1人最大1万5000円の児童手当拡充へ 所得制限撤廃 対象拡大検討

少子化対策の強化をめぐり、児童手当の拡充を求める声が与野党双方で強まっています。政府は所得制限の撤廃や支給対象年齢の引き上げを含め、具体策の検討を進める方針です。

児童手当は、中学生までの子どもがいる世帯を対象に1人当たり最大で1万5000円が支給されている一方、一定の所得基準を超える世帯を対象外としています。

岸田総理大臣が「次元の異なる少子化対策」を掲げたことから国会では児童手当の拡充をめぐる議論が活発になっていて、2日に行われた与野党の国会対策委員長による会談では野党側が所得制限の撤廃を求めたのに対し、公明党は賛成する意向を示し、自民党は持ち帰って政府に伝える考えを示しました。

また、与野党双方では手当の支給対象の年齢を18歳まで引き上げるよう求める声も強まっています。

政府は3月末をめどに少子化対策強化に向けた具体策のたたき台をまとめることにしていて、与野党の意見も踏まえ、所得制限の撤廃や支給対象年齢の引き上げを含め、具体策の検討を進める方針です。

ただ自民党内には「所得の高い人より、厳しい状況にある人への支援を手厚くすべきだ」などという声もあり、丁寧に議論を行いたい考えです。

児童手当 “所得制限なければ総額1兆円余支給”と試算 立民

少子化対策の論点の1つになっている児童手当の拡充をめぐり、立憲民主党は、2012年以降の所得制限がなければ支給されていた手当の総額は、およそ1兆1000億円だとする試算をまとめました。

立憲民主党は2日、かつての民主党が政権を失ってから10年間の政策を検証するチームの初会合を開き、児童手当の所得制限について議論を行いました。

この中では、党が作成した試算が示され、2012年6月以降の所得制限がなければ支給されていた手当の総額はおよそ1兆1000億円で、減額となった児童は年平均165万人程度だったとしています。

具体的には、2012年6月生まれの子ども1人の世帯では80万円余り減額になったなどとしています。

出席した議員からは政府も試算を行うべきだという意見や、早急に所得制限をなくして支給対象を18歳まで拡大するべきだといった指摘が相次ぎました。

検証チームは3日も会合を開き、児童手当のほか、農家への支援策などを議論することにしています。