爆ドームの保存工事開始
入札不調で1年余りの遅れ

たび重なる入札不調で1年余り着工が遅れていた広島市の原爆ドームの保存工事が3日から始まりました。

建築から100年余りが経過し老朽化が進む広島市の原爆ドームについて、市は2018年度中に保存工事にとりかかる計画でしたが、建設業界の人手不足などを背景に3回にわたって入札が不調となり、着工が遅れていました。

ことし6月に事業者が決まったことを受けて、3日から原爆ドームを保存するための工事が始まり、作業員4人が工事の実施を知らせる看板を掲示したり、作業を行いやすくするため、原爆ドームを囲う柵の一部を取り外したりしていました。

今回の工事は、足場を組み手作業で原爆ドームのアーチ型の天井部分などの鋼材のさびを落としたうえで、被爆当時のこげ茶色に塗り直します。

さらに、劣化を防止するためレンガの継ぎ目などにしっくいを塗り付けて補修することにしていて、来年3月末までに工事が終わる予定です。

広島市の佐々木正治公園整備課長は「被爆の実相を伝えるために塗装を被爆当時の色に近づけることにしており、後世に伝えていくため、しっかりと原爆ドームを保存していきたい」と話していました。