査の対象となる
国の関与にあたらない」

アメリカ軍普天間基地の移設計画をめぐり、国と地方の争いを調停する「国地方係争処理委員会」は、沖縄県による名護市辺野古沖の埋め立て承認撤回の効力を国土交通大臣が一時的に停止した決定は「違法だ」とする県の申し出について、審査の対象にならないとして却下しました。

アメリカ軍普天間基地の移設計画をめぐり、石井国土交通大臣は去年10月、沖縄県による名護市辺野古沖の埋め立て承認撤回の効力を、行政不服審査法に基づいて一時的に停止する決定を行い、その後、政府は、土砂を投入するなど埋め立て工事を進めています。

これに対し沖縄県は去年11月、国土交通大臣の決定は「違法だ」として、国と地方の争いを調停する「国地方係争処理委員会」に審査を申し出ています。

これを受けて委員会は、沖縄県知事と国土交通大臣から文書で説明を求めるなどして審査の対象になるかどうか検討してきましたが、18日に開いた会合で、「今回の国土交通大臣の決定は、国地方係争処理委員会の審査の対象となる国の関与にはあたらない」として、県の申し出を却下することを全会一致で決めました。

沖縄県は、4年前の平成27年にも埋め立て承認取り消しの効力を、石井国土交通大臣が一時停止したことは「違法だ」として「国地方係争処理委員会」に審査を申し出ましたが、却下されています。

委員長「国交相の決定 瑕疵あるとは言えず」

国地方係争処理委員会の富越和厚委員長は記者会見で「国土交通大臣の決定に瑕疵(かし)があるとは言えず、委員会が審査すべき国の関与にはあたらないことから、審査の申し出を却下すべきであるという結論に至った」と述べました。

そのうえで「今回の結論は、審査の対象にならないという判断にとどまり、国土交通大臣の決定の内容や、沖縄県からの審査請求の内容が適法か違法かなどについて触れるものではない」と説明しました。

防衛省 埋め立て進める方針

防衛省は、委員会が沖縄県の申し出を却下したことで、県による埋め立て承認撤回の効力を国土交通大臣が一時的に停止している状況に変化はないとして、引き続き名護市辺野古沖の埋め立て工事を進めていく方針です。

玉城知事「承認撤回は有効」

沖縄県の玉城知事は、国地方係争処理委員会が県の申し出を却下したことを受けて、コメントを出しました。
コメントは「委員会が、県の主張を認めず、却下という判断を示したことは誠に残念だ。今後の対応については、委員会から届く決定通知書を精査したうえで正式に決定したい」としています。

そのうえで「今回の決定は、執行停止という国の関与に関するもので、県が行った埋め立て承認の撤回自体の適法性について判断が示されたものではない。県としては、現在もなお、撤回は有効だという立場で、引き続き、撤回の適法性を全力で訴えていく」としています。

沖縄県 司法手続き検討

名護市辺野古への移設阻止を目指す沖縄県は司法手続きに入ることを検討しています。

具体的には、国地方係争処理委員会の決定を受け取ってから30日以内に、埋め立て承認の撤回の効力を一時的に停止した国土交通大臣の決定の取り消しを求め、福岡高等裁判所那覇支部に訴えを起こす準備を進めています。