「黒い雨」救済基準づくり
厚労省 広島県などと協議へ

広島への原爆投下直後に降った放射性物質を含む、いわゆる「黒い雨」をめぐって、厚生労働省は、健康被害を受けた人を救済する基準をつくるため、広島県や広島市などと今月30日から正式な協議を始めることになりました。

いわゆる「黒い雨」を浴びて健康被害を受けたと住民などが訴えた裁判で、ことし7月、2審の広島高等裁判所は、原告全員を法律で定める被爆者と認め、菅前総理大臣は上告せずに広島県や広島市と連携して救済を進める方針を示しました。

厚生労働省によりますと、黒い雨が降った地域にいた人について、被爆者と認定して手当てなどを支給するための基準を新たに作成することになり、今月30日に広島県や広島市と正式に協議を始めることで合意したということです。

協議には長崎県や長崎市も参加する予定です。

厚生労働省は来年度から救済を開始することを目指すとしています。

広島県は、黒い雨が降った地域にいた全員を救済の対象にするよう要望していますが、黒い雨の健康影響については厚生労働省の検討会でも科学的な検証が進められていて、救済の対象の範囲をどう決めていくかが焦点となります。

後藤厚労相「スピード感持って取り組むことも重要」

後藤厚生労働大臣は、閣議のあとの記者会見で「政府としては、今回の1審、2審の判決や7月の総理談話を踏まえて、どこまでの対応が可能か、広島県や広島市などの意見を丁寧に聞いたうえで検討を進めていきたい。関係者が高齢化しているので、スピード感を持って取り組むことも重要だ」と述べました。