参議院選挙 注目の数字 各党の勝敗ライン・目標議席は?

125議席を争う 計545人立候補

今回の参議院選挙は、神奈川選挙区の欠員の補充を合わせ、前回・3年前よりも1議席多い125議席をめぐって争われます。

全国45の選挙区には75人の定員に対し、367人が立候補しました。
定員50の比例代表に名簿を提出したのは15の政党と政治団体です。
選挙区と比例代表をあわせた立候補者の数は545人です。

【リンク】各党・政治団体の選挙区と比例代表の立候補者数

各党の現有議席は表の通りです。

「11」1人区で野党候補一本化

今回の参議院選挙では、全国に32ある定員が1人の1人区のうち、野党側の候補者が一本化され与党と対決する構図となる選挙区は11にとどまり、残りの21の選挙区では野党側の候補者が競合しています。

このうち、野党側の候補者が一本化された11選挙区では、
◇青森、岩手、新潟、山梨、熊本、鹿児島の6選挙区が自民党と立憲民主党が対決する構図に、
◇和歌山が、自民党と共産党が争う構図、それに、
◇福島、三重、愛媛、沖縄の4選挙区は、自民党と無所属が対決する構図となっています。

一方、残る21選挙区のうち、
◇香川では、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、共産党の野党4党が、
◇栃木、富山、奈良、長崎の4選挙区では、立憲民主党、日本維新の会、共産党の3党、
◇石川、鳥取島根、佐賀の3選挙区は、立憲民主党と共産党、
◇群馬、滋賀、岡山の3選挙区は、共産党と無所属がそれぞれ競合しています。

「55」与党が参議院全体で過半数

次に「55」です。

これは、与党の自民・公明両党が、参議院全体で過半数の議席を維持するのに必要な議席の数です。

今回の選挙で定員が増え、参議院全体の過半数は125となります。
両党の非改選の議席が70ですので、今回、必要なのは55議席ということになります。
選挙前より、10議席以上減らしても達成できることになりますが、もしこれを割り込むと、与党だけでは、参議院で法案などを可決できなくなります。
政権運営に大きな影響が出ることも想定されますので、与党としては、何としてもこの議席を獲得したい訳です。

「63」改選議席の過半数

今回の選挙は、定員の増加と欠員の補充を合わせ、125議席をめぐって争われているので、その過半数は「63」です。
与党と野党、どちらが多くの議席を獲得したのかその分かれ目の数字となります。

野党第一党の立憲民主党の泉代表は、野党全体で、改選議席の過半数にあたる63議席以上の獲得を目指す考えを示しました。

一方、日本維新の会は、今回の選挙を、野党第一党を目指すための足がかりにしたいとして、比例代表で、立憲民主党を上回る、野党最多の得票を目標とするとしています。

両党の議席の差は、参議院全体で30の差がありますが、この差がどうなるかによって、今後の野党内の主導権争いに影響する可能性もあります。

「82」4党で憲法改正の発議に必要

そして、もう1つ注目すべき数字が「82」です。

憲法改正に前向きな自民・公明両党と日本維新の会、国民民主党の4党で、「82」議席を獲得すれば、衆議院だけでなく、参議院でも、国会で発議するために必要な3分の2の議席を占めることになります。

岸田総理は、この3分の2という数字については「中身が一致できることがポイントだ」としていますが、まずは前向きな勢力が、この議席数に達するかどうかが、議論の先行きを左右することになると思います。

各党の勝敗ライン・目標議席は

自民党は、連立を組む公明党と合わせて参議院全体の過半数の維持に必要な55議席の獲得を勝敗ラインとしたうえで、政権基盤の安定化に向けて上積みを目指す方針です。
定員が1人の「1人区」で接戦が見込まれる選挙区を中心に党幹部らが入り、岸田政権が取り組む物価高騰対策や外交面での実績をアピールするなどして、支持の拡大を図ることにしています。
自民党は、4日、岸田総理大臣や茂木幹事長らが各選挙区の終盤の情勢を分析し、東北や甲信越などの1人区を中心に接戦が続いているとして、幹部が手分けをして重点的に応援に入るなど支持拡大を図ることにしています。

立憲民主党は、野党全体で改選議席の過半数にあたる63議席以上獲得することを目標に掲げ、党としては改選の23議席からの上積みを目指す方針です。
物価高騰対策や安全保障政策などを重点的に訴え、自民・公明両党に加え、野党第2党の日本維新の会との違いも強調するなど党の存在感をアピールし、支持を広げたい考えです。
立憲民主党は、与党を追い上げている選挙区が増えていると分析していて、東北や甲信越などに、幹部が集中的に応援に入り、物価高騰対策を訴え、政府・与党と対じする党の姿勢を強調する方針です。

公明党は、自民党と同じく与党での過半数の維持を目標に掲げるとともに、選挙区に擁立した7人全員の当選と比例代表で7議席の合わせて14議席の獲得を目標としています。
賃上げや出産育児一時金の増額などの政策を訴えて党の支持層を固めるとともに、都市部を中心に支持を広げたいとしています。
公明党は、候補者を擁立した7つの選挙区のうち、接戦と見られる選挙区に山口代表らが入るとともに、党の支持者を中心に支持固めを図り、比例代表の票の上積みも目指すことにしています。

日本維新の会は、改選議席の倍にあたる12議席以上の獲得を目標に掲げ、比例代表では立憲民主党を上回る野党最多の得票を目指しています。
選挙戦では大阪で進めている行財政改革を全国で行うと強調するほか、安全保障政策などを重点的に訴え、保守層への浸透も図りたい考えです。
日本維新の会は、京都と東京を最重点選挙区に位置づけ、幹部が連日応援に入るほか、比例代表で野党最多の得票を目指し、大阪で進めている行財政改革を全国で行うと訴える方針です。

国民民主党は、改選となる7議席以上の獲得を目標としています。
「対決より解決」を掲げ、党の政策を実現するため与野党を超えて政策本位で連携協力していく独自路線の実績を強調し支持を訴える方針です。
国民民主党は、首都圏や東海などの都市部での街頭演説を強化し、与野党を超えた連携によって政策実現を図ってきた実績を強調し、党勢拡大に向けた支持を訴える方針です。

共産党は、改選となる6議席以上の獲得を目標としています。
平和外交の重要性の訴えを前面に打ち出すとともに、選挙区に前回より多くの候補を擁立して支持を掘り起こし比例代表の得票増加にもつなげたい考えです。
共産党は、東京や関西など、支持基盤が厚い地域に幹部が重点的に応援に入り、平和外交の重要性などを訴えて選挙区の議席の維持と比例代表の票の上積みを目指す方針です。

れいわ新選組は、3議席以上の獲得を目標にしています。
比例代表に加え東京など大都市の選挙区でも勝利を目指し、無党派層などへの浸透を図っています。
れいわ新選組は、東京を最重点に、街頭で演説や有権者との対話を重ね、比例代表に加え、選挙区でも議席を獲得したい考えです。

社民党は、政党要件の維持に向け比例代表での得票率2%を確実に獲得したい考えで、党の存在意義を強く訴えることにしています。
社民党は、平和と護憲を掲げる党の必要性をさらに強調していく方針です。

NHK党は、比例代表での議席の獲得を目指し、選挙区では政党で最多の73人の公認候補を擁立して、支持拡大を図っています。
NHK党は、東京での街頭演説やSNSの発信を続けることにしています。

「48.80」前回は戦後2番目の低投票率

そして「48.80」という数字も気になります。

前回・3年前の参議院選挙の投票率です。
50%を下回り、全国規模の国政選挙としては、1995年の44.52%に次いで、戦後2番目に低くなりました。
投票率の行方は、選挙結果に影響を与えることも予想されるため、焦点の1つになります。