安倍氏不起訴 公設秘書
略式起訴で政界などの動き

「桜を見る会」をめぐって、安倍前総理大臣の公設第1秘書が政治資金規正法違反の罪で略式起訴、安倍氏本人については嫌疑不十分で不起訴になったことについて、政界などの反応や動きです。

安倍前首相 説明したいと書面で申し入れ

安倍前総理大臣は、24日午前、衆参両院の議長に対し、みずからの過去の答弁について説明したいと、書面で申し入れました。

これを受けて、大島衆議院議長は、高木・議院運営委員長に対し、与野党で調整するよう伝えました。

安倍前首相の地元事務所「コメントできない」

山口県下関市にある安倍前総理大臣の地元事務所ではふだんは、略式起訴された配川博之秘書が勤務していますが、24日は姿を見せていません。

事務所では、ほかの秘書やスタッフなど合わせて3人が、ふだんと変わらない様子で作業をしています。

このうち、地元事務所に勤務する私設秘書は、配川秘書が略式起訴され、安倍氏本人が不起訴になったことについて、「コメントできません」と話しています。

地元では説明求める声

安倍前総理大臣の地元、山口県下関市では市民から不満や、説明を求める声が聞かれました。

下関市の71歳の女性は「安倍さんが不起訴になったことは納得できない。がっかりしたし、幻滅した。秘書に責任を押しつけているのではないか。安倍さんは国会で真実を説明するべきだ」と話していました。

また、大阪から下関市に帰省しているという50歳の会社員の男性は「不起訴は妥当だと思う。うそをついているのではなく実際に把握していなかったのではないか。ただ、結果として国会で虚偽答弁したことは真摯(しんし)に反省して謝罪し、説明責任を果たすことが必要だと思う」と話していました。

菅首相「安倍氏から説明あると思う」

菅総理大臣は、東京都内で行った講演での質疑応答で「内容については承知していない。いずれにしろ、安倍前総理大臣は、国民の皆さんに積極的に説明したいと言っているので、まずは、安倍氏から説明があると思う。私自身の説明は、必要な機会にしっかり対応したい」と述べました。

自民 二階氏「党運営に十分配慮を」

自民党の二階幹事長は、記者団に対し「司法の結論に対して、とやかく論評を申し上げる筋合いのことではない。党の運営において、十分配慮しながら、国民の信頼に応えるようにしっかり頑張っていかなければならない」と述べました。

加藤官房長官「前首相自身が必要な説明するのでは」

加藤官房長官は、午前の記者会見で「詳細については承知していないので、コメントを差し控えたい。これまでも安倍前総理大臣は、誠実に対応すると言っていたので、これを踏まえて、ご自身が必要な説明をされていくのではないか」と述べました。

一方、記者団が、国会での説明の在り方を質問したのに対し「国会運営は、まさに国会で決めることなので政府として、コメントは差し控えさせていただいている。政府に対し、何か要請があれば誠実に対応していきたい」と述べました。

自民 幹部「党への信頼 揺らぎかねず」

自民党の幹部は、NHKの取材に対し「総理大臣を務めていた安倍氏が政治資金収支報告書の内容まで把握していたとは思えず、安倍氏本人は知らなかったのだろう。ただ、事務所の監督の点では責任があり、国会や記者会見などで国民に対し丁寧に説明してもらいたい。自民党への信頼が揺らぎかねず、次の衆議院選挙への影響を甘く見てはならない。新型コロナウイルス対策を通じて、政府や自民党の信頼を回復するしかない」と述べました。

自民 森山氏「結果として発言違っていたのは遺憾」

自民党の森山国会対策委員長は、「安倍前総理大臣が偽りの発言をしたということではなく、結果としてそうなってしまったということではないかと思うが、結果として発言が違っていたのは遺憾なことだ。そういうことがあって安倍氏みずからが説明の場を設けてほしいという申し出をしたのだろう」と述べました。

また、菅政権への影響については、「ずっと議論がなされてきたことに1つの結論が出たということだ。それ以上でもそれ以下でもない」と述べました。

自民 世耕氏「秘書の監督責任 しっかり説明を」

自民党の世耕参議院幹事長は、記者団に対し「安倍事務所の公設秘書が略式起訴されたことは大変遺憾だ。一方で、安倍前総理大臣は不起訴ということなので、一連の事案には関与がなかったという判断が明確に示された」と述べました。

そのうえで「事務所や秘書の監督責任、それに総理大臣時代の答弁が、略式起訴で認定された事実と異なる部分が出てくるので、安倍氏自身が何らかの形でしっかり説明することが重要だ」と述べました。

自民 閣僚経験者「政治的な責任をどう考えるか」

自民党の閣僚経験者は、NHKの取材に対し「検察としての判断であり、法律的にそのような判断になったと思う。ただ、他方において、政治的な責任をどう考えるかだ。予算委員会などで議論を行って政府の施策を国民に理解してもらうための時間が、この問題の答弁により空費されたわけであり、このことについて議会や国民に対し、安倍氏がどう考えているかが問われるのではないか」と述べました。

公明 山口氏「襟を正して信頼確保していく必要がある」

公明党の山口代表は、党の中央幹事会で「総理大臣の国会での発言が、検察の処分結果と異なっていたということで、安倍前総理大臣にしっかりと弁明の機会を与え、対応していく必要がある。政治家は疑惑を向けられたら、きちんと説明責任を尽くしていく姿勢が重要で、襟を正して、政府・与党として国民の信頼を確保していく必要がある」と述べました。

衆参両院議長「与野党で調整を」

安倍氏は、24日午前、衆参両院の議長に対し、懇親会に関するみずからの過去の答弁について、「事実と異なる部分があることが判明したので、答弁を訂正する発言をさせてもらいたい」と書面で申し入れました。

これを受けて、大島衆議院議長と山東参議院議長はそれぞれ、議院運営委員長らに対し、与野党で調整するよう伝えました。

野党 国対委員長「公開の場で質疑を」

立憲民主党など野党側の国会対策委員長は公開の場で安倍前総理大臣に対する質疑を行うよう与党側に求めていくことで一致しました。

維新 片山氏「経緯の説明は義務 公開で」

日本維新の会の片山共同代表は、記者会見で「検察の判断は尊重したい。安倍前総理大臣が国民に対して一連の経緯を遅滞なく、明確かつ、つまびらかに説明することは当然の義務だ。国会の場で公開して行うことは最低の条件だが、予算委員会である必要はなく与野党が合意できる範囲でよいと思う」と述べました。

立民 安住氏「もう うそは許されない」

立憲民主党の安住国会対策委員長は、記者団に対し「安倍前総理大臣や事務所の責任は、まだ全く果たされておらず、あしたはその第1歩だ。証人喚問には至らなかったが、もう、うそは許されない。国会議員の小さな事務所で、秘書が長年、現金を補填(ほてん)していたことを知らなかったというのは本当なのか、国民も私たちも素朴な疑問があり、きちんと話してもらいたい」と述べました。

共産 志位氏「責任重く 議員辞職を」

共産党の志位委員長は、記者会見で「懇親会の費用の補填(ほてん)が行われていたということは、選挙をめぐって買収が行われていたということで責任は重く、安倍氏には議員辞職を求める。議院運営委員会での質疑は第1歩で、今後も予算委員会での証人喚問を求めることも含め、徹底して真相究明をしていきたい。『知らなかった』はありえないし、それではすまない問題だ」と述べました。

共産 小池氏「議員辞職に値する問題」

共産党の小池書記局長は、記者団に対し「安倍氏の国会答弁が虚偽であったことが明白になった。国民が見ている場で、これ以上、虚偽答弁が許されない証人喚問の場で語る必要があり、安倍氏に真相を解明する気持ちがあるのであれば、潔く出てくるべきだ。国会議員の資格が問われる、議員辞職に値するような問題だ」と述べました。

国民 玉木氏「公開の場で説明を」

国民民主党の玉木代表は、記者団に対し「総理大臣が国会で事実に反する答弁を118回も繰り返したことの政治責任は極めて重い。安倍氏に国会に出てきてもらい国民が納得する形で、公開の場でしっかりと説明責任を果たしてもらわないといけない。当時、官房長官を務めていた菅総理大臣にも現政権として調査し、説明する責任がある」と述べました。