“自宅療養基本”政府方針
知事ら「従わない」「不明確」

東京都 入院基準の見直し検討

新型コロナウイルスの医療提供体制をめぐり、重症患者などを除いて自宅療養を基本とするとした政府の方針を受けて、東京都は「中等症以上」などとしている入院の判断基準を、より厳しくすることなども視野に見直しを検討していて、専門家の意見も踏まえて具体的に決めていくことにしています。

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政府は、入院は重症患者や重症化リスクの高い人に重点化する一方、それ以外は自宅療養を基本とし、健康観察を強化するなどとした方針をまとめ、都道府県に通知しました。

これを受けて、都は、感染した人を入院させるかどうか判断するための基準を見直す考えです。

現在の基準は「発熱や呼吸苦などの症状が中等症以上」は入院させることになっています。

具体例として、38度以上の発熱や血液中の酸素飽和度が96%未満といった症状や所見があるケースは入院としています。

都は、この入院の基準について、血液中の酸素飽和度の目安を下げて、より厳しくする案なども視野に検討していて、都の専門家から意見も踏まえて具体的に決めていくことにしています。

無料提供の食料品 在庫底つく事態も 自宅療養者急増で

新型コロナウイルスに感染して自宅で療養する人が急増する中、都が療養者に提供している食料品の在庫が底をつく事態も起きています。新たな在庫を用意して提供するまでに最大2日遅れるケースも出ていて、都は在庫の追加を急いでいます。

都は、自宅で療養する人が外出せずに療養できるよう、無料で水やレトルト食品などの1週間分の食料品を希望する人の自宅に届けています。

しかし、都内では、感染の急拡大に伴って自宅で療養している人がこの1か月で13倍近くに急増していて、3日時点で1万4019人に上っています。

食料品を希望する人も増えていて、都によりますと、ことし6月は1日の発送が100件前後でしたが、先月から増え始め、今月に入るとおよそ1200件に急増しているということです。

在庫は日々追加しているものの、必要な分に追いつかず底をつく事態が生じていて、希望するすべての自宅療養者に発送できない事態も起きているということです。

新たな在庫が用意できるまで発送が最大2日遅れるケースも出ているということで、都は「自宅療養者が予想以上に増えて対応が追いつかなくなっている。在庫の追加を急いでいる」と話しています。

大阪 吉村知事「不明確で判断しようがない」

大阪府の吉村知事は、国から方針に関する通知が届いたことを明らかにしたうえで「『重症化のリスクが高い』ということが何を指すのか明確になっておらず、自治体や保健所には判断しようがないのが現状だ」と述べ、国は重症化リスクの内容を明確にすべきだという考えを示しました。

そのうえで「大阪では、健康管理がしやすい宿泊療養に誘導して重症化を防ぐことを進めているし、これまでどおりの基準で入院もしてもらう」と述べ、現時点では引き続き、入院や宿泊療養を基本としていく考えを重ねて示しました。

愛知 大村知事「医療体制は現状を維持」

重症患者などを除き、自宅療養を基本とするとした政府の方針を受け、愛知県の大村知事は記者会見で県内の対応について「重症・中等症の人は入院してもらい、軽症の人でも重症化のリスクがあったり高齢者である場合は医師の判断で入院してもらっている。また、自宅での療養でも保健所と医師会などですぐに対応できるようにしている。入院患者の数も増えてきてはいるが、当面は対応できると思うので、この体制でやっていきたい」と述べました。

奈良 荒井知事 「従わない、全員入院の方針」

奈良県の荒井知事は記者会見で「奈良県は従わない。重症化を予防し感染者を隔離する観点からも、感染者全員を入院・入所させる方針を堅持したい」と述べました。

奈良県は感染が急拡大しているため、通常の医療用に戻していた県が運営に関わる病院の新型コロナ専用病床合わせて71床について、再びコロナ専用病床に切り替えるということです。

荒井知事は「第4波では、感染者の急増に間に合わなかった経緯があるので、今後の感染拡大に備えて病床数を元に戻したい」と説明しました。

兵庫 斎藤知事 「これまでどおり 入院や宿泊療養」

兵庫県の斎藤知事は4日、記者団に対し「自宅療養で体調が急変した場合に対応できないケースが考えられる。県民が安心できる体制でやっていきたい」と述べて、これまでどおり、家族の介護や子育てなど特別な事情がある場合を除いて、軽症や中等症の患者には入院や宿泊療養を基本として対応する方針を示しました。

また、斎藤知事は、宿泊療養について、神戸市内に利用できるホテルを1か所増やし、県内で合わせて9か所のホテルで1350人を受け入れられるようにすることを明らかにしました。

山形 吉村知事「これまでどおり入院での療養基本」

山形県の吉村知事は記者会見で「山形では、まん延防止の観点から、無症状を含むすべての患者について入院を基本とし、病床の占有状況や症状などを勘案しながら宿泊や自宅療養も加えて対応している」と述べ、これまでどおり入院での療養を基本とする考えを示しました。

そのうえで今後について「今回の政府の方針は、患者が急増している地域が対象ということだ。県民の安全安心が何より大事なので、山形県では入院を基本としながら、感染状況や病床のひっ迫状況などを踏まえ検討したい」と述べました。

広島 湯崎知事「従来どおりの対応」

広島県の湯崎知事は記者団に対し「本当に特別な対応だと理解をしている。本県では早めの対策をうって、感染のピークをできるだけ低くしたいと考えているし、現状においては従来のとおり、軽症の方は原則ホテルで療養、中等症の方は入院をしていただくということで進めたい」と述べました。

神奈川 重症患者が急増 病床の最大限確保を

新型コロナウイルスの感染が急激に拡大していることから、神奈川県は県内26の病院に対し、重症患者を受け入れる病床を最大限まで増やすよう、要請しました。

神奈川県内の重症患者数は2週間前の先月21日には45人でしたが、3日は101人と、2倍以上に増加し、重症病床の使用率も50.75%と、最も深刻なステージ4の基準を超えています。

こうした状況を受けて、神奈川県は新型コロナの重症患者を受け入れている県内26の病院に対し、3日の時点で165床だった重症者用の病床を、最大限確保できる199床まで、3週間以内に増やすよう、事前の協定に基づいて要請しました。

神奈川県は先週、軽症や中等症の患者を受け入れる病床についても、最大限まで増やすよう要請を行っています。

県医療危機対策統括官の阿南英明医師は「これまでに考えられないような勢いで患者が増え続けていて、20代や30代でも重症化する人が出てきている。このまま患者が増え続ければ、病床を最大限まで増やしても今月中旬には病床が不足する可能性があり、通常の医療体制が崩れる状況にまできている。デルタ株の感染力は尋常ではないので、社会全体で危機的な状況を共有してほしい」と話していました。

京都府 一時的な専用施設設置へ

京都府は新型コロナウイルスの感染拡大で、患者を受け入れる病院がすぐには見つからなくなる場合に備えて、一時的に酸素の投与など必要な処置に当たる専用の施設を新たに設けることになりました。

これは京都府の西脇知事が4日の記者会見で明らかにしたもので、京都市北区にある府立体育館に、一時的に酸素の投与や投薬など必要な処置に当たる専用の施設を新たに設けます。

府内では3日の時点で「病床のひっ迫具合」のうちの全体の使用率が55.4%と、最も深刻な「ステージ4」に達していて、今後の感染拡大で、患者を受け入れる病院がすぐには見つからなくなるおそれも出ています。

新たな施設は今月下旬にも8床で運用を開始して、30床程度にまで増やす計画で、医者や看護師が24時間常駐して対応するということです。

日本医師会 中川会長“現場医師の判断で入院対象”

重症患者などを除き、自宅療養を基本とするとした政府の方針をめぐり、日本医師会の中川会長は記者会見で、現場の医師が重症化リスクが高いと判断すれば、入院の対象とすべきだという考えを示しました。

この中で、日本医師会の中川会長は、政府の方針をめぐり「全国の医療現場からは『中等症の人が入院できないと、急変の兆しの発見が遅れ、重篤化するケースが増えるのではないか』など、懸念の声が多数寄せられている」と述べました。

そのうえで「往診やオンライン診療は通常の診療よりも時間がかかり、自宅療養への急激なシフトは医療現場に大きな負担をもたらす。現場の医師が重症化のリスクが高いと判断すれば適時適切に入院できるよう、政府にも対応してほしい」と述べました。

また、中川会長は「患者が増え続けると、十分な病床と医療従事者を確保できない。感染拡大を極力抑え込む対策が最優先でなされるよう強力に求めたい」と述べました。