るさと納税 14%が
返礼品3割以下守らず

総務省は、ふるさと納税をめぐり、返礼品の調達価格を寄付額の3割以下にするよう求める通知を守っていない自治体が、全国の自治体のおよそ14%にあたる246に上るとする調査結果を発表しました。総務省は、こうした自治体をふるさと納税の対象からはずす方向で制度を見直す方針です。

ふるさと納税は、個人が自治体に寄付するとその金額の一部が所得税と住民税から控除される仕組みです。

総務省では、多くの寄付金を集めるため高額な返礼品を贈るなど、自治体間の競争が過熱しているとして、自治体に、返礼品の調達価格を寄付額の3割以下にすることや、地元産品を使うよう通知していますが、一部の自治体は通知を守る考えはないとの立場を表明しています。

こうした状況を受けて、総務省が全国の自治体を調査したところ、今月1日の時点で、返礼品の調達価格の目安を守っていない自治体は全国の自治体の13.8%にあたる246で、地元産品ではない返礼品を贈っている自治体は全国の自治体の10.6%にあたる190だということです。

状況を放置すれば制度の趣旨を損ないかねないとして、総務省は、こうした自治体をふるさと納税の対象からはずし、寄付をしても税金が控除されないよう制度を見直す方針です。

高額寄付集めた自治体の対応

総務省は、ことし7月、昨年度10億円以上の寄付を集めた自治体のうち、返礼品の調達価格を寄付額の3割以下にすることや、地場産品を使うよう求めた通知を守っていない12の自治体を公表していました。

このうち、今回の調査で、調達価格と地場産品の2つの項目とも通知に沿う形で返礼品を見直したのは、茨城県境町だけで、佐賀県みやき町や福岡県上毛町など6つの自治体は、2つの項目とも通知に沿う形で返礼品を見直すかどうか「未定」だと回答しています。

また、2つの項目とも守らずに、昨年度、全国の自治体で最も多い135億円余りの寄付を受けた大阪府泉佐野市は、今回の総務省の調査に、これまでのところ回答を寄せていないということです。

泉佐野市「自治体が納得できる基準作り必要」

大阪 泉佐野市の担当者はNHKの取材に対し「通知には順次対応しており、高額返礼品などはすでに見直し済みだ。ただ、なぜ調達価格が3割なのか、何をもって地場産品なのか、自治体も納得できるような議論・段階を経たうえでの基準作りが必要ではないか。また、地場産品の定義によっては、さまざまな産品がそろう自治体と乏しい自治体の間に格差が生じてしまう。ふるさと納税制度について今後、自治体間で議論する場が必要だ」とコメントしています。

野田総務相「1日も早く必要な見直しを」

野田総務大臣は、閣議の後の記者会見で「現在、ふるさと納税制度は存続の危機にある。このまま、一部の自治体による突出した対応が続けば、ふるさと納税に対するイメージが傷つき、制度そのものが否定される不幸な結果を招くことになりかねない。制度の趣旨に沿わない返礼品を送付している自治体は、制度見直しの検討をせざるをえなくなった現状を真摯(しんし)に受け止め、1日も早く必要な見直しを行ってほしい」と述べました。

官房長官「自治体は節度を持って競争を」

菅官房長官は11日午後の記者会見で「ふるさと納税は、ふるさとへの絆や頑張っている地域を応援したいという気持ちで納税先を選ぶことができ、納められた資金は子育てや教育、まちおこしに役立っているほか、災害時の被災地支援に活用されているのも事実だ。各自治体が節度をもって健全に競争することで、ふるさと納税が一層活用され、地方創生に貢献することができる」と述べました。

返礼品 寄付額に大きな影響も

10年前に導入されたふるさと納税は、年々、利用する人が増え、昨年度、全国の自治体に寄付された総額はおよそ3653億円で、5年連続で過去最高を更新しました。

昨年度、最も寄付額が多かったのは、大阪府泉佐野市の135億3300万円で、全国で初めて100億円を超えました。

総務省によりますと、泉佐野市は、返礼品として全国各地の肉や果物、ビールなどを取りそろえていて、ことし3月時点では、返礼品の調達価格が寄付額の5割に達するものもあったということです。

総務省の通知によって、返礼品を見直す自治体が出る中で、泉佐野市に多くの寄付が集まる形になり、前の年度よりも寄付額がおよそ100億円増えました。

一方で、総務省の求めに応じて返礼品を変え、寄付額が大幅に減ったところもあります。長野県伊那市は家電製品などの返礼品で知られ、2年前の平成28年度は、全国で2番目となる72億500万円を集めました。しかし、昨年度、返礼品を地元産品中心に切り替えた結果、前の年度から67億円余り減って4億4900万円まで落ち込みました。