強制性交罪を「不同意性交罪」に変更など刑法改正案が衆院可決

「強制性交罪」について、罪名を「不同意性交罪」に変更し、構成要件として、被害者が「同意しない意思」を表わすことが難しい場合を具体的に示した刑法の改正案が、衆議院本会議で全会一致で可決され、参議院に送られました。

刑法などの改正案では、「強制性交罪」について、罪名を「不同意性交罪」に変更し構成要件として「暴行や脅迫」に加えて「アルコールや薬物の摂取」「同意しない意思を表すいとまを与えない」「恐怖・驚がくさせる」など8つの行為を初めて条文で具体的に列挙しました。さらに、時効は今より5年延長されます。

また、性行為への同意を判断できるとみなす年齢が現在の「13歳以上」から「16歳以上」に変わり、同年代どうしを除き、16歳未満との性行為は処罰されることになります。

さらに性的な目的でSNSなどで子どもを手なずけて心理的にコントロールする行為に対応する罪を新たに設けるとしています。

このほか、いわゆる盗撮を防ぐため、わいせつな画像を撮影したり第三者に提供したりする行為を「撮影罪」などとして処罰するための新たな法律も設けます。

こうした法案は、30日の衆議院本会議で採決が行われ、全会一致で可決され、参議院に送られました。

被害者などでつくる団体 “今国会での成立 心から願っている”
性犯罪に関する刑法などの改正案が衆議院本会議で全会一致で可決されたことについて、法改正を求め続けてきた被害者などでつくる団体は喜びを示すとともに、今国会での成立を強く望んでいます。

この日は、これまで法改正を求め続けてきた性被害の当事者や支援者なども国会を訪れ採決を見守りました。

可決を受けて、性犯罪の被害者などで作る支援団体「Spring」の金子深雪さんは「『異議無し』の声が響いたとき、成立まであと半分だと思うと感慨深く、うれしかったです」と話しました。

団体では声明を発表し「今回の法案の柱でもある『不同意性交罪』は、同意のない性行為を処罰するという本質にのっとり加害者が適切に裁かれる明確な規定にすべきという当事者などの声に応え誕生したもので、大変歓迎している。今国会で成立することを心から願っている」としています。