五輪 北海道と福島も
一転“無観客”開催へ

北海道でのサッカー“無観客”開催へ

北海道の札幌ドームで行われる東京オリンピックのサッカー競技について、大会組織員会は上限を設けたうえで、観客を入れて開催するとしていましたが、緊急事態宣言が出される東京都などとの人の往来を防ぐのが難しいという北海道の意向を受けて、一転して観客を入れずに開催することを決めました。

東京オリンピックは、東京など1都3県の会場で行われる競技はすべて無観客となり、宮城、福島、茨城、静岡の4県は制限付きで観客を入れて開催することが決まりました。

そして、最後まで扱いを検討中だった北海道の札幌ドームで行われるサッカー競技について、組織委員会は9日夕方、収容定員の50%以内で上限1万人まで観客を入れて開催することを決め、試合終了が午後9時を過ぎる試合は、引き続き検討するとしていました。

ところがその後、緊急事態宣言が出される東京都などとの人の往来を防ぐのが難しいという北海道からの意向を受けて、組織委員会は9日午後11時すぎ、一転して札幌ドームで開催するサッカー競技は、すべて無観客にすると発表しました。

札幌ドームのサッカー競技は、オリンピック開幕前の今月21日から28日の間の5日間が予定され、いずれも夕方から夜にかけて1日2試合が組まれていました。

東京オリンピックをめぐっては、観客を入れるかどうかの扱いが開幕直前になって変わるという異例の事態となっていて、これで無観客で競技が行われるのは、東京、神奈川、埼玉、千葉、それに北海道となりました。

北海道知事「道民の安全安心の確保を最優先に」

北海道の鈴木知事は9日夜、道庁内で記者団に対し「1都3県から競技の観戦に訪れることを控えてもらうため、大会組織委員会と、その取り扱いについて協議したものの、実効性を担保することは無理だと判断し、無観客とすることを決断した。道民の安全、安心を確保し、不安な気持ちにしっかり対応できるかを最優先に考えた結果として、大変残念ではあるが、無観客という形で行うことが適切だと判断した」と述べました。

札幌市長「やむをえない判断」

札幌ドームで行われる東京オリンピックのサッカー競技が無観客で行われることについて、札幌市の秋元市長は記者団に対し、「知事としての判断はやむを得ないと思っている。多くの方が札幌市にいらっしゃるのが少し軽減されたと思うが、それですべてのリスクがゼロになるということではないので、引き続き地元の皆さんには対応をしっかりお願いしていかなければならない」と述べました。

福島県の会場も一転 無観客に ソフトボールと野球

今月開幕する東京オリンピック、福島市で開催されるソフトボールと野球について、いったんは観客を入れて開催されることが決まっていたものの、新型コロナウイルスの感染拡大などから一転して無観客とすることが決まりました。

これは10日、組織委員会と福島県が発表しました。

福島県庁で記者会見を開いた福島県の内堀知事によりますと、今月21日、22日、28日に福島市の県営あづま球場で行われるソフトボールと野球について「無観客で行うよう、きょう組織委員会に要請し、了承を得た」と述べ、無観客にすると発表しました。

理由については、新型コロナウイルスの県内での感染状況が悪化していることや、北海道が観客を入れずに開催すると前夜に発表したことで、東京など1都3県以外は観客を入れて実施するという前提が覆ったためだとしています。

一般の観客だけでなく、県内の子どもたちを招待する「学校連携観戦チケット」も含めて無観客にするということです。

そのうえで「苦渋の判断だ。復興五輪の理念は、新型コロナウイルスとのたたかいのなかで大きく変わった。試合は開催されるので骨格は残っているが、われわれが思い描いていたものとは違うものになってしまった」と述べました。

福島市で行われるソフトボールと野球を巡っては、8日に行われた組織委員会や競技会場がある自治体などでつくる会議で観客を入れて開催することを決めたばかりで、開催直前に方針が大きく変わる異例の事態になっています。

開幕直前に二転三転 全体の97%が無観客に

北海道に続いて福島県でも無観客での開催になったことで「セッション」と呼ばれるチケット販売の単位では、全体のおよそ97%に当たる724セッションが無観客となり、観客が入るセッションは26だけになりました。

いったん観客を入れて開催することを決めていた会場が一転して無観客となるのは北海道に続いて2例目で、東京オリンピックは大会の根幹とも言える観客の扱いが開幕直前になって二転三転する異例の事態となっています。

無観客で競技が行われるのは東京など1都3県に加え、北海道と福島となり、観客を入れて開催するのは宮城、茨城、静岡の3県になりました。

野球 稲葉監督「やらせていただけるだけでありがたい」

東京オリンピックの野球が無観客となることについて、日本代表の稲葉篤紀監督は「われわれは野球ができる喜びをしっかり感じなければいけないし、やらせていただけるだけでもありがたい。無観客でもテレビの前で応援している人がたくさんいるので、全力でしっかり戦いたい」と話しました。

声援のない静寂の中で戦うことについては「選手はたぶん慣れていると思うが、私自身が雰囲気の違いに飲み込まれないよう、しっかり集中できるようにしていきたい」と話していました。

ソフトボール 宇津木監督「映像を通して感動を」

ソフトボール日本代表の宇津木麗華監督は「先ほど報道で知りましたが、私たちは映像を通して皆様に感動を与えられるような試合をすることに全力で感張ります」と日本ソフトボール協会を通してコメントを出しました。