鮮ミサイル 各地の反応は

4日朝の北朝鮮からの弾道ミサイルの発射を受けて、北海道では鉄道で運休や遅れが出たほか、漁業者や市民から不安の声が聞かれました。

【北海道】

鉄道 運休や遅れも

北朝鮮によるミサイル発射の情報を受けて、JR北海道は一時、道内全域で運転を見合わせたため列車に遅れが出ています。

JR札幌駅では午前9時ごろ、列車の遅れを知らせるアナウンスが流れていたほか、電光掲示板にも遅れの情報が表示されていました。
また改札付近は列車を利用しようとする多くの人で混雑していました。

江別市から来たという30代の男性は「江別駅でもアナウンスが流れていて、ふだんより混雑していました。朝、Jアラートの情報でミサイルの発射に気づきましたが、電車の運行にまで影響が出ているとは思いませんでした」と話していました。

小樽市から来たという19歳の女性は「朝、スマートフォンのアラームが鳴ったので、テレビをつけて情報収集しました。駅に着くと遅れが出ていて驚きました」と話していました。JR北海道によりますと、午前10時時点で、函館線と千歳線であわせて13本の列車が運休、または運休が決まっているということです。

札幌市営地下鉄は一時、運転を見合わせましたがその後、再開しました。

札幌市豊平区にある地下鉄南北線の平岸駅では通勤客や通学客が次々に乗車し、大きな混乱は見られませんでしたが運行ダイヤが乱れていることを伝える紙が掲示され、通勤客らが立ち止まって確認していました。

地下鉄はダイヤが乱れているものの数分おきに運行されていて、午前8時現在、駅に目立った混雑や混乱した様子は見られません。

北海道 小中学校など臨時休校や始業時間繰り下げの対応

北海道教育委員会の午前10時時点のまとめによりますと、道内にある公立の小中学校と高校、それに特別支援学校などでは、臨時休校にしたり始業時間を繰り下げたりする対応が取られています。

臨時休校となっているのは、▽岩見沢市の高校と、▽木古内町の小学校と中学校の合わせて3校です。

また始業時間を繰り下げたのは、▽小学校が73校、▽中学校が43校、▽小中一貫の義務教育学校が2校、▽全日制と定時制の高校が合わせて12校、▽特別支援学校が1校の合わせて131校です。

函館 登校一時見合わせも

函館市教育委員会によりますと、北朝鮮からミサイルが発射されたことを受けて、函館市内の小中学校などでは、児童や生徒の登校を一時、見合わせるなどの影響が出たということです。

このうち、1つの小学校では午前7時半すぎ、「登校中止」とのタイトルで「ミサイル発射のため、登校を中止してください」としたうえで、すでに登校した児童については学校に待機させるなどとした一斉メールを保護者に送りました。

そして、およそ40分後、学校側から安全が確認されたとして、登校を再開させると保護者に連絡がありました。

このほか、すでに登校した子どもたちを安全が確認されるまで体育館に避難させるなどの対応をとった学校もあったほか、小学校4校と中学校1校の合わせて5つの学校では、登校を一時見合わせた影響で始業時間を10分から30分程度遅らせたということです。

市民からは不安の声

北朝鮮によるミサイルの発射を受けて、札幌市の地下街では午前10時ごろから新聞の号外が配られ、買い物客などが次々と受け取っていました。受け取った群馬県の70代の女性は「北海道のことに詳しくないのでどこに避難すればいいのかと不安になりました」と話していました。

札幌市の40代の女性は「情報が知りたくて、号外を受け取りました。以前にも何度かありましたが上空を越えるということは、日本のどこでも攻撃できるということだと思うので怖いです」と話していました。

また、札幌市の70代の女性は「ミサイルが発射されたと携帯に通知が来てからテレビなどを見ていました。もう落下したと聞いたので安心しましたが、ミサイルが上空を越えたというのは心配です」と話していました。

最盛期のサンマ漁船は

「全さんま」=全国さんま棒受網漁業協同組合によりますとミサイルが発射された当時、北太平洋では100トン以上の大型のものなどおよそ70隻のさんま漁船が操業していたということです。これまでのところ、被害の情報や落下物を確認したという情報は入っていないということです。

北海道根室市の東およそ1000キロ沖合の北太平洋ではサンマ漁が最盛期を迎えていて、根室市の花咲港では、連日、水揚げが行われています。

花咲港に停泊中のサンマ漁船の乗組員の男性は「心配は心配だが、漁業者としてはどうしようもない」と話していました。

また、サンマ漁船の船主の男性はNHKの電話取材に対して、「心配はしているけれど漁業者としては漁があるので気にしてもいられない。ミサイル発射をやめてもらいたい」と話していました。

新ひだか町 防災行政無線が作動せず

北海道の新ひだか町によりますと、北朝鮮がミサイルを発射した際、Jアラートと連動して町民に情報を伝える防災行政無線が作動せず、町内32か所のすべてのスピーカーから音が出なかったということです。町によりますとJアラートを受信する機械が故障したため、先週から修理に出していたということです。

道内3校で臨時休校 131校では始業繰り下げ

北海道教育委員会の午前10時時点のまとめによりますと、道内にある公立の小中学校と高校、それに特別支援学校などでは、臨時休校にしたり始業時間を繰り下げたりする対応が取られています。

臨時休校となっているのは岩見沢市の高校と、木古内町の小学校と中学校のあわせて3校です。また、始業時間を繰り下げたのは小学校が73校、中学校が43校、小中一貫の義務教育学校が2校、全日制と定時制の高校があわせて12校、特別支援学校が1校のあわせて131校です。

函館市教育委員会によりますと、北朝鮮からミサイルが発射されたことを受けて、函館市内の小中学校などでは児童や生徒の登校を一時、見合わせるなどの影響が出たということです。

このうち、1つの小学校では午前7時半すぎ、「登校中止」とのタイトルで「ミサイル発射のため、登校を中止してください」としたうえで、すでに登校した児童については学校に待機させるなどとした一斉メールを保護者に送りました。

そして、およそ40分後、学校側から安全が確認されたとして、登校を再開させると保護者に連絡がありました。

このほか、すでに登校した子どもたちを安全が確認されるまで体育館に避難させるなどの対応をとった学校もあったほか、小学校4校と中学校1校のあわせて5つの学校では、登校を一時見合わせた影響で始業時間を10分から30分程度遅らせたということです。

【青森県】

太平洋沖の大型イカ釣り船など 被害なし

青森県水産振興課によりますと、北朝鮮によるミサイルが発射された当時、青森県の太平洋沖では大型のイカ釣り船などあわせて4つの船が漁に出ていましたが、午前8時の時点でいずれも被害はないことが確認されたということです。

八戸近海の漁業者「海上では逃げようがなく不安」


千葉県から青森県八戸市の近海にサバやイワシの漁に来ていた70歳の漁業者の男性は「サイレンが鳴ったので、船員を全員起こして船内で待機していましたが、『丈夫な建物の中で窓から離れて』と言われても、船内では逃げ場がないので太平洋上に落下したと聞いて安心しました。ふだんは、30キロから50キロほどの沖合で操業していますが、ミサイルが飛んで来たら海上では逃げようがないので、非常に不安です」と話していました。

マグロ漁船乗組員「驚きと恐怖」

青森県の八戸港に停泊していたマグロ漁船のインドネシア人の乗組員は「ミサイルが通過したとされる時間は、沖合で漁をしていた。八戸の港に着いてから詳しい内容を知ったが、このようなことがあり非常に驚いていて怖さを感じる」と話していました。

一部の高校で午後授業取りやめ 安全な場所に移動する対応も

青森県教育委員会によりますと県内の小中学校や高校、それに特別支援学校のうち、八戸市の八戸中央高校は生徒の安全などを考慮して午後の授業を取りやめることを決めたということです。

そのほかの学校については通常通り授業を行うということです。

県教育委員会は「今後の状況を注視して子どもたちの安全を第1に考え適宜必要な対応を取っていく」としています。

青森県の三沢市教育委員会によりますと市内に12ある小中学校では、ミサイルが発射された当時、すでに登校していた児童や生徒を安全な場所に移動させるなどの対応を取ったということです。

このうち三沢小学校では80人ほどの児童がすでに校内にいましたが、校庭にいる児童は校舎に入って窓から離れるよう校内放送で指示し、登校中や屋外にいる児童は校舎の中に入るよう職員や校長が誘導したということです。

小学校では4日午前、1年生と4年生のマラソン記録会が予定されていましたが、ミサイルの発射などを受けて延期することを決め、Jアラートのおよそ30分後に保護者にメールで連絡したということです。

三沢小学校の江渡俊晴校長は、「マニュアルに沿って冷静に対応したが、ミサイルが発射されたあと情報が何もなかったのでどう対応すればよいのか迷った」と話していました。

【東京】

島しょ部の自治体 学校の授業開始遅らせる対応

北朝鮮から弾道ミサイルが発射されたのに伴って初めてJアラートが発令された東京都の島しょ部の自治体では授業の開始を遅らせたり、登校を一時見合わせたりする対応を取りました。

このうち東京の伊豆諸島にある三宅村では村内に1校ずつある小中学校の授業の開始時間を2時間遅らせ、小学校は午前10時45分から中学校は午前10時40分からにしたということです。
授業ができなかった分をどうするかは検討中だということです。

このほか、大島町、利島村、神津島村、青ヶ島村、それに小笠原諸島の小笠原村では、児童と生徒の登校を見合わせ自宅で待機するよう防災無線やメールなどで呼びかけたということです。

Jアラートが解除されたことから各自治体は午前8時ごろまでに登校を再開し、通常通り授業は行われています。このうち小笠原村では児童と生徒数人がホームルームに遅れてきたということですが、大きな混乱はなかったということです。

大島町の住民「ヘルメットかぶって待機した」

Jアラートが発令された東京・伊豆大島の大島町の住民からは大きな混乱はなかったものの驚きや恐怖を感じたという声が聞かれました。

50代の男性は「妻と自分はヘルメットをかぶって家で待機していましたがドキッとしました。ひと事じゃないし、北朝鮮が挑発していると感じた」と話していました。

70代の女性は「驚きました。何回もミサイルを発射しているでやめてほしい。何の目的でそういうことをしているのか分からず、怖いです」と話していました。

また30代の男性は「朝起きたところでびっくりしました。地震か津波かと思いました。現実味がなく、心配のしようがないのが正直なところです」と話していました。

銀座でも号外

北朝鮮が発射したミサイルが日本の上空を通過したことを受けて東京・銀座では新聞の号外が配られ、受け取った人たちからは危機感や懸念の声が聞かれました。

東京・中央区の数寄屋橋交差点付近では午前9時50分から新聞の号外が配られ、行き交う人たちが次々と受け取りました。

30代の女性は「ミサイルはここ最近は手前で落下していたので、上空を通過したと聞きまさかという思いでした。娘を学校に送る時間だったので子どもに何かあったらと思うととても怖かったです」と話していました。

一緒にいた70代の母親は「人ごとには感じられません。ミサイルが発射される回数も増えてきていると感じるので、こういう事態に対する備えが必要だと感じます」と話していました。

また、太平洋戦争を経験した84歳の男性は「『またか』と思い怒りを感じました。ミサイルが発射されたあと、どこに避難しようかなどさまざまなことを考えました。戦争の怖さを知っているためこうした事態の中でも平和をいかに進めていくかが、問われていると感じています」と話していました。