旧統一教会問題の弁護士ら “悲惨な被害実態に理解を”

安倍元総理大臣が銃撃され死亡した事件を受けて、「世界平和統一家庭連合」旧統一教会の元信者などからの相談に当たっている弁護士らが記者会見を開き、事件は許されないとしたうえで、悲惨な被害実態を広く理解してほしいと訴えました。

日本外国特派員協会で会見を開いたのは「全国霊感商法対策弁護士連絡会」です。

この中で、川井康雄弁護士は、旧統一教会をめぐる霊感商法などの被害は今も続いているとしたうえで、「この事件自体は決して許されるものではない、この点は改めて強調したいが、事件をきっかけに統一教会による悲惨な被害実態や政治家の方々とのつながりがあったという問題を指摘して、そうしたことがもうないようにしたい」と述べました。

また、2015年に文化庁が旧統一教会から今の名称への変更を認証したことについては、「統一教会であることや宗教団体ということを隠して教義を広げ、信者にするという方法を取っていたが、それに拍車をかけたのが名称変更だった。私たちは名称変更の5か月くらい前に文化庁に認めないよう申し入れをしたが、結局、認めてしまった」と話しました。

弁護士連絡会によりますと、旧統一教会をめぐる霊感商法や献金の強要などの相談は去年までの5年間に500件以上寄せられ、総額は54億円余りに上るということです。

一方、「世界平和統一家庭連合」旧統一教会は、これまでに発表した声明の中で、「過去において、純粋な信仰に基づいて自主的に献金をささげた信徒が、その後心変わりして返還を求めるといったケースがあるのは事実です。誠意をもって対処し、解決に向けて取り組んでいます」とコメントしています。

また、名称を変更した理由については「創始者は統一教会の創立当時から、今の名称を使用することを考えておられた。“世間の批判をかわすため”に名称を変えたかのような批判は、事実無根の的外れな臆測、決めつけにすぎません」とコメントしています。