衆議院で代表質問始まる
新型コロナ対策めぐり論戦

国会では20日から衆議院で、菅総理大臣の施政方針演説に対する代表質問が始まりました。新型コロナウイルス対策について、立憲民主党の枝野代表が判断の遅れが感染拡大を招いたと追及したのに対し、菅総理大臣は対応が遅れたとは考えていないと反論し、国民の生命と暮らしを守るために必要な対策を講じていくと強調しました。

立憲民主党の枝野代表は、新型コロナウイルスの感染拡大について「多くの声を無視して必要な対策を先送りしてきた結果が『感染爆発』と呼ばざるをえない現状だ。判断の遅れを認め、反省から始めるべきだ」とただしました。

これに対し菅総理大臣は「根拠なき楽観論に立ち、それによって対応が遅れてきたとは考えていない。引き続き、国民の生命と暮らしを守り、感染拡大をおさえつつ雇用や事業を維持するという考えに基づいて必要な対策を講じていく」と述べました。

そして、緊急事態宣言の解除について「まずは緊急事態宣言のレベルである、ステージ4を早急に脱却し、ステージ3の水準を目指したうえで、さらなる感染者数の減少を目指していく」と述べました。

また、枝野氏は感染症法の改正をめぐり「強制力をもって迫る前に、国民が協力できるよう感染者の生活支援体制の充実など、政府としての責任を果たすべきだ。懲役刑まで設けようというのは到底、容認できない」とただしました。

これに対し菅総理大臣は「個人の権利に十分配慮しつつ感染拡大防止を図るために、入院措置を拒否した場合には罰則の規定を設けるなどの改正を行うものであり、与野党の意見も伺いながら速やかに法案を国会に提出していく」と述べました。

自民党の二階幹事長は、新型コロナウイルスのワクチンの接種について「安全性や有効性を最優先に迅速な審査を行い、承認後は速やかに接種できるよう体制整備など、接種に向けた準備を最大限で急ぐべきだ」と質問しました。

これに対し菅総理大臣は「できるかぎり2月下旬までに接種を開始できるよう準備しており、さらに、1日も早く開始できるよう、あらゆる努力を尽くしている。河野規制改革担当大臣に、全体の調整と国民へのわかりやすい情報発信を指示しており、政府を挙げて全力で取り組んでいく」と述べました。

また二階氏は「菅総理大臣は『国民のために働く』と、就任当初から言ってきた。地方に住む人々の心を十分に理解している政治家の代表だ」と述べ、政治哲学を問いました。

菅総理大臣は「政治家を志して以来、国民目線で政策を進めてきた。新型コロナウイルスの影響が長期にわたる中、国民の暮らしと雇用を守っていくことは、政治の責務だ。1日も早く感染を収束させ、安心して暮らせる日常を取り戻すべく、全力を尽くしていく」と述べました。

さらに二階氏は、憲法改正をめぐり「先月、自民党と立憲民主党が、国民投票法の改正案について、この国会で『何らかの結論』を得ることで合意した。しっかり結果を出すとともに憲法改正に向けて活発な議論を期待している」と述べ、見解を問いました。

これに対し菅総理大臣は「憲法は国の礎で、あるべき姿を最終的に決めるのは主権者である国民だ。憲法審査会において、与野党の枠を超えて建設的な議論を重ね、国民の理解を深めていくことは国会議員の責任ではないか。国民投票法改正案についても合意の実現に強く期待している」と述べました。

立憲民主党の逢坂誠二氏は、変異した新型コロナウイルスの市中感染とみられる事例が見つかったことについて「経路不明の変異種の感染は、ビジネス往来にこだわり続けた菅総理大臣による、人災ではないか」とただしました。

これに対して菅総理大臣は「変異株の確認された国や地域からの水際対策を速やかに強化してきた。国内外の感染状況を見極めつつ、必要な水際対策を着実に講じていて、人災との指摘はあたらない」と述べました。

このほか来月末に期限を迎える雇用調整助成金の特例措置について、菅総理大臣は「雇用と暮らしを守ることは政治の責務だ。3月以降の取り扱いについては、雇用情勢などを踏まえ適切に判断し、今月末までには示せるようにする」と述べました。

また、東京オリンピック・パラリンピックについて、菅総理大臣は「まずは新型コロナウイルスの克服に全力を尽くす。安全、安心な大会を実現するため、IOC=国際オリンピック委員会などとも相談しながら、感染対策の具体的内容を検討しており、緊密に連携しながら準備を進めていく」と述べました。

自民 二階氏「答弁だけでなく実行に期待」

自民党の二階幹事長は、記者団に対し「国民が1番心配しているのは新型コロナウイルスのことであり、われわれと菅総理大臣の考え方が一致しているのは力強いことだ。菅総理大臣は、これから先は答弁だけではなく、それを実行することを期待する」と述べました。

立民 枝野氏「1つとして前向きなものなく残念」

立憲民主党の枝野代表は、記者団に対し「菅総理大臣の答弁には、1つとして前向きなものはなかった。専門家や自治体に責任も判断も丸投げしているような答弁の繰り返しで、当事者意識が感じられず残念だ。また、この間の経緯について、国民に反省やおわびを自然体でできるチャンスを作って差し上げたつもりだったが、全くそういう答えがなく甚だ残念だ」と述べました。