“全国対象の宣言”も検討
西村経済再生相

まん延防止等重点措置の適用地域に8県を追加する方針について、西村経済再生担当大臣は、全国に緊急事態宣言を出すことも検討したものの、感染が抑えられている県から反対意見が出ていることも踏まえて判断したと説明しました。

まん延防止等重点措置の適用地域に、福島、茨城、栃木、群馬、静岡、愛知、滋賀、熊本の8県が追加されるのを前に、国会では、西村経済再生担当大臣が事前の報告を行い、各党による質疑が行われました。

この中で、西村大臣は、今回の方針について「全国を緊急事態宣言の対象とすることも、頭に置いて検討を進めてきたが、私権の制約を伴うものであり、感染を抑えている県からは反対意見が出ているとも聞いている。そうしたなかで、専門家の皆さんの了解もいただいた」と述べました。

一方、重症患者などを除き自宅療養を基本とする政府の方針をめぐり、野党側が「基本的対処方針」では「軽症者は宿泊療養を基本とする」という文言が変更されていないこととの整合性をただしたのに対し、西村大臣は「全国一律ではなく、最終的には自治体の判断というところが残るので、今回、基本的対処方針は変えなかった」と説明しました。

広島県を重点措置に含めずも危機感共有

参議院議院運営委員会で、西村経済再生担当大臣は、広島県を重点措置の適用地域に含めなかったことについて「広島県から要請があったが、新規陽性者数はステージ2相当から3相当になったところで、医療提供体制の指標もステージ2相当だ。引き続き、県と連携して感染状況の分析を進め、必要となれば機動的に対応していく」と述べました。

そして、西村大臣は広島県の湯崎知事と4日電話で意見交換を行ったことを明らかにしたうえで「湯崎知事は極めて強い危機感を持っていた。危機感は共有しており、病床の確保を含めて、知事の取り組みを国としてもサポートしていきたい」と述べました。

福岡県 緊急事態宣言の発出を要請

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、福岡県は5日、政府に緊急事態宣言を出すよう要請しました。

福岡県には8月2日から、まん延防止等重点措置が適用されていますが、感染拡大が続き、4日に発表された新規感染者は初めて700人を超え、過去最多の752人となりました。

また、病床の使用率も4日の時点で33.6%に上がり、県は8月9日には50%以上になると予測しています。

福岡県の服部知事は、臨時の記者会見を開き「想定を超える、これまで経験したことのない感染の急拡大が起きている。病床も加速度的に埋まっていくおそれがあり、先手を打つ必要がある」と述べました。

そして、5日、政府に対し、福岡県に緊急事態宣言を出すよう要請したことを明らかにし「政府も危機感を共有しており、検討してもらえるものと思っている」と述べました。

宣言が出るまでの間は、福岡市などの飲食店に酒の提供停止などを要請している現在の措置を継続し、政府の対応を見極めて、重点措置の対象地域の拡大も検討するということです。

また、服部知事は、現在出している県独自の「コロナ警報」を5日に「特別警報」に引き上げて、県立の図書館や美術館など県の施設を6日から順次、閉鎖することを発表しました。

そして、感染拡大を抑えるため不要不急の外出や、県境をまたぐ移動の自粛など、対策の徹底を呼びかけました。