北朝鮮から弾道ミサイル2発 発射はことし20回目

井野防衛副大臣は記者団に対し、北朝鮮が9月28日夜、北朝鮮西岸付近から2発の弾道ミサイルを東方向に向けて発射したことを明らかにしました。いずれも変則軌道で飛行した可能性があり、落下したのは日本のEEZ=排他的経済水域の外側と推定されるとしています。

井野防衛副大臣は、28日午後7時半ごろ、防衛省で記者団に対し、北朝鮮が28日午後6時台に、2発の弾道ミサイルを東方向に向けて発射したことを明らかにしました。

いずれも変則軌道で飛行した可能性があり、落下したのは北朝鮮東岸に近い日本海で、日本のEEZ=排他的経済水域の外側と推定されるとしています。

このうち
▽1発目は午後6時10分ごろ、北朝鮮西岸付近から東方向に向けて発射し、最高高度50キロ程度の低い高度で、およそ350キロ程度飛行し、
▽2発目は午後6時17分ごろ、北朝鮮西岸付近から東方向に向けて発射し、最高高度およそ50キロ程度の低い高度でおよそ300キロ程度飛行したということです。

これまでのところ、航空機や船舶などの被害の情報は確認されていないとしています。

井野副大臣は、今回の発射について「今月25日も弾道ミサイルを発射したばかりであり、これまでの弾道ミサイルなどのたび重なる発射も含め、一連の行動はわが国地域および国際社会の平和と安全を脅かすものだ」と述べ、北朝鮮側に対し、北京の大使館ルートを通じて抗議したことを明らかにしました。

岸田首相 情報収集と分析を指示

岸田総理大臣は情報の収集と分析に全力を挙げ 国民に対し、迅速・的確な情報提供を行うこと、航空機や船舶などの安全確認を徹底すること、それに不測の事態に備え、万全の態勢をとることを指示しました。

弾道ミサイルなどの発射はことし20回目

防衛省などによりますと、北朝鮮が弾道ミサイルなどを発射したのはことしに入って20回目です。

これまでに、1月に7回、2月に1回、3月に3回、4月に1回、5月に4回、6月は1回、8月に1回、9月に1回、それぞれ弾道ミサイルなどの発射を繰り返しています。

これまでの19回のうち、16回は弾道ミサイルと推定され、もう1回も弾道ミサイルの可能性が指摘されています。残りの2回は長距離巡航ミサイルなどと推定されています。

このうち、直近の今月25日に発射された弾道ミサイルについて防衛省は、北朝鮮が午前6時52分ごろ、内陸部から1発の弾道ミサイルを東方向に向けて発射したと公表しています。

最高高度が50キロ程度、変則軌道で650キロ程度、飛行し、落下したのは北朝鮮東側の沿岸付近で、日本のEEZ=排他的経済水域の外側と推定されるとしています。

弾道ミサイルなどの発射 ことしは異例の高い頻度

北朝鮮による弾道ミサイルなどの発射はことしに入り、これで20回に上り、異例の高い頻度で繰り返されています。直近では、今月25日に日本海に向けて短距離弾道ミサイル1発を発射し、韓国の専門家からは、低空で飛行して変則的な軌道で落下するロシアの短距離弾道ミサイル「イスカンデル」を改良したミサイルの可能性があるとの見方が出ています。

また北朝鮮は、ことし6月には、異なる4か所の地点から短距離弾道ミサイル合わせて8発を発射していました。

こうした中、26日から、アメリカ軍と韓国軍は日本海でアメリカの原子力空母「ロナルド・レーガン」などからなる空母打撃群が参加した共同訓練を4日間の日程で行っていて、訓練に北朝鮮が強く反発することが予想されるとして米韓両軍は、さらなる発射などに警戒を強めていました。