個人としての考えで
首相の指示ではない」中江氏

厚生労働省の「毎月勤労統計調査」の調査方法をめぐり、4年前に厚生労働省側に問題意識を伝えていた当時の総理大臣秘書官は、18日の衆議院予算委員会で、安倍総理大臣の指示ではなく、個人の考えを伝えたものだと説明しました。

厚生労働省の「毎月勤労統計調査」をめぐっては、4年前の平成27年に調査対象が入れ替えられた結果、賃金の数値が大幅に変わったことから、当時の中江総理大臣秘書官が調査方法について厚生労働省側に問題意識を伝えていました。

これについて中江氏は、衆議院予算委員会で、「あくまで秘書官である私個人としての考えであって安倍総理大臣の指示ではない。そもそも厚生労働省から説明を聞いたのも安倍総理大臣の指示ではない」と述べました。

そのうえで、「すべて政策的な観点からのものであって、数値をどうこうすべきとか、政府に都合のいいデータが出るよう、統計手法上、不適切な方法を取らせるといった意図に基づくものでは全くない。この見直しは、統計法に違反して15年にわたって行われていた統計処理の問題とは関係ない」と述べました。

また、不適切な手法で得たデータを本来の調査結果に近づける統計上の処理が去年1月分から行われたことについて、当時、厚生労働省の政策統括官を務めていた酒光一章氏は「統計上の処理をする復元は当然行われていると思っていたので、なぜそれまで行われなくて、去年1月から行われるようになったか、私には全くわからない」と述べました。

首相「方法変更 指示せず」

4年前に、当時の総理大臣秘書官が厚生労働省側に問題意識を伝えていたことについて、安倍総理大臣は衆議院予算委員会で、みずから調査方法の変更を指示したことはないと説明しました。

この中で、安倍総理大臣は、厚生労働省の統計不正問題について、「高い専門性と信頼性を有すべき統計分野で、15年間にわたって誤った処理が続けられていたにもかかわらず見抜けなかったことに、責任を重く受け止めている」と述べました。

また安倍総理大臣は、厚生労働省の「毎月勤労統計調査」の調査方法をめぐり、4年前に、当時の総理大臣秘書官が厚生労働省側に問題意識を伝えていたことについて、「秘書官から報告を受けていないが、3年に1度、調査対象を変えると大きなぶれが出てきて、今まで3年間、毎月毎月出していた統計を全部変えることになるのは意味がないという問題意識を伝えるのは当たり前だ」と指摘しました。

そのうえで、「平成27年9月3日に国会答弁を準備する際に、その年の6月の賃金の伸びについて、調査対象事業所の入れ替えの影響があった旨の説明を秘書官から受けたが、私からは、何ら指示はしていない」と述べ、みずから調査方法の変更を指示したことはないと説明しました。

そして、安倍総理大臣は「われわれが、統計をいじって実質賃金を多く見せようと考えているというのは全く違うので、そういう間違った認識は与えないでもらいたい。そもそも、毎月勤労統計調査を示して、賃金が上がっていると、私から積極的に言ったことはない」と強調しました。