「協会けんぽ」昨年度黒字も 医療費の支出 感染拡大前を上回る

中小企業の従業員などが加入する医療保険「協会けんぽ」の昨年度の収支は、およそ3000億円の黒字となったものの、前の年度の半分以下に減りました。
新型コロナによる受診控えが解消され、医療費の支出が感染拡大前の水準を上回ったことなどが背景にあるとしています。

中小企業の従業員や家族など4000万人余りが加入する「協会けんぽ」を運営する全国健康保険協会は昨年度・令和3年度の決算を発表しました。

収入は、前の年度より3630億円増えて11兆1280億円でした。

新型コロナ対策で支払いを猶予されていた人たちが保険料を納めたことや、前の年度に比べて従業員の賃金が増えたことなどが影響しています。

一方の支出もコロナによる受診控えが解消され医療費が感染拡大前の水準を上回ったことなどによって、協会けんぽができて以降初めて減少した前年度より6822億円増えて10兆8289億円となりました。

この結果、昨年度の収支は2991億円の黒字となったものの、前年度の6183億円の半分以下に減りました。

全国健康保険協会は「医療費の支出がコロナ前の水準を超えて推移し、75歳以上の医療費を支える拠出金も団塊の世代の高齢化で増える見込みで、財政は楽観を許さない」と話しています。