アフガンから自衛隊機撤収へ
駐留米軍も撤退完了

アフガニスタンに駐留するアメリカ軍が、31日、撤退期限を迎えることから、政府は、日本人などの国外退避のため派遣した自衛隊機を近く、撤収させる方針です。引き続き外務省職員などが周辺国にとどまり、退避を希望する人たちの支援にあたることにしています。

アフガニスタン情勢の悪化を受けて、政府は先週、日本人女性1人と、アフガニスタン人14人を自衛隊の輸送機で隣国パキスタンの首都イスラマバードに退避させ、これに伴い、派遣していた外務省職員や自衛隊員もイスラマバードに移動しました。

政府は、状況の変化に対応するためとして、自衛隊機をイスラマバードで待機させていましたが、アフガニスタンに駐留するアメリカ軍が、31日、撤退期限を迎えることから、自衛隊機を近く、日本に撤収させる方針です。

ただアフガニスタン国内では、大使館や国際機関で働くアフガニスタン人のスタッフなど500人以上が退避を希望していて、茂木外務大臣は昨夜オンライン形式で開かれた閣僚級会合で、各国に対し、出国を希望する人の安全な退避に向けた緊密な連携を呼びかけました。

政府は、引き続き外務省職員などの要員を周辺国にとどめ、カタールなどタリバンとのパイプを持つ国にも協力を求めながら、退避を希望する人たちの支援にあたることにしています。

米軍撤退完了 「最も長い戦争」に終止符

アメリカのバイデン大統領は声明を発表し、アフガニスタンからのアメリカ軍の撤退が完了したと発表しました。これによって2001年のアメリカ同時多発テロ事件を受けて始まった「アメリカ史上、最も長い戦争」とも言われるアフガニスタンでの軍事作戦に終止符が打たれることになりました。

アメリカのバイデン大統領は30日、声明を発表し、「アフガニスタンでの20年におよんだアメリカ軍の駐留は終わった」として軍の撤退が完了したことを明らかにし、「アメリカ史上、最も長い戦争」とも言われる軍事作戦の終了を宣言しました。

そのうえで、今も現地に残っているアメリカ人や地元の協力者の退避について今後、外交を通じた支援を続けていく考えを示しました。

この声明の発表に先立ち、アフガニスタンを管轄するアメリカ中央軍のマッケンジー司令官は、緊急の会見を開き、アメリカ東部時間の午後3時29分にアフガニスタンの首都カブールの国際空港から最後の軍用機が離陸したと発表しました。

ただ、アフガニスタンではアメリカ軍の撤退完了を前に武装勢力タリバンが再び権力を掌握し、現地では女性の権利や市民生活の安全が守られるかなど将来を不安視する声が出ています。

また、先週には過激派組織IS=イスラミックステートの地域組織によるとみられる自爆テロで多くの死傷者が出るなど治安が不安定化していて、アフガニスタンが再びテロの温床にならないか懸念が広がっています。

茂木外相「安全な退避に向け緊密な連携を」

G7=主要7か国や、カタールなどの周辺国による閣僚級会合がオンライン形式で開かれ、茂木外務大臣は、アフガニスタンからの出国を希望する人の安全な退避に向けた緊密な連携を呼びかけました。

会合は30日夜9時から1時間余り開かれ、日本から茂木外務大臣が参加したほか、アメリカやイギリスなどG7各国や、カタールやトルコなど周辺国の外相らが参加し、アフガニスタン情勢をめぐって意見を交わしました。

はじめにアメリカのブリンケン国務長官がアメリカ軍の撤退期限が31日となっていることを踏まえ、アフガニスタンをめぐる自国の立場について説明を行いました。

そして会合では今後の見通しや対応をめぐって意見が交わされ、茂木大臣は、アフガニスタンからの出国を希望する人の退避が最優先の課題であり、安全な退避に向けて引き続き各国で緊密に連携するよう呼びかけました。

また茂木大臣は、難民や国内避難民に対応する上で支援を行う人たちの安全を確保することが不可欠だと指摘したほか、タリバンに対し、テロ組織との関係を断つよう求めていくことが重要だという認識を示しました。

タリバン報道担当幹部「完全に自由になり独立した」

武装勢力タリバンの報道担当の幹部ムジャヒド氏は最後のアメリカ軍の部隊が現地時間の午前0時、日本時間の午前4時半にカブールの空港を離れたとして「わが国は完全に自由になり独立した」とツイッターに投稿しました。

カブールに住む男性「多くの航空機が飛行している音」

アフガニスタンの首都カブールに住む男性は「午前0時すぎにこれまでに聞いたことのないくらいの大きな音を耳にした。暗くてよく見えなかったが、上空で多くの航空機が飛行している音が聞こえた。アメリカ軍の軍用機が空港を離陸して撤退したのではないかと感じた」と話していました。