1票の格差是正「10増10減」法案 衆院で可決 今国会成立見通し

いわゆる1票の格差を是正するため、衆議院の小選挙区を「10増10減」する公職選挙法の改正案が10日、衆議院本会議で賛成多数で可決されました。法案は参議院に送られ、今の国会で成立する見通しです。

改正案では衆議院の小選挙区を、
▽東京や神奈川など5つの都と県で合わせて10増やす一方、
▽宮城や新潟、広島など10の県で1つずつ、合わせて10減らすとしています。

また、過去最多となる140選挙区の区割りを変更するとしています。

この区割り案をおととしの国勢調査をもとに試算すると、いわゆる1票の格差は1.999倍となり、現在の最大2.096倍から改善されます。

10日の衆議院本会議では改正案の採決が行われ、自民・公明両党や、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、社民党などの賛成多数で可決されました。

共産党とれいわ新選組は反対しました。

法案は参議院に送られ、今の国会で成立する見通しです。

改正案の審議が行われた衆議院の特別委員会では、成立し施行されたあと、選挙制度を抜本的に見直す与野党協議の場を速やかに設置し、3年後の国勢調査の結果が出る時点をめどに結論を得るよう努力するなどとした付帯決議が採択されています。

11日参院で審議入り 早ければ12月下旬に施行見通し

衆議院を通過した公職選挙法の改正案は、11日、参議院の特別委員会で審議入りします。

改正案は来週にも成立する見通しです。

成立したあと、早ければ12月下旬に施行される見通しで、それ以降に公示される衆議院選挙から適用されることになります。

自民・立民など提案の付帯決議が採択「施行後も不断に見直し」

改正案を審議した衆議院の特別委員会では、自民党や立憲民主党などが提案した付帯決議が採択されました。

付帯決議では「法律の施行後も、選挙制度は不断に見直していくべきだ」として、速やかに与野党で協議する場を設け、人口減少や地域間格差が拡大している現状を踏まえ、議員定数や地域の実情を反映した区割りの在り方などについて抜本的な検討を行うとしています。

そして、3年後の令和7年に行われる次の国勢調査の結果が出る時点をめどに具体的な結論を得るよう努力するとしています。

改正案で区割りはどう変わる

改正案が成立した場合、15の都県で小選挙区の数が変わることになります。

選挙区が増えるのは5つの都と県です。
▼東京は5つ増えて30に、
▼神奈川は2つ増えて20に、
▼埼玉と▼愛知は1つずつ増えて16に、
▼千葉も1つ増えて14になります。

減るのは10の県で、いずれも1つ減り、
▼広島は6、
▼宮城と▼新潟は5、
▼福島と▼岡山は4、
▼滋賀、▼山口、▼愛媛、▼長崎は3、
▼和歌山は2になります。

また、北海道や大阪、兵庫など10の道府県では、選挙区の数は今のままですが、線引きが変更されます。

これによって、合わせて25の都道府県で140選挙区の区割りが変わることになり、全国289選挙区の半数近く、過去最大規模の区割りの変更となります。

このため、総務省や各地の選挙管理委員会は、有権者の混乱が生じないように、ホームページなどに新たな区割りを掲載したり、説明会を開いたりすることにしています。

一方、比例代表は、5つのブロックで3増3減となります。
▼東京ブロックが2増えて19に、
▼南関東ブロックが1増えて23になる一方、
▼東北ブロックは1減って12に、
▼北陸信越ブロックと▼中国ブロックも1減って10になります。

松野官房長官「まずは各党、各会派で議論」

松野官房長官は午後の記者会見で「政府としては引き続き、法案の成立に向けて努めていく。都道府県別の定数配分など、衆議院選挙制度の在り方については、議会政治の根幹にかかわることから、まずは各党、各会派で議論いただくべき事項と考えている」と述べました。