自民党幹事長 二階俊博
単独インタビューで語る

自民党の二階俊博幹事長は、「クローズアップ現代+」(1月19日放送)の単独インタビューに応じました。インタビューでの発言の概要です。
(聞き手・武田真一キャスター)

新型コロナ 1か月で抑え込めるのか

武田 新型コロナウイルス感染症の感染者数は、年末年始に急増して、今も高い水準が続いています。緊急事態宣言下の1か月で、これを抑え込むことはできますか。

二階 医療関係の皆さんが不眠不休で、ある意味ではみずからも、いつかかるかわからないという状況でも、もっと言えば命懸けで対応してくださっている。私は心から敬意を表したいと思います。医療関係の皆さんを先頭にして、われわれみんなが気をつけて、取りかからなければいけない課題です。国民みんながコロナというかつて経験したことがない難題の挑戦を受けているわけですから、しっかり闘い抜いて勝ち抜かなければいけないと思っています。

武田 1か月で収まるかどうかということに対して国民の皆さんは大きな不安を感じていらっしゃると思いますが、そこはやり抜くしかない?

二階 もちろんそうです。短く収められれば、短く抑えるほどいいですし、全力を挙げてやるべきです。日本の医療関係の技術はもちろんでありますがシステム全体の是非が問われているような問題ですから医療関係の皆さんとともに、自民党はしっかりとバックアップしていきたいと思います。

世論調査の結果をどう見るか

武田 NHKの世論調査(1月)では、政府の新型コロナウイルス感染症対策を評価すると答えた方が38%、評価しないと答えた方が58%です。政府の対策は十分なのか、さらに手を打つことがあるとすれば、何が必要でしょうか。

二階 みんな、やり場のないイライラですよ。だからそういうことを言うんです。それじゃ、他の政党が何ができますか。他の政治家が、何ができますか。今、全力を尽くしてやっているんじゃないですか。いちいちそんな、ケチをつけるものじゃないですよ。私は医療関係の皆さんはじめ、問題に携わっている多くの皆さんのこんにちまでの不眠不休の努力にむしろ敬意を表したいと思います。

武田 今まさに国民の協力や理解が一番求められていると思いますがNHKの最新の世論調査では菅内閣発足以降、初めて支持と、不支持が逆転するということになっています。国民の政権に対する評価を二階さんは、どう受け止めますか。

二階 これはみんな、やり場がないんです、今の状況を。どこへぶつけていきますか。野党の某政党に責任は、おまえの政党にあるよと言ってみたってしょうがないじゃないですか。こういうときは政権与党なんです、みんな。しっかりやってくれと。それは与党としての責任は、当然のことなんですね。こんなときに役に立たなきゃ、しょうがないじゃないですか。しっかりやりますよ。

武田 政権与党に対するある種の期待の裏返しだと。

二階 それは当然です。与党になっておれば、いいときばかりではないのです。いかなるときも与党は与党としての責務を果たさなければいけない、それが与党の責任です。思いついて調子のいい、国民が喜びそうな時ばかり攻撃をしたらいいという、そういうやり方では駄目ですね。全体の責任を背負っているわけですから。しかも、国民の皆さんの安全、よく政治は生命財産というけど、まさに生命を背負っているわけでしょう、この問題は。しっかりやらなければいけないと思います。

GoTo停止などタイミングは適切か

武田 人々の行動を抑制して感染を抑えるということ、一方で経済を回して人々の暮らしや仕事を守るということがありますが、このバランスをとることが非常に難しいと思いますが、二階さんの基本的なスタンスは、どういうふうにバランスをとっていけばいいとお考えですか。

二階 それは大変難しい課題ですよ。難しいから、こんにち、こういう状況になっている。だけどね、これは命を、生命財産、命を守るのは一番大事なことですから、このことに、まず全力を注いでいくべきであるが、経済もしっかりやっていかなければ、これはみんなが生活に困窮するようなことがあったのでは、よけい、健康にも害するわけです。そういうことのないように政治はしっかりやっていこうと思っておりますし、自民党は、その期待、今こそ、力、底力、今までの経験を積み重ねを今、国民の皆さんにお示しすべきときだと思っています。

武田 感染を抑え込むことと経済と、そのバランスとタイミングだと思いますが、これまでの対応について伺います。「「Go Toトラベル」は、国民のあいだでさまざまな意見があるなかで事業が続き、感染が広がったところで中断しました。さらには、勝負の3週間で十分に感染が抑えられないまま、緊急事態宣言を出すことになりました。この間の対応の一貫性や、政策を打つタイミング、国民への説明のしかたは、適切でしたか。

二階 あとからなら、誰でもなんでも言えるわけです。こういう事態になったから、誰彼と言っている暇はないんだ。みんなでこの事態を乗り越えていく、国民の英知ですよ。日本人の清潔感、医療施設、医療環境、これもみんな本当にかかりつけのお医者さんが、ご近所に、みんな、いてくださるんですよ。こんな国は世界中にないんです。それからすると、そうした皆さんの日ごろのご努力、看護師さん等の皆さんのサポート、こういうことに、今あらためていろんなことを言う前に感謝をしなければ駄目ですね。われわれは、心から皆さんに対する感謝、処遇の改善等についてこの際、あらためて考えてみたいと思っています。

政治とカネの問題も 厳しい目をどう受け止める

武田 国民は感染拡大への不安、経済の暮らしへの影響、今大きな苦難に直面していると思います。政治が、それに果たして、十分に応えられているかどうか、ここはどう受け止めていますか。

二階 政治は、そうしたことに対して十分応えていくというのは政治のいの一番の責任です。十分こんにちも、応えていますが、今後も応えていきます。

武田 国民の政治に対する信頼が、欠かせないんだと思います。例えばですが安倍前総理大臣の桜を見る会前日夜の懇親会問題、吉川元農林水産大臣が業者から現金を受け取っていた疑いが持たれていること、こうした政治とカネをめぐって、国民から政権に対して非常に厳しい目も注がれています。そういったなかで、政策を動かしていかなければいけない、国民にさまざまなお願いをしていかなければいけない。その国民の厳しい目は、どう受け止めていますか。

二階 コロナの話と、今おっしゃったような、並べたような話とは全然関係がないじゃないですか。ですから、政治のほうで足らざる点、反省すべき点があったら謙虚に反省を続けながら政治を進めていくのは民主政治の一番の根幹ですね。それはそれで続けていきますが、あわせて自由民主党が国民の皆さんの期待を背負って、この難関を突破していくということ、自信を持って取り組んでいきたいと思っています。

解散総選挙のタイミングは

武田 今年は衆議院選挙の年です。菅総理大臣は、まずはコロナ対策だと言いますが、二階幹事長ご自身は、いつが解散総選挙のタイミングとして望ましいとお感じですか。

二階 総理は国際社会の問題もあれば、いろんな課題を抱えていますから、軽々にお話しするわけにいかないし、総理が言った瞬間に解散になりますから、そういうわけにいかないですが、われわれはいつ、総理が決断したとき、いつ解散と言われてもいいように準備をしておく。よく選挙で、立ち遅れと言うでしょう。立ち遅れなんていうのは、あるわけないんです。政治の戦場に身を置いている者は毎日戦場に立っているわけです。それが立ち遅れているわけではないんです。寝ている人は別ですよ。現役のみんな、頑張っている、明日を目指している。新しく国政に参加しようとする人、われわれはみずから国政に参加しようと思ったときは1期前、2期前から、もういつでも準備するという、ランナーでいえば、いつバトンが来てもいいように心の準備は、もうしてあるわけです。ですからみんな、これからの国政を背負っていこうという希望に燃えている人たち、コロナといえどもしっかり踏ん張っていく。国は、こういう状況になったとき、今が踏ん張りどきです。

武田 今、コロナで内閣の支持率も落ち込んでいる状態です。こういう状況にあっても、準備は十分にできていると。

二階 こういう状況ですから、みんなが、もって行き場のない焦り、イライラ、いろんなことを、野党へ持っていってもしょうがないですよ。だから与党、自民党に言ってくるわけですから支持率の面で若干の陰りがあっても仕方がない。しかし、今、国政を担っていけるのは自民党以外にないということは、自民党を応援しない人だって、そう言っているじゃないですか。ですから、しっかりやりますからね。

武田 多少、支持率が下がっていても、選挙には勝てる。

二階 もちろんですよ。支持率というのは、なるほど、偉いんですよ。しかし選挙は個人個人が、それぞれの決められた選挙区での支持があるじゃないですか。そんなのは、支持率に関係ないとは言いませんが、もっと深く、支援者、仲間の人たち、みんな日ごろから見ているわけです。そこで決まるんです。

われわれも選挙になったら、もう本当に、まさに夜も寝ないでという勢いで頑張ります。しかし、国民の皆さんは、じっと日ごろから見ているわけです。選挙がスタートした日から誰に投票しようかというのは、ほぼ心のなかにあるわけです。そこに訴えていけるように、日ごろからやっておかなければ駄目ですね。選挙はだから日ごろだと思います。

武田 国民の立場からすると、いつ、自分の1票を投じるタイミングが来るのかという関心は高いと思います。例えば4月に補欠選挙がありますが、そのタイミングで解散総選挙は、ありますか。

二階 それは総理がどうお考えになるかによってですけど、私はそういう解散とか選挙は、どうだこうだと、軽々にもてあそぶものではなくて、そのときが、その解散をする、国民によく信を問うと言うでしょう。国民の皆さんに信を問わなければいけない課題、テーマがあるかどうかということですよね。そのとき、断固、解散すればいいんですけど、解散、解散と、そのことを日ごろからあまり大騒ぎするものじゃないですね。

自民党総裁選への対応は

武田 今年の秋には菅総理大臣の自民党総裁としての任期も訪れます。二階さんは総裁選挙への対応について今の時点で何かお考えはありますか。

二階 こんにちまでずっとやってこられて、なお、次回、次期に対して、いかなる政策を国民の皆さんに提示して、おやりになっていくか、それは総理の決断です。私はしっかり支持したいと思います。

武田 しっかり支持される。

二階 もちろんです。

武田 しっかり支持されるということですが、仮に、菅総裁続投の条件のようなものがあるとすれば、それはなんでしょうか。

二階 条件じゃないです。総理が思うとおり、自信をもって、しっかりやってくださいと、それを党はしっかり支えましょう、誰が総理をやったって難しいんですよ。それを横から、手取り足取り、あるいは手の上げ下げに、ひと言ひと言文句をつけていったのではしょうがないです。われわれは、総理を確信を持って推薦し、総理に押し上げたわけですから、この責任はわれわれにもあるわけです。われわれは菅総理を信頼している。しっかり支援していきますから、立派な総理をという、歴史に語られるような総理になっていただけるようにわれわれがしっかり頑張ります。

菅首相に今求めることは

武田 まさに今おっしゃったように、二階さんが支持をして、後押しをして、総理大臣に就任されたわけですね、菅さんが。そういうお立場で今、責任、総理にした責任もあるとおっしゃいましたが、今総理に求めることは、どういうことですか。

二階 友人として、あるいは党の幹事長として選挙はわれわれはしっかりやりますから総理は国民の皆さんの前に、堂々と政策を発表して、しっかりおやりくださいと、こういうことですね。

武田 この1年間、いろんな現場の声、たくさんの声を聞いてきました。コロナ禍で仕事を失った方やシングルマザーとか、本当に明日の暮らしがどうなるかという方も、私たちの取材のなかでは、いらっしゃいました。そういうところに寄り添うような政治というのが求められているかと思いますが、二階さんは、そこはどうお考えですか。

二階 それはそうですよ。そういう方がおられれば、ただちにそういうところへ寄り添って対応していく。われわれはそれぞれ党の支部がありますから、党の支部を通じてきめ細かく対応していく。東京だけで言っただけで、隅々までうまく通じないでしょう。だけどわれわれは体に血液、循環しているように、ずっと北海道から九州まで党の支部組織がありますから、そういうところを通じて、いろんなご意見を吸収してただちに対応していくことをしっかりやっていく。今までも、そう励んできましたが、これからも、こういうときだからこそ、よけい、頑張らなければいけないと思っています。

(1月13日取材)