ワクチン購入など1兆4500億円余支出へ 予備費9割以上使い切る

政府は25日の閣議で、新型コロナウイルスのワクチンを海外の製薬会社から追加で購入するための費用などとして、1兆4500億円余りを新型コロナ対応の予備費から支出することを決めました。
これで、今年度予算に盛り込んだ5兆円の予備費の9割以上を使い切ることになります。

25日の閣議での決定によりますと、新型コロナの4回目のワクチン接種を念頭に、ファイザーから7500万回分、モデルナから7000万回分、それぞれ追加で購入するための費用などとして6670億円、飲み薬などの確保や国産治療薬の開発支援の強化に4397億円、水際対策のための検疫体制の確保に1479億円、それに抗原検査キットの確保に929億円を充てます。

このほか、住民税が非課税の世帯に対する1世帯当たり10万円の給付金にかかる追加の費用として1054億円を支出し、総額では1兆4529億円となります。

政府は今年度・令和3年度予算に新型コロナ対応として国会の承認を得ずに使いみちを決められる予備費を5兆円計上していましたが、今回の支出で残りは3814億円となり、9割以上を使い切ることになります。

新型コロナ対応の予備費は、今週成立した新年度・令和4年度予算にも5兆円が計上されています。

立民 泉代表 “経済対策 予備費ではなく補正予算案の編成を”

政府が検討する経済対策をめぐり、立憲民主党の泉代表は、新年度予算の予備費を財源にするのは不適切だとして、来月早々に補正予算案を編成して対応すべきだという考えを示しました。

岸田総理大臣は、ウクライナ情勢に伴う物価の上昇を踏まえ、来週29日にもさらなる経済対策の取りまとめを指示する方針で、新年度予算の予備費を財源に、石油元売り会社への補助金の引き上げの継続や生活支援策などが検討される見通しです。

これについて立憲民主党の泉代表は、記者会見で「新年度予算の5兆円の予備費は、あくまで新型コロナ対策のもので、何にでも使えるわけではないことを国会論戦の中で確認している」と述べました。

そのうえで「年金生活者らを支援する新たな給付金など、この間の政府・与党の対応は『場当たり的』『選挙目当て』と言われるような考え方が強い。誠実に国民が必要な対策を講じるべきで、来月早々に補正予算案を編成することを提案したい」と述べました。

地方自治体のコロナ対策費 昨年度25兆円余 支出総額の5分の1に

昨年度、地方自治体がコロナ対策のために支出した費用の総額は25兆円余りとなり、支出総額の5分の1に上ったことが総務省のまとめでわかりました。金子総務大臣はコロナ対策で自治体の財政運営に支障が出ないよう引き続き対応していく考えを示しました。

総務省は日本国内で新型コロナの感染が広がり、対策が本格化した昨年度の全国の地方自治体の財政状況をまとめました。

それによりますと、歳出は125兆4588億円となり、コロナ対策費の増加に伴って前の年度よりもおよそ26%増えました。

コロナ対策の関連経費は25兆6336億円で、支出総額の5分の1を占め、総務省によりますと、東日本大震災が起きた直後からの6年間で地方自治体が復興のために支出した費用とほぼ同じ額だということです。

新型コロナ対策費で最も多かったのは、
▽現金10万円を一律に給付する事業で12兆8000億円、
次いで
▽経営が悪化した企業などへの貸付金に4兆8000億円、
▽営業時間短縮の要請に応じた飲食店などへの協力金に1兆円となっています。

金子総務大臣は閣議のあとの記者会見で「ほとんどの事業を全額国費で対応しており、地方公共団体の財政運営に大きな支障が生じたとは考えていない。引き続き、地方の財政運営に支障が出ることがないよう適切に対応したい」と述べました。