都道府県で知事会見の
手話通訳導入

新型コロナウイルスの感染拡大を受けてことし3月以降、36都府県の知事会見で新たに手話通訳が配置され、すべての都道府県で通訳が導入されたことがNHKの取材でわかりました。その一方で、クラスターなどの専門用語は手話の表現方法が統一されていないため、聴覚障害者からは、分かりにくいという声が出ていて、改善に向けた取り組みが各地で進められています。

NHKが、47都道府県に取材したところ、ことし3月1日の時点で知事の会見に手話通訳を導入していたのは、北海道や鳥取など合わせて11道県でした。

聴覚障害者の団体などからは、新型コロナウイルスの感染状況や対策についての情報を速やかに伝えるため、手話通訳の配置を求める要望が相次ぎ、導入の動きが広がりました。

東京は3月30日から、大阪や兵庫などは4月13日から、岡山は先月22日から、知事会見に手話通訳が新たに配置され、36都府県で導入された結果、すべての都道府県で通訳が行われることになりました。

その一方で、聴覚障害者からは、クラスターなど新型コロナウイルスに関する多くの専門用語は手話の表現方法が統一されていないため分かりにくいという声や、通訳する人がつけるフェイスシールドに光が反射し、手話に重要な口の動きや表情を読み取りづらいという指摘が出ていて、各地で改善に向けた取り組みが進められています。

全日本ろうあ連盟は「会見に手話通訳がついたことは大変うれしく思います。市民の中に聞こえない人がいることを忘れず、新型コロナウイルスの感染が終息したあとも、通訳をつけることが当たり前になるよう期待します」とコメントしています。

統一表現の検討も

新型コロナウイルスに関連して使われる専門用語について統一した手話の表現方法を決めるため、現在検討が進められています。

今月5日には「日本手話研究所」が、盛岡市で会議を開き、新型コロナウイルスに関連して使われる専門用語など27の用語について手話の表現方法の案が検討されました。

このうち、感染者の集団発生を表す「クラスター」については、人が集まるという手話と、広がるという手話を組み合わせた表現が提案されました。

また、「緊急事態宣言」については、通訳によって、救急車のサイレンを表す手話が使われたり、緊急を表す手話が使われたりして表現がバラバラだという意見が出されました。

新型コロナウイルスに関連して使われる専門用語の統一した手話の表現方法は、今後各地域から出された案をもとに全国の会議で話し合われ、ことし9月に決まる見通しとなっています。