貿易交渉「日本行くまでに
妥結の可能性も」米大統領

アメリカに到着した安倍総理大臣は、日本時間の27日朝早く、トランプ大統領との日米首脳会談に臨み、朝鮮半島の完全な非核化に向けた緊密な連携を確認し、トランプ大統領は拉致問題の解決に「全面的に協力する」と明言しました。また、日米の新たな貿易交渉で早期に成果を得るため議論を加速することで一致しました。

ことし6月のG20大阪サミットを前に、ヨーロッパの各国を訪問していた安倍総理大臣は、アメリカの首都ワシントンに到着し、日本時間の午前5時半すぎからトランプ大統領との日米首脳会談に臨みました。

冒頭、トランプ大統領は、日米の新たな貿易交渉について「農産物について熱心に議論することになる。日本はアメリカの農産物に高い関税を課している。われわれは関税をなくしたい」と述べ、早期妥結を目指す考えを示しました。

これに対し、安倍総理大臣は「両国が利益を得られる形で経済が発展していくように貿易交渉について話していく」と応じました。

そして、両首脳は、去年9月の共同声明に沿って物品貿易の議論が進んでいることを歓迎し、早期に成果を得るために議論を加速することで一致しました。

また、北朝鮮情勢への対応について、両首脳は、ロシアと北朝鮮の首脳会談などを踏まえて綿密なすりあわせを行い、朝鮮半島の完全な非核化に向け日米・日米韓3か国で緊密に連携していくことを確認しました。

安倍総理大臣は、2回目の米朝首脳会談でトランプ大統領が2度にわたって拉致問題を提起したことに謝意を伝え、トランプ大統領は拉致問題の解決に「全面的に協力する」と明言しました。

さらに、両首脳は、G20大阪サミットの成功に向けて、貿易、デジタル経済、海洋プラスチックごみ、インフラ投資など主要論点での合意形成や、国際社会で中国が建設的な役割を果たすよう、緊密に連携していくことも確認しました。

一方、安倍総理大臣は、来月のトランプ大統領の日本訪問について「令和時代の最初の国賓として、ご夫妻をお迎えできることをうれしく思う。令和時代も日米同盟は揺るがず国際社会の課題にともに取り組んでいくという強いメッセージを発信したい」と述べました。

これに対し、トランプ大統領は「『皇位継承の行事は、日本人にとって、そんなに大事なのか』と安倍総理大臣に尋ねると、『アメリカ人にとってのスーパーボウルより100倍くらい大事だ』と言われた」などと過去のやり取りを紹介し、「訪問を楽しみにしている」と応じました。

会談のあと、安倍総理大臣は昭恵夫人とともにメラニア夫人の誕生日を祝う非公式の夕食会に出席し、大統領には真珠のカフスボタンを、メラニア夫人には急須と湯飲みのセットと日本茶を贈りました。

トランプ大統領 日米貿易交渉の早期妥結に強い期待示す

トランプ大統領は26日、ホワイトハウスで行われた安倍総理大臣との首脳会談の冒頭、記者団に対して、日米の貿易交渉はとても順調だとしたうえで「農産物について熱心に議論することになる。日本はアメリカの農産物に高い関税を課している。われわれは関税をなくしたい」と述べ、日本の農産物の市場開放に強い意欲を示しました。

さらに、貿易交渉がどのくらいで妥結できるかという記者の質問に対して、「迅速に進む可能性がある。私が来月、日本に行くまでに妥結する可能性もある」と述べ、早期妥結に期待を示しました。

一方、トランプ大統領は、貿易交渉に関して「日本車に関税をかけていない」と発言したあと、安倍総理大臣からアメリカは日本車に2.5%の関税をかけていると指摘されると、若干、苦笑いしながら日本の自動車メーカー各社のアメリカへの投資に感謝のことばを述べました。

また、トランプ大統領は来月下旬に日本を訪れ、新天皇に即位された皇太子さまと会見することについて「非常にすばらしいことで名誉だ。本当に楽しみにしている」と述べました。

そのうえで「滞在中に大相撲を観戦するかもしれない」と述べるとともに、優勝力士に賞を授与する可能性についても言及しました。

茂木経済再生相「トランプ発言は期待感の表れ」

日米首脳会談で、トランプ大統領は日米の新たな貿易交渉について「来月、日本に行くまでに妥結する可能性もある」と述べたことについて、会談に同席した茂木経済再生担当大臣は記者団に対し「できるだけ迅速にという期待感を述べたと理解している」と述べました。

そのうえで、「ライトハイザー通商代表との協議では、いつまでに合意を目指すという話は出ていないが、日米双方の利益となるよい成果をできるだけ早期に出したい」と述べました。

また、トランプ大統領が日本の農産物の市場開放に強い意欲を示したことに関連し、「TPP協定などが発効した中で、『こうした状況を改善したい』という思いは一貫して言われているが、具体的にどうするという話は出ていない」と述べました。

一方、茂木大臣は、首脳会談では、トランプ大統領から為替条項や自動車の輸入台数を制限する「数量規制」などの交渉要求はなかったことを明らかにしました。