安婦問題「日韓合意は
違憲」の訴えを却下

慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した2015年の日韓合意について、元慰安婦の女性などが「韓国の憲法に違反する」と訴えていた裁判で、韓国の憲法裁判所は27日、日韓合意は政治的な合意にすぎず、効力も不明だとしたうえで、裁判の対象にはならないとして訴えを却下しました。

この裁判は慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した2015年の日韓合意について、韓国の元慰安婦の女性や遺族が、よくとしの3月、「日本政府への賠償請求権を阻むもので、韓国の憲法で保障されている財産権などが侵害された」として、韓国の憲法裁判所に提訴していたものです。

憲法裁判所は27日午後、日韓合意について書面の交換や国会の同意がなかったとしたうえで、一般的な条約とは違う政治的な合意にすぎず効力も不明だという見解を示しました。

そのうえで「合意によって被害者の権利が侵害されたと見ることはできない。合意は被害者の法的な地位に影響を及ぼすとは考えられず、裁判の対象にはならない」と指摘して訴えを却下しました。

ムン・ジェイン(文在寅)政権は、この合意に基づいて設立された元慰安婦を支援する財団について、去年11月、解散すると発表した一方、日本政府に対し合意の破棄や再交渉は求めないとする立場を示していて、憲法裁判所の判断については「決定を尊重する」などとコメントしています。

一方、原告側の弁護士は「多くの元慰安婦の傷を癒やす機会となるはずだったが、残念だ」と話しました。

韓国外務省「決定を尊重」

これについて韓国外務省は「決定を尊重する。政府は、慰安婦の被害者たちの名誉と尊厳の回復や、心の傷を癒やすために可能な努力を続けていく」とするコメントを出しました。

外務省幹部「日韓合意の着実な実施を求めていく」

外務省幹部は「他国の司法の決定にコメントする立場にないが、日本政府としては、引き続き、慰安婦問題をめぐる日韓合意の着実な実施を、韓国政府に求めていく立場に変わりはない」としています。