スチール製、缶切りを使用
写真:共同通信社

よーく冷えた瓶ビールの王冠を、栓抜きで勢いよくあける「ポンッ」という音から、よーく冷えた缶ビールをあけたときの「プシュッ」へ。”ビールの音”に新しい音が誕生したのが、いまから57年前のきょうでした。当時は、この音を聞くには缶切りが必要でしたが…。

日本初の缶ビール「アサヒ ゴールド」。2か所に缶切りで穴をあける、スチール缶だった 写真:共同通信社

日本初の缶ビール「アサヒ ゴールド」。2か所に缶切りで穴をあける、スチール缶だった 写真:共同通信社

1958年(昭和33年)のきょう、朝日麦酒(現在のアサヒビール)から発表された、日本初の缶ビール「アサヒ ゴールド」は350ミリリットルで、1缶の価格は75円。当時の広告によれば、瓶ビールよりも早く冷え、冷蔵庫にもたくさん入り、小びんとほぼ同じ容量なのに重さは半分以下、とその特長がうたわれています。現在との大きな違いは、缶の開け方。プルタブはなく、ビールを注ぐには缶切りが必要だったのです。

開発に約10年をかけたという缶ビールの登場に、ビール各社も続々と商品を投入。その後、缶容器は改良が重ねられ、1965年(昭和40年)に缶切り不要のプルトップタイプが、1971年(昭和46年)にはアルミ製の缶ビールが発売されます。しかし、当初の缶ビールに対する評価はよいものではありませんでした。その当時、ビールは地元の酒屋がお得意先にケースで届けるほうが一般的で、お店で買って持ち帰るものではなかったことも一因だったといわれています。

その後、自動販売機の登場や、コンビニエンスストアやスーパーでの酒類販売が広がったことで、お酒の買い方は変化していきます。缶ビールは徐々に販売数を増やし、1995年(平成7年)には国内で販売されるビールの販売比率で、瓶ビールを上回ります。近年では缶ビールの割合は各社とも約7割となり、ビール容器の主役の座はすっかり缶ビールのものとなったのです。

暑さが続く夏の夜、どこかの家で「プシュッ」と缶が鳴り、そのあとは、「ゴクゴク」と喉が鳴る音が…。ポーッと赤くなった顔は、疲れを癒やした晩酌のシンボル。「家に帰れば冷えたビールが待っている」と思うことで乗り越えられた仕事は、どれだけあったことでしょうね。