コロナ飲み薬
薬局で提供始まる

新型コロナウイルスの感染の急拡大によって自宅療養者が増えていることから、街の薬局ではクリニックの処方を受け、飲み薬を自宅に届けるなどして提供を始めています。

アメリカの製薬大手メルクが開発した新型コロナウイルスの飲み薬は、去年の年末に国内での使用が承認され、今月9日時点で全国のおよそ8000の医療機関と薬局におよそ2万4000人分が配送されています。

感染の急拡大によって自宅療養者が増えていることから、クリニックでの処方も始まっていて、神奈川県綾瀬市の薬局では今月6日以降、3人の患者に提供しました。

患者は自宅やホテルで療養していた20代から80代の男女で、薬剤師が電話で本人や家族に服薬指導を行ったうえで、直接自宅に出向いて薬を届けたということです。

その直後に別の患者の依頼が来ましたが、当初3箱しか注文できず薬が足りなくなったため、他の薬局を紹介して対応してもらったこともあったということです。

注文数限られる 薬剤師「在庫が心配」

飲み薬は足りなくなると専用のサイトを通じて追加で注文できる仕組みになっていますが、一度に注文できるのは数箱程度に限られているということです。

管理薬剤師の植田綾さんは「飲み薬は発注数が限られているので、患者が増えてくると在庫が心配です。薬を提供した人でも入院したと聞いたので、1人暮らしの人などはフォローアップも重要です。飲み薬に対応する薬局もまだ少なく、広域の患者をどうフォローできるのかが不安です」と話していました。

コロナ飲み薬の配布状況などは

アメリカの製薬大手メルクが開発した新型コロナウイルスの飲み薬「ラゲブリオ」=一般名、モルヌピラビルは、先月24日に国内での使用が承認されました。

厚生労働省は、メルク側と合わせて160万人分の供給を受けることで合意していて、今月9日の時点で全国の医療機関や薬局およそ8000か所に対し、合わせておよそ2万3700人分を配布したとしています。

また、発症から5日以内に服用することが推奨されているため、厚生労働省は、薬局などから患者の自宅に速やかに配送する仕組みの整備を進めています。

このため、薬局などには夜間や休日も配送の依頼に対応するよう求めていて、難しい場合はほかの薬局などと輪番制で対応することも認めています。