国で慰安婦をたたえる日
「国際社会と共有」大統領

韓国では14日、「慰安婦をたたえる日」の式典が開かれ、チン・ソンミ(陳善美)女性家族相は、「このような悲劇が二度と起きないよう、忘れずに記憶していく」とあいさつし、韓国政府として慰安婦問題への認識を広めていく姿勢を示しました。

韓国政府は、1991年に元慰安婦の女性の1人が初めて公の場で証言した日にあたる8月14日を、去年から「慰安婦をたたえる日」として新たな記念日に制定し、14日は各地で関連の行事が行われています。

このうちソウル市内では午前11時から、政府主催の式典が開かれ、元慰安婦の女性やその遺族などおよそ300人が出席しました。

韓国政府は、式典の目的を慰安婦問題についての認識を広めるためだとしていて、チン・ソンミ女性家族相は「元慰安婦の女性たちは勇気を出して、自分たちの苦痛を知らせてきた。このような悲劇が二度と起きないよう忘れずに記憶していく」とあいさつしました。

また、去年は式典に出席していたムン・ジェイン(文在寅)大統領は、今回は出席せず、代わりに談話を発表し、「政府は、被害者たちの尊厳と名誉を回復するために最善を尽くすつもりだ。この問題を平和と女性の人権に対するメッセージとして、国際社会と共有していく」と述べました。

慰安婦問題をめぐって、日本政府は、2015年に最終的かつ不可逆的な解決を確認した日韓合意の着実な履行を求めていて、この問題をめぐっても、日韓両国の隔たりが埋まらない状況が続いています。

ソウルに新たな像を設置

ソウル市では、中心部の繁華街に近い地区で慰安婦問題を象徴する像の除幕式が行われ、閣僚や元慰安婦の女性などおよそ100人が出席しました。ソウル市によりますと、像は、韓国、中国、フィリピンの慰安婦を表現しているということで、市民が像の手をとって記念撮影できるようになっています。

ソウル市のパク・ウォンスン(朴元淳)市長は「安倍政権は歴史を顧みることを拒否し、むしろ政治の道具として悪用している」と批判しました。

また、日本大使館の前でも市民団体が毎週水曜日に行っている抗議集会を開きました。
集会は14日で1400回目ということで、2000人近くの市民が集まり、参加者は「安倍政権は謝罪と賠償をしろ」などと繰り返し訴えました。

韓国では、先月、日本の輸出管理の強化が発表されてから、日本製品の不買運動が呼びかけられていますが、15日は、日本の植民地支配から朝鮮半島が解放された記念日にあたり、市民の対日感情がさらに悪化することも予想されます。