“TikTok 削除を” 情報漏洩を警戒 欧州議会やホワイトハウス

中国の企業が運営する動画共有アプリ、TikTokについて、中国政府に情報が漏えいしないか欧米で警戒が高まるなか、EU=ヨーロッパ連合の議会、ヨーロッパ議会は3月から、業務用の端末での利用を禁止し、さらに議員や職員に対して私用の端末からもアプリを削除するよう強く勧告しました。

ヨーロッパ議会はサイバーセキュリティー上の懸念があるとして、3月20日から業務用の携帯電話や端末でTikTokを利用することを禁止すると職員に通知し、アプリをできるだけ早く削除するよう求めました。

20日以降は業務用のパソコンから議会のネットワークを通じたTikTokのウェブサイトへのアクセスも遮断するとしています。

さらに議員や職員に対して、私用の端末からもアプリを削除するよう、強く勧告しています。

ホワイトハウス 連邦政府機関の端末から削除指示

アメリカでは、TikTokのアプリを通じて中国側に情報が漏えいしないか警戒が高まっていて、去年12月、連邦政府が所有する端末でTikTokを利用することを禁止する法律が連邦議会で成立していました。

これを受けてアメリカのホワイトハウスは2月27日、連邦政府の機関に対し、公用の端末から30日以内にアプリを削除するよう指示しました。

「このアプリがもたらすリスクに対処するための重要な一歩だ」としています。

カナダの国家財政委員会も使用禁止を発表

また、カナダの国家財政委員会は27日、声明を出し、政府が管理している携帯端末でTikTokを使用することを禁止すると発表しました。

28日以降は、携帯端末からTikTokのアプリが削除されるとともに、今後はダウンロードもできなくなるとしています。

禁止の理由について「アプリがプライバシーと安全性に容認できないレベルのリスクをもたらすため」などと説明しています。

TikTokは、カナダの公共放送CBCに対し「事前の議論もないまま禁止の決定がなされ失望している」などとコメントしています。

TikTokをめぐっては、EU=ヨーロッパ連合の執行機関、ヨーロッパ委員会が職員による業務用の端末での利用を禁止すると発表するなど欧米で警戒が広がっています。

中国は強く反発「国家の力乱用し他国企業を不当に抑圧」

アメリカのホワイトハウスが、動画共有アプリTikTokについて、連邦政府の機関に対し、公用の端末から削除するよう指示したことについて、中国外務省の毛寧報道官は、28日の記者会見で「われわれはアメリカが安全保障の概念を広げ、国家の力を乱用して他国の企業を不当に抑圧するという間違ったやり方に断固反対する」と強く反発しました。

そのうえで「アメリカ政府は、市場経済と公正な競争の原則を尊重し、関係する企業への不当な抑圧をやめ、あらゆる国の企業が投資や経営を行えるようオープンかつ公平で差別のない環境を提供すべきだ」と述べました。

松野官房長官「各省庁で適切に対応している」

松野官房長官は、28日の記者会見で「海外の政府機関などの対応にコメントすることは差し控えたい」と述べました。

そのうえで「わが国では、政府端末で要機密情報を取り扱う場合は、基準によりTikTokをはじめ、SNSなどの外部サービスの利用はできないほか、要機密情報を取り扱わない場合でも、さまざまなリスクを十分踏まえたうえで、利用の可否を判断するよう定めており、各省庁で適切に対応している」と述べました。