児童手当所得制限の撤廃 国民は法案提出 公明は統一選重点

国民民主党は、児童手当など、子育てを支援する公的な給付に設けられている所得制限の撤廃を盛り込んだ法案を参議院に提出しました。

法案では、次世代を担うすべての子どもが家庭の経済的な状況によって給付を制限されてはならないとしています。

そのうえで、児童手当など、子育てを支援する公的な給付に設けられているすべての所得制限を撤廃するとし、政府は、必要な法整備や財政上の措置を講じなければならないとしています。

こうした法案を国民民主党が国会に提出するのは、去年の通常国会と秋の臨時国会に続いて3度目です。

提出のあと、舟山参議院議員会長は記者団に対し、自民党の茂木幹事長が児童手当の所得制限を撤廃すべきだと打ち出したことを踏まえ、「大きな方向転換と受け止めている。かつては所得制限なしの給付に『ばらまき』などの批判があったが、私たちと同じ土俵に立ったので、実現に向けて動いていきたい」と述べました。

統一地方選 公明 山口代表“児童手当の所得制限撤廃など重点”

4月の統一地方選挙をめぐり、公明党の山口代表は記者会見で、少子化対策をもっとも重視するとして、児童手当の所得制限の撤廃や18歳までの拡大などを重点的に訴えていく考えを示しました。

この中で、公明党の山口代表は「統一地方選挙では、少子化対策をいちばん重視している。社会システムや地域社会の持続可能性を維持していくために、次世代育成は極めて重要な課題で『静かな安全保障』と言われるゆえんだ」と述べました。

そのうえで、児童手当の所得制限の撤廃や、支給対象の18歳までの拡大などを重点的に訴えていく考えを示しました。

そして、現在の所得制限については「与党の協議で自民党が強く主張し、政府も同様の主張をしたことで設けられたが、本来の公明党の考え方ではない」と述べました。

また、少子化対策の強化のための財源に関して「いろいろな考え方があり、今は財源の議論をするよりも、何をどのようにやるのかしっかり議論して、国民のコンセンサスをつくっていくことが重要だ」と述べました。

「次元の異なる少子化対策」実現へ“財源幅広く検討”官房長官

岸田総理大臣が掲げる「次元の異なる少子化対策」の実現に向けた財源について、松野官房長官は、社会保険からの支出や、国と地方の負担の在り方を見直すことも含め、幅広く検討を進める考えを示しました。

岸田総理大臣が掲げる「次元の異なる少子化対策」の実現に向けて、政府は、▽児童手当を中心とした経済的支援の拡充や、▽幼児教育や保育サービスの充実▽育児休業制度の強化を含めた働き方改革の推進などの、検討を進め、具体策のたたき台を3月末をめどにまとめるとしています。

松野官房長官は、閣議のあとの記者会見で、そうした具体策の財源について「各種社会保険との関係、国と地方の役割、高等教育の支援の在り方など、さまざまな工夫をしながら、社会全体でどのように安定的に支えていくかを考えていく」と述べ、社会保険からの支出や、国と地方の負担の在り方を見直すことも含め、幅広く検討を進める考えを示しました。

児童手当 拡充に向けた具体的な検討 本格化へ 政府

国会で論点の1つとなっている児童手当をめぐって、政府は、与野党双方から、所得制限の撤廃などを求める声が出ていることを踏まえ、拡充に向けた具体的な検討を本格化させる方針です。

児童手当は、中学生までの子どもがいる世帯を対象に、1人当たり最大で1万5000円が支給されている一方、一定の基準を超える所得の世帯を対象外とする所得制限が設けられています。

与野党双方からは、少子化対策を強化するため所得制限の撤廃を求める声や、支給対象を高校生まで広げるべきだといった意見などが相次いでいて、立憲民主党の泉代表も「岸田総理大臣には『所得制限なしで18歳まで支給する』と早く明言してもらいたい」と求めました。

こうした状況について、岸田総理大臣は、1月31日の衆議院予算委員会で、「子ども・子育て政策に関してさまざまな経済的な支援を求める声が強まっている。政府として大きな関心を持って注視したうえで、方針を決定していきたい」と述べました。

政府は「次元の異なる少子化対策」の実現に向けて3月末をめどに具体策をまとめたい考えで、与野党の意見も踏まえ、児童手当の拡充に向けた具体的な検討を本格化させる方針です。