備新幹線事業費 来年度
予算案に804億円計上へ

政府は、来年度予算案に北陸、九州、北海道の3つの整備新幹線の事業費として、今年度より12億円多い804億円を盛り込む方針を固めました。九州と北陸で建設中の区間にかかる費用が膨らんでいるためで、2年連続の増額となります。

整備新幹線のうち、北陸新幹線の金沢と敦賀の区間と九州新幹線・長崎ルートの武雄温泉と長崎の区間では、人件費の高騰などで建設費が着工が認可された時点の想定よりも大きく膨らんでいます。

これに対応するため、国土交通省の担当者は、18日開かれた与党のプロジェクトチームの会合で、整備新幹線の事業費について、来年度予算案には今年度の792億円から12億円上積みして804億円を盛り込む方針を説明しました。

予算を増額するのは2年連続です。

一方、国土交通省は、九州新幹線・長崎ルートの新鳥栖から武雄温泉の区間について、着工に先立って必要となる環境への影響を評価する費用の来年度予算案への計上を見送ることも報告しました。

与党のプロジェクトチームがこの区間を全線「フル規格」で整備すべきだとしているのに対し、地元の佐賀県が反発しているためです。

プロジェクトチームの座長を務める自民党の岸田政務調査会長は、会合のあと「佐賀県の理解と協力なしに進めることは困難と判断し、国土交通省には佐賀県と引き続き丁寧にかつ粘り強く協議するよう求めた」と述べました。

長崎県 中村知事「佐賀県と国交省の協議進展に期待」

長崎県の中村知事は県庁で記者団に対し「大変残念に思っている。ただ、これから佐賀県と国土交通省の間で協議の場が持たれると考えていて、大きな前進につながるのではないかと期待している。一刻も早く協議・調整が進み、環境影響評価の調査に着手できるようにさらなる努力をお願いしたい」と述べました。

長崎市 田上市長「フル規格の整備進むよう努力」

長崎市の田上市長は長崎市役所で記者団に対し、「ことしは前に進むことを目標にさまざまな取り組みを進めてきたので、非常に残念だ。佐賀県も含めた協議の体制は維持されているので、できるだけ早く議論を重ねて、フル規格での整備に向けて進むよう市のレベルで努力していきたい」と述べました。

佐賀県 山口知事「当然の結果と思う」

新鳥栖・武雄温泉間の環境への影響を評価する費用の計上が見送られたことについて、「フル規格」での整備に強く反発している佐賀県の山口知事は記者団に対し「議論されている区間は佐賀県内の話なので、当然の結果だと思う」と述べました。