150710machikomaki01
写真:朝日新聞社/アマナイメージズ

戦後の女性がこぞってまねた「真知子巻き」

NHKがテレビ放送を開始したのは1953年(昭和28年)。その年、世の女性たちの間で大ブームになったファッションがありました。それが、本日紹介する「真知子巻き」です。

1953年(昭和28年) 東京・銀座の数寄屋橋の上を歩く「真知子巻き」の女性 写真:朝日新聞社/アマナイメージズ

1953年(昭和28年) 東京・銀座の数寄屋橋の上を歩く「真知子巻き」の女性 写真:朝日新聞社/アマナイメージズ

「真知子巻き」とは、ショールやストールなどを頭から首のまわりに巻きつけたファッションのこと。名前の由来となった“真知子”とは、1953年(昭和28年)に大ヒットした映画『君の名は』に出てくるヒロインの名前。岸惠子演じる真知子が、ストールを頭からかぶるように巻いていたことから、それをまねた若い女性が街にあふれる「真知子巻き」ブームが起こりました。

ファッションとコスプレの間に?

ブームのきっかけになった映画『君の名は』は、もともと1952年(昭和27年)にNHKラジオで放送されたラジオドラマでした(その放送と収録時の写真はNHKアーカイブスポータルにて)。当時、ドラマの放送がはじまる午後8時半から午後9時までは「銭湯から女性が消える」という話が、まことしやかに広まるほどの人気を誇ったといいます。

その人気作の映画化。スクリーンのなかで真知子が見せた「真知子巻き」を見た女性客が「真知子巻き」で街中を歩き、さらにそれを見た女性が「真知子巻き」をして…という具合に、世に広がっていきました。「真知子巻き」の流行ぶりが伝わる文章が、当時の雑誌に記されています。

『君の名は』の影響で、真知子巻きというショールが流行した。あるもの好きの人が数えたら、銀座を通る女性のうち十人に一人がこの真知子巻きをしていたということである。
(『装苑』1954年(昭和29年)7月号より)

そして、当時の服飾研究家たちからは、このような考察も。

顔の露出面積が少く(ママ)なれば、勢い美醜の差が少く(ママ)なるところから、女性の本能的なセンスにマッチしたのだろう
(「内外タイムス」1953年(昭和28年)12月16日付より)

「真知子巻き」はファッションであると同時に、真知子になりきる「コスプレ」に近い感覚だったのかもしれませんね。また、映画が社会に与えていた影響力の大きさも伺えます。

ファッションブームはテレビドラマからも…

当時、映画が銀座の街を歩く女性のファッションに影響を与えたように、近年ではテレビドラマが流行に影響を与えることも珍しくありません。

型破りな検事が活躍するストーリーで高視聴率を収めた、人気ドラマの主人公が着ていた「茶色のダウンジャケット」が入手困難になるほど大流行したこと。「事件は会議室で起きてるんじゃない!」などの名セリフが生まれたあのドラマで、主人公がいつも着ていたモッズコートが「青島コート」と呼ばれてブームになったのも、記憶にあるかと思います。…でも、いま振り返るとちょっと気恥ずかしく感じるのはなぜなんでしょう…。

ニッポンのポも、ファッションの流行に影響を与えられるようになりたいものです。まずは、「ポ」Tシャツでも作ってみましょうか…。みなさん、着てくれますか…。