20 「大阪宣言」全文

G20大阪サミットは29日午後閉幕し、首脳宣言となる「大阪宣言」が採択されました。調整が難航していた貿易・投資について「自由・公平・無差別で透明性があり安定した貿易と投資環境を実現するよう努力する」としたうえで、WTO・世界貿易機関の改革への支持を盛り込む一方、「保護主義と闘う」という文言は去年に続いて盛り込まれませんでした。

【前文】

1.我々G20の首脳は、主要な世界経済の課題に対処すべく団結して取り組むため、2019年6月28日・29日に日本の大阪において会合した。我々は、全ての人々の利益のために、技術イノベーション、特にデジタル化及びこれを適用した力を活用しつつ、世界経済の成長促進に向けて協働する。

2.これまでの議長国による成果に基づいて、我々は、不平等に対処することによって成長の好循環を創出し、全ての人々が自らの潜在力を最大限に活用できる社会を実現するために努力する。我々は、機会をとらえ、人口動態の変化によるものを含めて今日あるいは将来にわたって提示される経済、社会及び環境の課題に対処する能力を有する社会を建設する決意である。

3.我々は更に、持続可能な開発のための2030アジェンダの中でビジョンとして掲げられているとおり、包摂的かつ持続可能な世界に向けた道を開くため、開発を促進し,その他の地球規模の課題に対処する取組を主導する。

世界経済

4.世界経済の成長は、足元で安定化の兆しを示しており、総じて、本年後半及び2020年に向けて、緩やかに上向く見通しである。この回復は、緩和的な金融環境が継続すること及び幾つかの国々で景気刺激策の効果が発現することによってもたらされている。しかしながら、成長は低位であり続けており、リスクは依然として下方に傾いている。何よりも、貿易と地政を巡る緊張は増大してきた。我々は、これらのリスクに対処し続けるとともに、更なる行動をとる用意がある。

5.我々は、強固で持続性があり均衡のとれた包摂的な成長を実現するため、また、信頼を高める対話と行動を強化することにより、下方リスクから守るために全ての政策手段を用いるとの我々のコミットメントを再確認する。必要に応じて財政バッファーを再構築し、かつ、GDP(国内総生産)比の公的債務が持続可能な道筋にあることを確保しつつも、財政政策は、機動的に実施し、成長に配慮したものとすべきである。金融政策は、引き続き、経済活動を支え、中央銀行のマンデートと整合的な形で物価の安定を確保する。中央銀行の決定は引き続きよくコミュニケーションがとられる必要がある。構造改革の実行を続けることは、我々の潜在成長力を高める。我々はまた、2018年3月に財務大臣・中央銀行総裁が行った為替相場のコミットメントを再確認する。

6.グローバル・インバランス(経常収支不均衡)は、世界金融危機の後、特に新興国及び開発途上国において減少しており、次第に先進国に集中してきた。しかしながら、不均衡は依然として高水準かつ持続的であり、対外資産・負債の水準も拡大を続けている。我々は、対外収支を評価するに当たっては、サービス貿易・所得収支を含む経常収支の全ての構成要素に着目する必要性に留意する。協力推進の精神に基づき、我々は、過度の対外不均衡に対処し、強固で、持続可能で、均衡ある、かつ、包摂的な成長というG20の目標実現に対するリスクを軽減するには、各国の実情に即しつつ、注意深く策定されたマクロ経済・構造政策が必要であることを確認する。

7.高齢化を含む人口動態の変化は、全てのG20構成国に対して課題と機会をもたらし、こうした変化は、財政・金融政策、金融セクター政策、労働市場政策及びその他の構造政策にわたる政策行動を必要とする。高齢化社会における金融包摂を強化するため、我々は、「高齢化と金融包摂のためのG20福岡ポリシー・プライオリティ」を承認する。

強固な世界経済の成長の醸成

《貿易と投資》
8.我々は、G20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合閣僚声明を歓迎する。我々は、自由、公平、無差別で透明性があり予測可能な安定した貿易及び投資環境を実現し、我々の市場を開放的に保つよう努力する。国際的な貿易及び投資は、成長、生産性、イノベーション、雇用創出及び開発の重要な牽引力である。我々は、世界貿易機関(WTO)の機能を改善するため、必要なWTO改革への支持を再確認する。我々は、第12回WTO閣僚会議までの間も含め、他のWTO加盟国と建設的に取り組む。我々は、WTO加盟国によって交渉されたルールに整合的な紛争解決制度の機能に関して、行動が必要であることに合意する。さらに、我々は、WTO協定と整合的な二国間及び地域の自由貿易協定の補完的役割を認識する。我々は、ビジネスを可能とする環境を醸成するため、公平な競争条件を確保するよう取り組む。

《過剰生産能力》
9.我々は、鉄鋼の過剰生産能力に関するグローバル・フォーラム(GFSEC)がこれまで成した進展に留意しつつ、GFSECの加盟国の関係大臣に対し、2019年の秋までに、フォーラムの作業を進展させる方法について、探究し、コンセンサスに至るよう求める。
イノベーション:デジタル化、データフリーフローウィズトラスト

《信頼性のある自由なデータ流通》
10.イノベーションは経済成長の重要な原動力であり、持続可能な開発目標(SDGs)への前進及び包摂性向上にも寄与し得る。我々は、デジタル化及び新興技術の適用の促進を通じて、包摂的で持続可能な、安全で、信頼できる革新的な社会の実現に向けて取り組む。我々は、ソサエティ5.0として日本によって促進されつつある人間中心の未来社会の観念を共有する。デジタル化が我々の経済・社会のあらゆる側面に変革をもたらしている中、我々は、経済成長、開発及び社会福祉を可能にするものとして、データの有効利用が果たす決定的役割を認識する。我々は、データの潜在力を最大限活用するため、国際的な政策討議を促進することを目指す。

11.データ、情報、アイデア及び知識の越境流通は、生産性の向上、イノベーションの増大及びより良い持続的開発をもたらす一方で、プライバシー、データ保護、知的財産権及びセキュリティに関する課題を提起する。これらの課題に引き続き対処することにより、我々は、データの自由な流通を更に促進し、消費者及びビジネスの信頼を強化することができる。この点において、国内的及び国際的な法的枠組みの双方が尊重されるべきことが必要である。このようなデータフリーフローウィズトラスト(信頼性のある自由なデータ流通)は、デジタル経済の機会を活かすものである。我々は、異なる枠組みの相互運用性を促進するために協力し、開発に果たすデータの役割を確認する。我々はまた、貿易とデジタル経済の接点の重要性を再確認し、電子商取引に関する共同宣言イニシアティブの下で進行中の議論に留意し、WTOにおける電子商取引に関する作業計画の重要性を再確認する。

12.デジタル経済におけるイノベーションを更に促進するために、我々は、効果的な政策と、規制のサンドボックスの使用を含め、革新的かつ機動的で柔軟性があり、デジタル時代に適応した規制アプローチ及び枠組みに関するグッドプラクティスの共有を支持する。人工知能(AI)の責任ある開発及び活用は、SDGsを推進し、持続可能で包摂的な社会を実現するための原動力となり得る。AI技術への人々の信頼と信用を醸成し、その潜在能力を十分に引き出すために、我々は、AIへの人間中心のアプローチにコミットし、経済協力開発機構(OECD)AI勧告から引用された拘束力を有さないG20AI原則を歓迎する。さらに我々は、デジタル経済において、セキュリティを促進すること及びセキュリティギャップと脆弱性に対処することの重要性が高まっていることを認識する。我々は、知的財産の保護の重要性を確認する。モノのインターネット(IoT)を含む新興技術の急速な広がりに伴い、デジタル経済におけるセキュリティについて進行中の議論の価値は高まっている。我々、G20構成国は、これらの緊急の課題への更なる取組の必要性を認識する。我々は、中小零細企業と全ての個人、特に脆弱なグループの人々の間で、情報格差を克服し、デジタル化の採用を促進することの重要性を再確認し、また、スマートシティの開発に向けた都市間のネットワーク化と経験共有を奨励する。

《質の高いインフラ投資》
13.インフラは経済の成長と繁栄の原動力である。我々は、我々の共通の戦略的方向性と高い志として、「質の高いインフラ投資に関するG20原則」を承認する。これらは、質の高いインフラが、「投資対象としてのインフラに向けたロードマップ」に沿いインフラ・ギャップの縮小に向けて継続中のG20の努力の必要不可欠な一部であることを強調する。我々は、公的財政の持続可能性を保つ形での持続可能な成長と開発を達成するためのインフラの正のインパクトの最大化、ライフサイクル・コストでみた経済性の向上、女性の経済的なエンパワーメントを含めた環境・社会配慮の統合、自然災害その他のリスクに対する強じん性の強化、及びインフラ・ガバナンスの強化の重要性を強調する。我々は、質の高いインフラ投資に係るあり得る指標を探求することを含めて、インフラを投資対象へと育成するための要素を引き続き前進させていくことを期待する。

《グローバル金融》
14.我々は、強固で、クォータを基礎とし、かつ、十分な資金基盤を有する国際通貨基金(IMF)を中心としたグローバル金融セーフティネットを更に強化するとのコミットメントを再確認する。我々は、第15次クォータ一般見直しを遅くとも2019年年次総会までに完了することに引き続きコミットしており、IMF資金とガバナンス改革に関する作業を最優先事項として迅速に進めることをIMFに求める。我々は、カントリー・プラットフォームや、開発金融におけるリスク保険を向上させるための世銀グループ(WBG)による努力を含む、賢人グループ(EPG)の提言のフォローアップ作業の進捗を支持する。我々は、資本フローに関する国際機関の取組を歓迎する。OECDは、資本移動自由化コードの見直しを完了した。我々は、EPGの提言が複数年にわたる性質のものであることを認識しつつ、その作業を継続する。

15.我々は、債務の透明性を向上し、債務の持続可能性を確保するための、債務者及び公的・民間の債権者双方による協働の重要性を再確認する。我々は、IMF及びWBGに、「様々な角度からのアプローチ」等の下で、債務の記録・監視・報告、債務管理、公的財政管理、国内資金動員の分野における債務者の能力強化のための取組を継続することを求める。我々は、IMF及び世銀グループに、債務上限ポリシー及び非譲許的借入ポリシーの見直しの文脈で、担保付貸付の慣行の分析を引き続き深めることを奨励する。我々は、「G20持続可能な貸付に係る実務指針」の実施に関する任意の自己評価の完了、及びその評価結果と政策提言をまとめたIMF及びWBGのノートを歓迎する。我々は、評価を完了したG20及び非G20諸国・地域を称賛するとともに、貸付慣行の改善を目指して、このノートで強調されている課題の継続的な議論を求める。我々は、民間貸付に係る債務の透明性及び持続可能性を向上させるための、「債務透明性のための任意の原則」に関する国際金融協会の取組を支持し、フォローアップを期待する。我々は、債権者たる新興国のより幅広い関与に向けて、二国間の公的債務を再編するための主要な国際フォーラムとしてパリクラブが進めている取組を支持し、パリクラブと協働するために、インドがパリクラブに事案に応じた参加を自発的に決定したことを歓迎する。

16.我々は、世界規模で公正,持続可能かつ現代的な国際課税システムのための協力を継続するとともに、成長志向の租税政策を推進するための国際協力を歓迎する。我々は、G20/OECD「税源浸食と利益移転(BEPS)」パッケージの世界的な実施及び税の安定性向上の重要性を再確認する。我々は、経済の電子化に伴う課税上の課題への対応に関する最近の進捗を歓迎し、BEPS包摂的枠組みによって策定された、2つの柱から成る野心的な作業計画を承認する。我々は、2020年までの最終報告書によるコンセンサスに基づく解決策のための取組を更に強化する。我々は、税を目的とする情報の自動的交換の進捗を含む税の透明性に関する最近の成果を歓迎する。我々はまた、国際的に合意された税の透明性の基準を満足に実施していない法域の更新されたリストを歓迎する。我々は、強化された全ての基準を考慮した、OECDによるリストの更なる更新を期待する。リストに載った法域に対しては、防御的措置が検討される。2015年のOECD報告書は,この点に関する利用可能な措置を列挙している。我々は、全ての法域に対し多国間税務行政執行共助条約に署名及び批准するよう求める。我々は、開発途上国における税に関する能力構築に対する支持を再確認する。

17.技術革新は、金融システム及びより広い経済に重要な便益をもたらし得る。暗号資産は、現時点でグローバル金融システムの安定に脅威をもたらしていないが、我々は、注意深く進展を監視するとともに、既存の及び生じつつあるリスクに警戒を続ける。我々は、金融安定理事会(FSB)と他の基準設定主体による進行中の作業を歓迎するとともに、追加的な多国間での、必要に応じた対応にかかる助言を求める。我々は、マネーロンダリング及びテロ資金供与への対策のため、最近改訂された、仮想資産や関連業者に対する金融活動作業部会(FATF)基準を適用するとのコミットメントを再確認する。我々は、FATFの解釈ノート及びガイダンスの採択を歓迎する。我々はまた、分散型金融技術のあり得る影響、及び当局が他のステークホルダーとどのように関与できるかについてのFSBの作業を歓迎する。我々は、サイバーの強じん性を高める努力を強化し続ける。

18.我々は、マネーロンダリング、テロ資金供与及び拡散金融と闘い、これを防止するための国際基準を設定することにおけるFATFの不可欠な役割を強調する国連安保理決議2462号を歓迎する。我々は、FATF型地域体のグローバルネットワークを強化することを含め、これらの脅威と闘う努力を強化することについての我々の強いコミットメントを再確認する。我々は、FATF基準の完全、効果的かつ迅速な履行を求める。

19.合意された国際基準に基づく、開かれた、強じんな金融システムは、持続可能な成長を支えるために極めて重要である。我々は、合意された金融規制改革の完全、適時かつ整合的な実施に引き続きコミットしている。我々は、FSBに対して、その影響を引き続き評価するよう求める。我々は、金融安定性に対する脆弱性と生じつつあるリスクについて、引き続き注視し、マクロ・プルーデンスの手段を含め、必要に応じ対処する。ノンバンク金融仲介が金融システムに歓迎される多様性を与える一方、我々は引き続き、関連する金融安定リスクを、適切に特定、注視、対処する。我々は、市場の分断についての取組を歓迎し、その意図せざる、悪影響に対して、規制・監督上の協力等により対処する。我々は、コルレス銀行関係の解消の原因及び結果について、引き続き監視し、対処する。サステナブル・ファイナンスの動員及び金融包摂の強化は、世界の成長にとって重要である。我々は、こうした分野における民間部門の参加と透明性を歓迎する。

《腐敗対策》
20.我々は、関連する国際文書及びメカニズム間の相乗作用を強化しつつ、「G20腐敗対策行動計画2019-2021」の履行を通じて、腐敗を防止し、これと闘い、清廉性を促進するグローバルな努力において先導的な役割を担うことに引き続きコミットする。我々は、腐敗との闘いはインフラの質と信頼性を確保する上で極めて重要である旨認識しつつ、「インフラ開発における清廉性と透明性に関するグッドプラクティス集」を我々の更なる取組の一部として歓迎する。我々は、「効果的な公益通報者保護のためのハイレベル原則」を承認する。我々は、腐敗との闘いにおけるG20構成国間のハイレベルの国際協力を追求し、腐敗の防止に関する国際連合条約のレビュープロセスを含め、同条約の効果的実施を通じて、模範を示すことにより主導するとのコミットメントを再確認する。我々は、外国公務員贈賄と闘い、G20各国ができる限り早く外国公務員贈賄を犯罪化する国内法を整備することを確保するための取組を強化する。我々は、OECD外国公務員贈賄防止条約の遵守に向けた努力に留意する。我々は、腐敗と闘うための実際的な協力を継続し、G20及び国際的なコミットメント並びに国内法制度と整合的な形で、腐敗関係の捜査対象者及び彼らの腐敗の収益の安全な逃避先を否定するという我々のコミットメントを再確認し、財産回復協力に一層緊密に協力する。我々は、腐敗に関連する深刻な経済犯罪者及び奪われた財産の回復に対処するための国際協力の現状に関する報告書が関連国際機関によって準備されることを期待する。加えて、我々はまた、関連国際機関による腐敗とジェンダーの連関に関する取組を歓迎する。
不平等に対処することによる成長の好循環の創出

《労働及び雇用》
21.人口高齢化はG20構成国で様々な速度で進行している。G20諸国の人口動態上の共通点及び相違点を考慮し、我々は、若者や女性、障がい者の経済活動への参加を引き続き増やしつつ、高齢期も労働市場に参加できるような健康で活力ある高齢化社会の促進の重要性を認識する。我々は、職業生活の長期化が見込まれていることを踏まえ、雇用創出及び柔軟な働き方を促進し、雇用の質の向上と、生涯学習を通じた労働者の雇用可能性の増進を目指すとともに、各国の国毎の状況に応じて介護労働者を含む全ての者の労働条件の改善に向けて努力する。我々はまた、若年層の雇用機会及び雇用可能性を引き続き促進する。我々は、労働雇用大臣に対し、9月の松山での会合において、人口動態の傾向に適応するために採り得る政策上の優先事項を特定するよう求める。我々は、生じつつある新たな労働形態、とりわけ技術革新によって生じるものは、就業機会の源になり得るとともに、ディーセント・ワーク及び社会保護制度にとって課題ともなり得ることを認識する。我々は、民間部門の見解を考慮しつつ、これらの新たな労働形態に対して適切な政策対応を策定するよう努力するに当たり、労働雇用大臣に対して経験及びグッドプラクティスを一層共有するよう奨励する。我々は、ディーセント・ワークを推進し、持続可能なグローバル・サプライ・チェーンの促進を通じたものを含め、仕事の世界において、児童労働、強制労働、人身売買、及び現代の奴隷制を根絶するための行動をとるというコミットメントを再確認する。

《女性のエンパワーメント》
22.ジェンダーの平等と女性のエンパワーメントは、持続可能で包摂的な経済成長に不可欠である。我々は、我々の政策のあらゆる側面において、かつ今後の首脳会合における横断的な課題として、これらを確保する重要性を再確認する。我々は、2025年までに労働力参加における男女間の格差を25%削減するとのブリスベン・ゴールに向けて更なる進捗が得られたことに留意する。我々は、国際労働機関(ILO)及びOECDが作成した「G20諸国における働く女性」進捗報告に留意し、我々の努力を加速化させる必要性を認識する。労働雇用大臣による継続的な努力に立脚して、我々は、年次報告を基礎として、女性の雇用の質を含め、ブリスベン・ゴールに向けたG20における各国の進捗及び行動を交換する。我々はまた、女性の労働市場参加に対する主要な障害となっている、無償ケア労働における男女格差にも取り組む。我々は、女性の雇用の質を改善し、男女の賃金格差を減少させ、女性に対するあらゆる形態の差別を終わらせ、固定観念と闘うために更なる行動をとり、平和の代理人として、また、紛争の予防及び解決において、女性を認識することにコミットする。

23.我々は、質の高い初等・中等教育の提供、STEM(科学、技術、工学及び数学)教育へのアクセスの改善及びジェンダーの固定観念の排除に向けた意識向上を含め、女児・女性教育及び訓練への支援を継続することにコミットする。デジタル面のジェンダーによる格差をなくすため、我々は引き続き、貧困層及び農村部の女児・女性のニーズに焦点を置きつつ、これらのデジタル技術へのアクセスを向上させる。我々は、デジタル面におけるものも含め、全てのジェンダーに基づく暴力、虐待及びハラスメントを根絶するために措置を講じることの重要性を再確認する。我々は、とりわけ民間部門による、女性の管理職へのアクセスを促進し、女性のビジネスリーダー及び起業を育成するための取組を歓迎する。我々は、女性の起業を促進するため、技能開発を支援し、資金へのアクセスを提供する取組の重要性を再確認し、アフリカを含む開発途上国における女性の起業を支援するための女性起業家資金イニシアティブ(We-Fi)の継続的な実施を歓迎する。我々は、女性の管理職数を増やすための措置を取り、ジェンダーに対応した投資を行う企業を認識することを含め、民間部門による取組を奨励することの重要性を認識する。我々は、「女性の経済的代表性のエンパワーメント及び向上(EMPOWER)」のための民間部門アライアンスの立ち上げを歓迎し、同アライアンスに対して、民間部門における女性の進出を提唱することを求め、今後のサミットにおいて、その進捗を評価し、具体的な取組を共有する。

《観光》
24.観光産業は世界のGDPの相当の割合を占め、引き続き世界経済の成長の重要な牽引役となることが見込まれる。我々は、特に女性及び若者のための、また、創造産業における、質の高い雇用と起業の創出、経済的な強じん性及び回復、持続可能な観光に関する計画及び管理を通じた自然資源の保護、並びに、包摂的かつ持続可能な開発の実現に対する観光部門の貢献を最大限にするために取り組んでいく。

《農業》
25.増加する世界の人口に対し、食料安全保障を達成し、栄養状況を改善するためには、自然資源の持続可能な管理とより両立し得る方法で、農業生産性を高め、また、食料の損失及び廃棄の削減を含め、流通をより効率的に行うる必要がある。この目的のために、我々は、情報通信技術(ICT)、人工知能(AI)、ロボット工学等の既存の、新たな又は先端の技術のアクセスと利用の重要性を強調し、関係者間の分野横断的な協力を奨励する。我々はまた、農業・食品分野において新規参入者を引き付け、若者と女性のエンパワーメントを行う上で、全ての人々に対するイノベーション、技能研修及び生涯学習を推奨する。我々は、農村地域の再活性化にも貢献する、持続可能で、科学に基づく、強じんな農業・食品バリューチェーンを、家族農業及び小規模農家を含め、包摂的かつ衡平な方法で発展させることの重要性を認識する。我々は、既存の又は生じつつある動植物の衛生問題に対応するための情報共有及び研究協力の継続・強化の必要性を強調する。我々はさらに、より持続可能な農業・食品分野に向けたグッドプラクティス及び知識についての任意の交換を推奨する。
包摂的かつ持続可能な世界の実現

《開発》
26.9月の国連ハイレベル政治フォーラム及び国連開発資金ハイレベル対話を目指して、我々は、持続可能な開発のための2030アジェンダ及びアディスアベバ行動目標の適時の実施に貢献することにおいて主導的な役割を果たすことを引き続き決意している。我々は、開発のための国際的な公的及び民間資金、並びに、ブレンディッド・ファイナンスを含むその他の革新的資金調達メカニズムが、我々の共同の取組を高めていく上で重要な役割を担うことができることを認識する。持続可能な開発のための2030アジェンダに関するG20の行動計画に基づいて、「大阪アップデート」は、同アジェンダの達成に貢献し、「誰一人取り残さない」ことを確保することに向けた共同のかつ具体的な行動を強調する。我々は、「大阪包括的説明責任報告書」を歓迎する。

27.我々は、民間部門の資金の動員、能力構築支援など、あらゆる実施手段を用い、貧困の撲滅、質の高いインフラ投資、ジェンダー平等、保健、教育、農業、環境、エネルギー、産業化等の分野で開発途上国がSDGsの適時な実施に向けて前進するための努力を支援する。我々は、G20構成国による二国間の関与を強化させ、「アフリカとのコンパクト」(CwA)の実施における世銀グループ、アフリカ開発銀行及びIMFの役割を強化させた上で、CwAを含むG20アフリカ・パートナーシップ、及びアフリカの産業化支援に関するG20イニシアティブ、及びアフリカ連合のアジェンダ2063に示されたアフリカのビジョンの実現に貢献するその他の関連イニシアティブへの継続した支持を強調する。我々は、違法な資金フローに対処することに引き続きコミットし、今後のサミットにおいて評価する。

28.我々は、「G20持続可能な開発のための人的資本投資イニシアティブ」で強調されているように、人的資本に投資し、全ての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を推進するという我々のコミットメントを再確認する。我々は、SDGs達成のための科学技術イノベーション(STI)の重要性を認識し、「SDGs達成のためのSTIロードマップ策定の基本的考え方」を承認する。我々は、南北協力、南南協力及び三角協力並びに自然災害に対する財務上の強じん性を促進させる手段としての災害リスクファイナンシング調達及び保険スキームを含む防災に関する更なる取組の重要性を認識する。

29.我々は、第19次国際開発協会増資及び第15次アフリカ開発基金増資を成功裏に達成するための作業を継続する。我々は、国際復興開発銀行及び国際金融公社の拡大した役割を踏まえ、増資パッケージの完全かつ適時の実施を求める。

《国際保健》
30.保健は、持続可能かつ包摂的な経済成長の前提条件である。我々は、国毎の状況及び優先事項に応じて、「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ」達成に向けて前進するとのコミットメントを想起する。我々は、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジに関する国連総会ハイレベル会合を期待する。医薬品へのアクセス、予防接種、栄養、水・衛生、健康増進及び疾病予防を含むプライマリ・ヘルス・ケアは、健康及び包摂を前進させるための礎である。我々は、保健従事者及び政策策定のための人的資源を向上させること並びに費用対効果が高く適切なデジタルその他の革新的な技術のような政府及び民間によるイノベーションの促進を通じることも含めて、医療の質に焦点を当てつつ保健システムを強化する。保健のための持続的な資金調達の重要性を認識しつつ、我々は、財務・保健大臣会合の合同セッションにおいて我々のコミットメントが確認されたように、「途上国におけるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ・ファイナンスの重要性に関するG20共通理解」に従い、保健・財務当局間の更なる協力を要請する。我々は、国際機関及び全ての関係者に対し、効果的に協力するよう奨励し、全ての人々のための健康的な生活及び福祉のための世界行動計画の今後の発表を期待する。

31.我々は、健康増進、感染症及び非感染性疾患の予防と制御に対処するための政策措置、並びに、人口動態の傾向を含む各国の事情に従った人間中心で、分野横断的かつ地域に根ざした生涯を通じた統合された医療及び介護を通じて、健康で活力ある高齢化を促進する。我々は,認知症を持つ人々及び介護者の生活の質(QOL)を向上させることを目指し,リスク削減,介護の持続可能な提供及び包摂的な社会促進及び包摂的な社会を含め、認知症の対策のための包括的な一連の政策を実施する。

32.我々は、我々自身の中核的な能力の強化及びWHO国際保健規則(2005)に従った他国の能力支援を含む公衆衛生、備え及び対応の改善にコミットする。我々は、適時の財政的及び技術的双方の支援を通じて、また、健康危機に対する国際的な対応のためにWHOが有する中心的な調整責任に沿って、アフリカにおける現在のエボラ出血熱の流行に苦しむ国々を支援する。我々は、世界的な健康危機に対する資金調達メカニズムの持続性と効率性に取り組む。我々は、ポリオを撲滅し、エイズ、結核及びマラリアの流行を終わらせるとのコミットメントを再確認するとともに、世界エイズ・結核・マラリア対策基金の第6次増資の成功を期待する。

33.我々は、薬剤耐性(AMR)に取り組むためのワン・ヘルス・アプローチに基づく努力を加速させる。国連AMRに関する機関間調整グループ及びその他の関連イニシアティブから勧告を受けたAMRに関する国連事務総長報告書を認識し、我々は、国際機関を含む全ての関係者に対し、AMRと闘うための世界的な取組に貢献する、それぞれの任務に関連する項目に関して行動し協調するよう促す。我々は、感染予防及び行き過ぎた抗菌薬使用の削減のための政策手段の必要性を認識する。抗菌薬の管理とアクセスを促進するために更なる行動をとるべきである。国際薬剤耐性研究開発ハブによる進行中の取組に留意し、我々はAMRに取り組むための研究開発を促進する。我々は、関心あるG20構成国及び国際薬剤耐性研究開発ハブに対し、AMR研究開発の最良のモデルを特定するため、プッシュ及びプルの仕組みを分析し、関連のG20閣僚に報告するよう求める。

《地球環境問題と課題》
34.「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)及び「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム」(IPBES)の重要な作業に留意しつつ、また、近年の異常気候や災害に照らして、我々は、気候変動、資源効率、大気汚染、土地汚染、淡水汚染、海洋プラスチックごみを含む海洋汚染、生物多様性の損失、持続可能な消費と生産、都市環境の質その他の環境問題を含む複雑で差し迫ったグローバルな課題に対処し、また、持続可能な成長を促進しながら、最良の入手可能な科学を用いて、エネルギー転換を促進し主導する緊急の必要性を認識する。産業界が公的部門と相乗効果を持って重要な役割を果たす形で、環境と成長の好循環が技術革新を通じて行われるパラダイム・シフトが必要とされている。この目的のため、我々は、好循環を加速化させ、強じんで、包摂的で、持続可能な将来への転換を主導する重要性を強調する。我々は、具体的で実際的な行動をとり、世界中から国際的な最良の慣行と知識を集め、公的及び民間の資金、技術及び投資をを動員し、ビジネス環境を改善する重要性を強調する。《気候変動》

35.この目的のために、我々は、公的及び民間の財政動員及び両者の調和を含む持続可能な開発のための包括的資金調達、並びに、低排出及び強じんな開発のための幅広い分野におけるイノベーションを促進するために努力する。非国家主体を含む広範な参加を得て、全てのレベルにおいて気候に関する行動をとることが、このようなパラダイム・シフトを実現させる鍵となる。この努力を更に促進するに当たり、各国の事情に応じて、我々は、スマートシティ、生態系・共同体本位のアプローチ、自然本位の解決策及び伝統的かつ土着の知識を含む幅広いクリーンテクノロジーやアプローチを検討する。我々は、特に最も脆弱なコミュニティにとっての適応及び災害リスク軽減における行動及び協力を支援するための取組を強化し、更に議論を深め、緩和行動、適応措置、環境保護及び強じんなインフラとの間の一貫性を育む必要がある。我々は、G20ブエノスアイレス・サミットの成功に続き、パリ協定の実施ガイドラインが成功裏に採択されたこと、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の第24回締約国会議(COP24)においてタラノア対話の現状評価が完了したこと、及び軽井沢でのG20エネルギー・環境大臣会合における成果を留意する。我々は、このモメンタムを最大限活用することを決意し、国連事務総長の気候行動サミットの成功及びチリのサンティアゴにおける具体的成果を期待する。ブエノスアイレスにおいてパリ協定の不可逆性を確認し、それを実施することを決定した同協定の署名国は、各国の異なる状況に照らし、共通だが差異ある責任と各国の能力を反映して、完全な実行へのコミットメントを再確認する。2020年までに、我々は、更なる世界的な努力が必要であることを考慮して、「自国が決定する貢献」(NDC)を伝達し、更新し又は維持することを目指す。我々は、パリ協定に従って、緩和と適応の双方に関して開発途上国を支援するための財源を提供することの重要性を強調する。

36.米国は、米国の労働者及び納税者を不利にするとの理由で、パリ協定から脱退するとの決定を再確認する。米国は、経済成長、エネルギーの安全保障とアクセス及び環境保護を促進するとの強いコミットメントを再確認する。エネルギーと環境に対する米国のバランスのとれたアプローチは、クリーンで先進的な化石燃料や技術、再生可能なエネルギー、民生用原子力を含むあらゆるエネルギー源や技術を活用するとともに、排出量を削減し、経済成長を促進しながら、全ての市民に対し、安価で信頼性が高く、安全なエネルギーの配送を可能とする。米国は、排出量の削減において世界の指導者である。米国のエネルギー関連の二酸化炭素排出量は、2005年から2017年の間に、革新的なエネルギー技術の開発と展開により、経済が19.4%成長しているにもかかわらず、14%減少した。米国は引き続き、排出量を減らし、よりクリーンな環境を提供し続けるため、先進技術の開発と配備にコミットする。

《エネルギー》
37.我々は、目標を達成するために国によって異なる道筋が存在することを認識しつつ、可能な限り早急に、我々のエネルギーシステムを、低廉で、信頼でき、持続可能で、温室効果ガスの排出の少ないシステムへ変えるために、「3E+S」(エネルギー安全保障、経済効率性、環境+安全性)を実現するエネルギー転換の重要性を認識する。G20持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合のコミュニケを想起しつつ、我々は、エネルギーミックスにおけるあらゆるエネルギー源及び技術の役割、並びに、よりクリーンなエネルギーシステムを達成するために国によって異なる道筋が存在することを認識する。我々はまた、水素、並びに、各国の状況に応じて、「カーボン・リサイクル」及び「エミッション・トゥ・バリュー」に関する作業に留意しつつ、二酸化炭素回収・利用・貯留(CCUS)を含む、エネルギー転換に向けた革新的、クリーンで効率的な技術の更なる発展によってもたらされる機会を認識する。我々は、「クリーンエネルギー技術のための研究と開発20(“RD20”)」と呼ぶG20議長国である日本のイニシアティブを認識する。エネルギーの安全な流れに関する懸念を浮き彫りにした最近の出来事を考慮し、我々は、インフラの強じん性、安全性及び開発、並びに、様々な供給源、供給者及び経路から途絶されないエネルギーの流れを含め、エネルギーシステム転換のための指針の一つとしての世界のエネルギー安全保障の重要性を認識する。我々は、エネルギーアクセス、アフォーダビリティ、エネルギー効率及びエネルギー貯蔵を含め、広範囲のエネルギー関連問題における国際協力の重要性を認識する。我々は、最貧困層を対象とする支援を提供する一方で、無駄な消費を助長する非効率的な化石燃料補助金を中期的に合理化し、段階的に廃止する共同のコミットメントを再確認する。

《環境》
38.我々は、循環経済、持続可能な物質管理、3R(リデュース、リユース、リサイクル)及び廃棄物の価値化等の政策やアプローチを通じた資源効率性の向上が、SDGs達成、及び、広範な環境問題に対処し、競争力及び経済成長を向上し、資源を持続可能な方法で管理し、雇用を創出することに貢献することを認識する。我々は冷却部門におけるイノベーションにおける民間部門との協力を奨励する。我々はまた、リサイクル製品の需要を増やすために関係者と協力する。我々は、議長国を務める日本の下でG20資源効率性対話のロードマップが策定されることを期待する。

39.我々は、海洋ごみ、特に海洋プラスチックごみ及びマイクロプラスチックに対処する措置は、全ての国によって、関係者との協力の下に、国内的及び国際的に取られる必要があることを再確認する。この点に関し、我々は、海洋へのプラスチックごみ及びマイクロプラスチックの流出の抑制及び大幅な削減のために適切な国内的行動を速やかに取る決意である。さらに、これらのイニシアティブ及び各国の既存の行動の先を見越して、我々は、共通の世界のビジョンとして、「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を共有し、国際社会の他のメンバーにも共有するよう呼びかける。これは、社会にとってのプラスチックの重要な役割を認識しつつ、改善された廃棄物管理及び革新的な解決策によって、管理を誤ったプラスチックごみの流出を減らすことを含む、包括的なライフサイクルアプローチを通じて、2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまで削減することを目指すものである。我々はまた、「G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組」を支持する。

40.違法・無報告・無規制(IUU)漁業は、世界の多くの地域において、引き続き海洋の持続可能性にとって深刻な脅威となっているため、我々は、海洋資源の持続的な利用を確保し、生物多様性を含め、海洋環境を保全するために、IUU漁業に対処する重要性を認識しIUU漁業を終わらせるという我々のコミットメントを再確認する。

《避難と移住》
41.我々は、OECDがILO、国際移住機関(IOM)及び国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と協力しつつ策定した「G20への2019年国際的移住及び避難の傾向と政策に関する報告」に留意する。我々は、G20において、これらの問題の様々な側面についての対話を続ける。

42.難民の大規模な動きは、人道的、政治的、社会的及び経済的な影響を伴う世界的な懸念である。我々は、避難の根本原因に対処し、増大する人道的ニーズに対応するための共同行動の重要性を強調する。

43.我々は、議長国を務め大阪サミットを成功裏に主催し、G20プロセスへ貢献した日本に感謝すると共に、2020年にサウジアラビア、2021年にイタリア、2022年にインドで再会できることを楽しみにしている。