衛隊の中東派遣
政府と各党の反応は

政府は、中東地域で日本に関係する船舶の安全確保に必要な情報収集態勢を強化するため、日本独自の取り組みとして、自衛隊の護衛艦と哨戒機の派遣を27日の閣議で決定しました。政府と各党の反応をまとめました。

官房長官「国会、国民に丁寧に説明していく」

菅官房長官は、閣議のあとの記者会見で「中東地域では、日本関係船舶の航行の安全確保が非常に重要であり、とくにわが国は原油の約9割をこの地域に依存している。関係船舶の防護の実施を直ちに要する状況にはないものの、中東地域で緊張が高まっている状況を踏まえると、情報収集態勢を強化することが必要だ」と指摘しました。

そのうえで、今回の派遣を閣議決定した理由について「活動は、国民の権利や義務に関わらない行為で、実力の行使を伴うようなものではないが、自衛隊を海外に派遣する重要性や、国民に対する説明責任の明確化という観点から閣議決定することとした。閣議決定では、活動の地理的範囲などを明記するとともに、国会に報告することとしており、今後、国会をはじめ、国民に丁寧に説明していきたい」と述べました。

また菅官房長官は「いずれの国も、広大な海域を自国の取り組みだけでカバーするのは困難であり、船舶の通航量や関係国の取り組みの状況などを踏まえ、効率的に実施していくことが必要だ。関係国と連携し、航行の安全確保のための情報収集をしっかり行っていきたい」と述べました。

自民 森山氏「日本の関係する船舶の安全確保が大事」

自民党の森山国会対策委員長は記者団に対し、「来月17日に衆議院の安全保障委員会を開いて政府から説明を受けることを決めた。派遣される自衛隊員に任務を終えて元気に戻ってもらうための対応をしっかりやることや、日本に関係する船舶の安全を確保することが大事だ」と述べました。

公明 山口氏「党の提案や議論 反映された閣議決定に」

公明党の山口代表は記者団に対、「自衛隊派遣という重要な事項について、国民に説明責任を尽くすため、公明党としてさまざまな提案や議論を行い、それらが反映された閣議決定になった。航行の安全を確保する情報収集の役割を果たしてもらいたい。沿岸国と協力しながら進めることも重要で、外交的な取り組みによって協力を得られるよう努めてもらいたい」と述べました。

立民 安住氏「目的や根拠の議論を」

立憲民主党の安住国会対策委員長は記者団に対し「中東周辺は極めて高い緊張状態にあり、心配や懸念を持つ国民が多数いる。アメリカのトランプ大統領が主張する有志連合に、あたかも参加しているように見せかけることに自衛隊を使ってはならない。隊員の安全を図れるのかなど、派遣した場合のリスクも含めて、派遣目的や法的根拠について委員会でしっかり議論したい」と述べました。

国民 原口氏「法も道理も無視したやり方」

国民民主党の原口国会対策委員長は記者団に対し「アメリカから有志連合への参加をお願いされて、中東へと外形的に自衛隊を出していくのは、法も道理も無視したやり方だ。茂木外務大臣と河野防衛大臣に対し、関係する委員会でしっかりとただしていきたい」と述べました。

共産 小池氏「厳しく批判 武力行使の危険性も大」

共産党の小池書記局長は記者会見で「閣議決定に厳しく抗議し、撤回を求める。トランプ大統領から有志連合への参加を求められ、無理やり、防衛省設置法の『調査・研究』を根拠に派遣を決めたもので、厳しく批判する。日本の船舶を防衛する必要が生じた場合は、武器の使用が認められることになり、武力行使の危険性も大きい」と述べました。

社民 吉川氏「決定撤回と派遣断念を強く求める」

社民党の吉川幹事長は「明確な必要性も緊急性もなく、法的根拠にも問題が残るまま、なし崩し的に自衛隊を海外派遣することは、武力行使の範囲を広げ、隊員を危険にさらすことにもなりかねない。対話による平和解決に全力をあげるべきで、強く抗議する。閣議決定の撤回と、派遣の断念を強く求める」とする談話を出しました。