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けがには欠かせぬ赤い液

今日のソレナニ図鑑は、一昔前ならどこの家庭にもあった「赤チン」をご紹介します。

正式名は「マーキュロクロム液」で、同じく消毒液として使われていた「ヨードチンキ」と区別するため、「赤いヨードチンキ=赤チン」と呼ばれていました。傷に塗ってもしみないため、けがの治療薬として、「赤チン」は当時の家庭には欠かせないものでした。学校の保健室でも、よく見かけましたね。

ところが、1970年代以降、「赤チン」は家庭の救急箱から突如姿を消してしまいます。現在は薬局で見かけることもありません。いったい「赤チン」に何があったのでしょうか…?

1973年(昭和48年)、製造終了間近の「赤チン」 写真:共同通信社

1973年(昭和48年)、製造終了間近の「赤チン」 写真:共同通信社

消えた「赤チン」

1960年代以降、経済成長が続く日本国内では公害が大きな社会問題となりました。そうした中、製造過程で有機水銀化合物が出る「赤チン」は敬遠され、1973年(昭和48)に国内生産が中止になりました。ガーゼ付きばんそうこうや無色透明の消毒液「白チン」の登場もあり、「赤チン」は薬局の棚から、急速に姿を消していったのです。

今の時代に「赤チン」を塗ったら…?

「赤チン」を塗ると皮膚が鮮やかな赤色に染まるため、けが以上に見た目のインパクトがすごいのが特徴。子供がひざやひじに”赤い印”をつけて外を駆け回る、一昔前なら当たり前に見られたシーンを「赤チン」を知らない人が見たら、「流血しながらはしゃいでいる子供」に見えることでしょう。不穏ですね。「赤チン」を知る世代にとっては、いかにも傷口に効きそうな赤色は「消毒された!」という安心感を生んでいたのでしょうか。

そんな「やっぱり赤チンがいい!」という声に応えるために、ある製薬会社では、海外で製造した原料を輸入し、現在でも「赤チン」を販売しています。

誰かがけがをしたとき、ばんそうこうではなく「赤チン」をサッと塗る。そんな「昭和力」を見せたら「懐かしい!」「ソレナニ?!」と注目を浴びそうですね。かえって、「流血させた!」「服が赤くなった!」と怒られるかもしれませんけど…。